セラミックガール

土曜日。春高の決勝にて烏野に敗れ部活を引退した俺・牛島若利は、俺をマブダチと称する部活仲間の天童覚に誘われ、近くの某大型ディスカウントストアへと足を運んでいた。
聞けば幼馴染であり少し前から付き合い始めた彼女・神山**もちょくちょく通っているらしく、天童もそれを知っていたのか俺からは何も言っていないのに『神山ちゃんも行くっぽい』と事前に教えてくれて。事実俺と天童がその店についたとき、一人でその店に入る彼女の後ろ姿が見えた。

「……**?」
「あ、わっちゃんと天童くんだ。天童くんはここよく行くって言ってた気がするけど、わっちゃんは……そういうタイプじゃない、よね?」
「若利くんはね、俺が誘ったんだヨ。俺が好きなアイスも種類豊富だしいつも来てんだけど、若利くんはあんま興味なさそうだったんだよね〜……でも神山ちゃんの名前出したらす〜ぐ来るんだもん、笑っちゃうよネ」
「……」

私服姿の彼女は古着屋で買ったのだという白と水色のジャージを羽織り、下は黒いスカートと白いスニーカー、全体的にモノトーンで統一されていて――いわゆるサイバー系というのだろうか、ゲームにでもいそうなイメージだった。
ベルトの飾りこそついてはいるものの派手というよりはどちらかといえばシンプルで、彼女の飾り気のないイメージにマッチしている。瀬見の私服をダサいと評していたらしい天童ですら似合っていると評価しているのだから、間違いはないのだろう。

「若利くん、あんまこの店来ないよネ?とりあえず、神山ちゃんのおすすめとか聞く?」
「ああ。……**は、前は何を買ったんだ?」
「最近売り出したバターミルクとか、さつまいもミルクとかは安かったからこの間買ったよ。結構品揃えが尖ってて、私の興味をくすぐるんだよね〜」
「あ、あのバターミルクは俺も飲んだ。美味しかったよネ〜」

天童が嬉しそうに頷き、**も小さく頷く。けれど少し前に天童がしていたプリンの話もわからなかった俺には同様にこの話もよくわからず、ただ頷きながら2人のおすすめだという飲み物をカゴに入れた。ふと見渡してみればおにぎりもスイーツ類もかなり尖った品揃えで、天童が楽しそうにしていた理由が少しわかるような気もする。
そして品揃えが豊富なのは食品だけではなかったようで、電子機器やコスメ、果てはコスプレ衣装にアダルトグッズなども売られているようだった。

「……これは?」
「これ?コスプレ衣装。最近は結構安いんだよ」
「そ。若利くんは、神山ちゃんに着せるならどういうの?」

店内の奥へと足を運べば、女性モデルの写真をパッケージに使ったA4くらいの箱がずらりと並んでいる。ブレザー制服にチャイナ服、ナース服やメイド服に巫女服――マネキンと称される**なら何でも似合ってしまいそうな気がするけれど、その中でも俺の目に留まったのは、黒地に白いスカーフのセーラー服だった。
彼女とは幼馴染としてずっと一緒にいるけれど、部活にも所属してこなかった彼女にはユニフォームを着る機会もなかっただろうし、ファッションにそこまで興味を持つタイプにも見えなかった。今日着ているようなシンプルな私服姿や制服姿の他に見たことがあるとすれば体操着やジャージ、それに家同士の用事で着るような形式ばった和服やら礼服くらいだろうか――それならばなおのこと、色々な服を着た彼女の姿が見てみたくなるというものだ。

「これとか、どうだ?」
「へー……わっちゃん、そういうのが好きなの?それとも、なんとなく?」
「……なんとなく、だな」
「そう?でもセーラー服なんて、着たことないけど……似合うかな、」

