*
01
*
◆→注意!
◇WAKE UP
ベッドの天蓋を捲り、朝を告げる「おはよう、」デバイスを取り上げられた彼女の時間を動かすのは、ただひとり「…うん、」声を掛ければ、ぱちりと瞼を開ける「チカ、私おねむなの…」「でもな、着替えないと駄目だろう?」力の抜けた白い手を取る。至高の美しさを望んでおきながら、それを所有欲で自らべたべたに穢すという相反「お着替え…?」「ああ。お前はお人形さんなんだから、」青年はこうやって人形の螺子を巻く、
*
*
*
◇RIBBON
「たまには、自分で解いてみるか?」頷いた彼女の手にそうっと自分のそれを添えて胸元に誘導してやれば、その手指はサテンのリボンを摘みするすると解いていく「これでいい…?」首の下、所在無げに垂れた一対の細い織物――まだ、足りない「よく出来た、だが…まだだ、」その手を、次はボタンの上に置く。ひとつずつ、ゆっくり外していく彼女「…チカ、」青年はさらされた人形の白い首筋に噛みつく、
*
*
*
◇PHOTOGRAPH
「座って、脚を少しだけ伸ばして…」義手では触れたくないからと、生身の右手が優しく触れる。その指が――私を『お人形さん』にしてくれた「そのまま…重心を爪先に向けて、」レンズに映る私を、どこか欠落していると彼は言う。そんな私が自分と重なって見えるとも「チカ、」「…顔、上げなさい」彼の方を向き、目を合わせる。シャッターが切られたその瞬間「綺麗に撮ってね、」人形は青年の手で永遠になる、
*
*
*
◇BIRD CAGE
「お前は、鳥籠に閉じ込められたいとは思うか?」急に、何を問うのだろう「なんで?」「…何となくだ」私は迷ってしまう。チカが望むなら閉じ込められてもいい、けれど「そうしたら、チカは触れてくれないんでしょう?」「だな。中のお前を見るわけだから」そんなんじゃ…見てもらうだけじゃ、足りない「なら、チカも一緒に入って?」そうすれば彼と私だけで、ずっと――「そうだな、」人形は青年との世界を望む、
*
*
*
◆BOTTLE
「チカ…っ、」力のない手で、彼の服の袖を引っ張る「どうした、」ずっと私の瓶は空っぽで、満たされたいと思っていた。苦いものばかりのこの世界で、彼は唯一甘い毒を注いでくれる「甘いのがほしいよっ…!」早く、私を満たして――そう請えばベッドの上に降ろされる「わかった…さて、」その一瞬の優しさのあと、熱く鋭い眼差しが私を射抜く「今日は…どうしてほしい?」人形は青年の注ぐ毒に溺れる、
←top