一応確認してみればやはり俺の記憶通りで、**は今までセーラー襟のついた服を着こそすれど、きちんとした意味でのセーラー服はコスプレを含め着たことがなかったらしい。思えば6年間ずっと白鳥沢のブレザー制服を着ていたし、わざわざ買ってまでセーラー服を着るような機会もなかったのだろう。
寮生活をしている以上流石に今日買ってすぐ着せるわけにはいかないだろうし、着るとしたら早くて卒業後だろうか。けれど幸い天童に言われ多めに現金を持ってきていたし1着くらいであれば買うだけ買ってみても問題ないだろう――と、近くからもうひとつカゴを取り寄せ、その中に衣装を入れた。

「**なら、なんでも似合うだろう」

そうして結局**用のコスプレ衣装と、天童に勧められたバターミルク、すぐにつまめるようなグミ何袋かを買うことにして。セーラー服代は彼女が出そうとしてくれたけれど、着せたいと思ったのは俺の勝手な欲望なのだし、俺が払うのは当たり前だろう。
会計を済ませた俺はレジ前で2人と合流し、会話しつつも3人で寮の方面へと足を進めた。

***

その日の夜。
いつも通り身支度を済ませ、寝巻きに着替えて。ボールを退かしつつベッドの下段に潜り込んだはずの俺の上に、今日買ったばかりのセーラー服に身を包み、黒いストッキングを履いた**の姿があった。

「……**?」

これは夢だと、そう認識するのに時間はかからなかった。
俺の行為をされるがまま受け入れこそすれ積極的に求めることの少ない**であれば幼少期でもないのに今更わざわざ俺の布団に滑り込みなどしないだろうし、『周りに責められたくない』が表立った理由とはいえどもこうやって自分からルールを破るような真似もしないだろう。少なくとも俺の知る彼女はそこまで大胆ではないはずで、そもそもあのセーラー服は彼女に渡すどころか買ったまま袋から出してすらいない代物だ。そしてベッドに潜り込んだはずの俺の身体も、なぜかベッドの上に寝そべる形になっている。
だから、これは俺が妄想と記憶から作り出した、都合のいい夢に違いないと――そう自覚すればするほど、俺の彼女への欲望は現実味を帯びて俺の瞼の裏に現れていった。

「どうしたの?」
「いや……なんでもない」
「そう?わっちゃん、そうやって言い淀むようなタイプじゃなかったのにね。私のせいで変わっちゃったの?それとも部活の人達かな?……幼馴染なんだから、今まで通りなんでも言っていいんだよ?」

ふわ、と微笑む**の表情こそ小さい頃と変わらず無機質ではあるものの、その声は蠱惑的で、ひどく甘ったるい。
俺が白鷲なら彼女はクリオネか、はたまたカツオノエボシだろうか。ただひたすら流されるままにしていたかと思えば、気紛れに捕食せんと手を伸ばしてくる――こちらの気を知ってか知らずか、無邪気なままなのがより一層たち悪い。春高の決勝にて後輩の五色を励ました俺を見て「本心から『頑張れ』と言っているのが本当にたち悪い」と天童が呟いていた、その心境が今なら少しわかってしまうほどだ。
そういえば小学生の頃に行った校外学習でも、**は動物園より水族館のときの方が心地よさそうにしていた記憶がある。動物園での餌やりにはあまり興味を示していなかったのが嘘のように、クリオネの水槽で行われる餌やりの実演には釘付けになっていた――勢いよく伸ばされた6本の触手で職員が配る冷凍の餌を捉え貪り食らう、そんな中々頭から離れない光景をふと思い出している間にも彼女は俺の顔を覗き込み問いかけてくるものだから、堪らない。

「ね、わっちゃん。どうしてほしい?」
「……」
「わっちゃんに、私がどう見えてるのか――わっちゃんは、私をどうしたいのか。……私はわっちゃんじゃないから、言ってくれないとわかんないな」

俺の唇を人差し指でなぞり、そのまま首へと指先を滑らせて。**の指先は俺の肌を下へ下へと滑り落ち、やがて胸元、そして腹へと移動していく。
語りかけてくる言葉も普段通り無機質で、それでいて無意識ではあろうけれど俺を煽るようなものだ。互いに取り繕うことも誇張することもなく、ただ剥き出しの感情を互いにぶつけ合うようなやりとりも、夢とは思えないほどに普段通りのそれだった。

「好きにしていーよ、わっちゃん」

訴える、揺さぶる、引きずり出す。そうして、**が彼女自身の言う『人間性』を獲得するさまを、幼馴染として誰よりも側で観測する――今俺の目の前にいる彼女がただの夢である限りここで彼女をどうしようと現実の彼女を開発することには繋がらないけれど、それを踏まえて考えてみれば今のこれはシミュレーションと捉えられるだろうか。
それならば、いっそ。なりふり構わず**を求め壊してしまっても、夢の中ならば許されるだろう。
これが夢である限りは、思うがまま振る舞ったとしても現実の彼女には一切の影響を及ぼさないし、ならば彼女の意思を確認する必要もないのだろう――そう考えた俺は彼女の後頭部に手を回し引き寄せ、勢いのままその唇へと自分のそれを重ねた。

「ぅ、ん……わっ、ちゃん?」
「……好きにして、いいんだろう?**」
「?……そうだよ。わっちゃんはいつも確認しながらしてくるから、ちょっと驚いちゃっただけ」

驚きはすれど、俺の行為を直接的に拒むことはない――この反応も、いつもの**そのものだ。けれど物事にあまり執着しない彼女のことだ、それは俺相手だからとかではなく誰相手でも変わらないのだろう。現に俺のことを『一緒にいると落ち着く』と評してくれてはいるものの、『好き』だとか『愛している』だとか、そういう言葉を囁かれたことはこの10年以上の間にも一度としてなかった。事実、初めこそ彼女の手で俺が処女を奪う形に持ち込んだとはいえ行為中はずっと受け身のままだったし、正式な交際に発展したのも俺が主導してのことだ。
**がいつも求めているのは生き心地のいい場所であり、そこに漂い続けているための酸素だ。俺とはたまたま母親同士が知り合いで、そしてたまたま性格的な相性がよかったから一緒にいるようになっただけであり、仮に彼女の酸素となりうる人間が他に現れたら彼女はそちらを拠り所にするのだろう。俺をユース日本代表に選んだ監督と同じで、あくまで監督が求めているのが『強い選手』であって『牛島若利』という人間そのものではない以上は俺が選ばれていない未来もあり得たのだと、突きつけるにはあまりにも鋭い現実。
それは求められることに対しても同様で、俺が**に触れるたびにグラビアアイドルでもAV女優でもないただの幼馴染たる彼女の身体で満足できているのかと、冷静な部分で俺に問い続けているのだという。けれど例え釣り合わないと周りに言われたところで俺は**以外の女に触れたいなどとは思わないし、彼女が俺以外の男に触れられるのも堪え難い。
そんな俺の独占欲は、彼女の目には理解し難いものとして映っているのだろう。それでも、俺は――せめて今この夢の中でだけでも、**を自分のものにしてしまいたかった。

「……なら、いい」
「?……わっちゃん?」
「なら、そうだな……足で、踏んでもらいたいんだが……いいか?」
「へー……わっちゃん、そういう気分なんだ。意外だねー……わかった、いいよ」

普段の俺ならしないであろう提案に一瞬戸惑いこそ見せたものの、**はいつも通りの無表情のまま俺の言葉に頷き、ベッドに寝そべったままの俺のズボンを遠慮なく脱がしていく。そうして下着をずらし露わになった俺のものを、黒いストッキングに包まれた足で踏みつけた――俗的な言い方をすれば、足コキとでも呼ぶのだろう。
最初は口で咥えてもらうことも考えたけれど、俺のものに口と舌で奉仕する下品な姿など、それこそ普段の穢れなき彼女からは想像もつかない。それに、跪かせるよりは踏んでもらう方がストッキングも映えるだろうと、そう思ったのだ。

「どう?私、足で触ったことないからよくわかんないんだけど……これであってる?」
「あ……ああ、そうだ。そのまま、続けてみてくれ、」
「ん、わかった。やめてほしかったら、そのときは止めてね」

それだけ言って、**は俺のものを踏んだり擦ったりして弄び続ける。いつも通りあくまで淡々と、甘い言葉など一言たりとも発さず表情も変えずに俺のものを弄ぶその様は、本物の彼女に足コキをさせたらこんな感じだろうかという想像そのもので――現実では一度たりともさせたことがないというのに声も顔も仕草もやけにリアルで、俺の興奮を煽るには十分すぎるほどだった。今までは彼女に快楽を与え反応を引き出すことに徹してきた俺だけれど、夢の中の彼女にそんなことをしても意味なんてないのだろう。
恋を知った怪物は観測者としての役割を放棄し、目の前の獲物にただ牙を剥くのみ。俺の夢の中ではそれを諫める者も制止する者もおらず、ただ本能がままに快楽を追い求めるのだ。

「烏野ってとこの……影山くんだっけ?その子には『自分に尽くせない奴はいらない』みたいなこと言ってたのに、私にこうやって足蹴にされるのはいいんだ?」
「ッ……ああ。**になら、」
「そう?まあ、わっちゃんがいいなら、なんでもいいけど……」

普段通りの言葉に、普段通りの淡々とした表情。その言葉に恍惚とした響きなどはなく、これで俺が満足しているのならそれでもいいと言いたげに、彼女はただ淡々と俺の欲望に応えていく。
扱き続けられるままに彼女の足へと張り詰めた熱を擦り付け続ければ、ゴムなど纏わせていないそれはだらだらと先走りを垂れ流す。けれど、その感覚にも彼女は顔色一つ変えやしない。

「ッ、ぅ……**、」
「へー……こうして見ると、わっちゃんのって結構大きいんだね?わっちゃん、背高いもんね」
「ッあ、ぐ……ッ……」
「ってことは、これがいつも私のナカに入ってたんだ?私、いつも目を閉じてたから、知らなかったよー……」

足の裏で俺のものを挟みながら、先走りの滑りを利用してそのまま上下に擦り上げるようにして。足の指の間も使って竿や亀頭を弄びながら、**は冷静にそんな感想を述べている。
気持ち悪いものを見るでも興奮に目を輝かせるでもなく、欲望に塗れた俺をただ理解不能なものとして映しているのであろう彼女の目。それでも、俺はそんな彼女に――ストッキングの質感、体温、足コキ特有の力加減、そしてなにより普段の彼女からは決して見ることのできない俺を責める姿に、浅ましく興奮してしまっていた。
結局、いつも**が言っているように、俺もただの人間だったのだろう。いや、彼女の前では初めから――俺は周りが言うような『全国大会常連校を率いる主将』でも『全国高校3大エース』でも、ましてや『東北唯一の日本ユース代表』でもなく、欲望に突き動かされるだけの、ただの人間だったのだ。

「ッ……悪い、そろそろ……」
「ん?……やめた方がいい?」
「いや、続けてくれ……っ、」
「わかった。……いつも、ここから出してるんだっけ?いいよ、出せるだけ出して」

俺の限界が近いことを察したのか、**は両足の裏で俺のものを挟み込み、ぐりぐりと弄り回してくる。ストッキング越しに彼女の足の温もりを感じつつ動かされる足は先程までよりも強く快楽をもたらし、俺はあっけなく絶頂を迎えてしまって。
どくりと溢れ出た精液はストッキングを白く汚していき、セーラー服のスカートの裾にすら少しかかったほどだ。だというのに、**はそれを気にする様子もなく、体液まみれになった自分の足と俺のものをただ静かに見つめている。

「っはー……わ、るい……**」
「別にいいよ。どれだけ出れば正常なのかとか、私にはわかんないし……やっぱり、わっちゃんは私より人間らしいね」
「?どういうことだ?」
「わっちゃん、こういうのでも興奮するんだなって。いつも受け身でいいって言ってくれてるし、私にこんなことさせたことなんてなかったのになー……って、意外に思っただけ」

絶頂を迎えた直後で息が上がっている俺をよそに、**は普段と変わらない単調さでそんな言葉を発してみせる。最初から最後までただ淡々と俺の欲を受け止めていただけの彼女の姿は、夢の中であるというのに現実との乖離を少しも感じさせない。
しかし、そんな**の反応すら、今の俺にとっては興奮を煽る材料にしかなり得なかった。体液に塗れた彼女の黒いストッキング、俺とは逆に欲も興奮もまるで感じ取れない無機質な表情――その全てが、今この夢の中でだけは、俺だけのものなのだ。

「ね、わっちゃん。次、何するの?……私のこと、どうしたい?」
「どうする、か……そうだな……」
「んー?」
「なら、**。……そこに、寝転んでくれないか?」

俺の言葉を受けて、**はベッドにゆるりと横になる。スカートが捲れ上がり下着が露になっても気にした様子もなく、彼女はいつも通りの無表情で目の前の俺を見つめていた。
手を添えて、足を開かせて。ストッキングのクロッチに爪を立て、わずかに生じた綻びを段々と広げるように裂いていく。これが夢でさえなければいつものように慎重に脱がせるところだったけれど、せっかくの都合の良い夢なのだからと、あえて一度やってみたかったことをすることにしたのだ。

「?……わっちゃん、脱がさないのかなーって思ってたけど……破るんだ?いいけど、ちょっと意外」
「一度、してみたかった。……幼稚、だろうか」
「ん、いーよ。下着も履いてないしね」

そうして一部分だけが破られた状態になり、やがて何も纏っていない**の秘部が露になる。やはり夢の中だからか彼女には何もしていないのにも関わらずそこは都合よく濡れていて、俺を受け入れる準備もできているようだった。
少し捲り上げられたセーラー服、破かれたストッキング。俺が私服姿なのも相まって、幼馴染相手だというのに生徒を犯している教師にも見えるその光景は、あまりにも淫靡で、背徳的で。

「っ、ふ……んんっ……ぅ♡あ……ぁっ♡」
「ッ……は、ぁ……**、」
「っふ……ん、んんっ♡あ、あー……っ♡」

すっかりと熱を持ってしまった俺のものの先端を何度かぬちぬちと前後させてから、ゆっくりと**の中に沈めていく。夢の中なので当然ゴムなど持っておらず、必然的にナマで挿入する形になった。
いくら生でナカに出しても孕まないということを考えれば得なのかもしれないけれど、とはいえ今までゴムを纏わせずに彼女に挿入した経験などなく、薄皮一枚分の隔たりのない感触は全て俺が作り上げた想像上のものでしかない。なのに、目の前の光景も感触も夢でしかないというのに、それでも俺はその快感と背徳感に酔いしれてしまう。

「はー……ッ……ぅ、」
「っふ、ぁ……♡あー…………っ♡」

ゆっくりと奥へと進め、やがて**の最奥までたどり着いたところで、そのまま何度も緩く抽送を繰り返す。締め付けも滑りも良いおかげで俺の動きに合わせて水音が響き渡り、それがいっそう俺の興奮を煽った。
ふわり、ふわり。熱に浮かされ漂いつつ俺から与えられる快楽をただ受け入れている、それは俺の記憶通りの姿ではあった。しかし、その奥底には先程俺のものを踏んでいたときのような、蠱惑的な影が見え隠れしているようにも感じられて――普段はされるがままの彼女をよしとしている俺だけれど、心のどこかで**にもこうして欲望を向けられたかったと思っていたのかもしれないと、そんなことを考えてしまう。

「っん、ぁ……あ♡っふ、んん……♡」
「っは、**……痛くは、ないか……?」
「っぁ、ん……♡うん……へーき、だよ……♡」

恍惚、陶酔、倒錯。これはただの夢であり俺が犯しているのは想像の**でしかないはずなのに、どうしてか俺まで頭がうまく回らない。
生々しいほどリアルなこの感覚にもしかしたら夢どころか幻覚が見えているのではないかとすら疑ってしまうけれど、それでも俺は、せめてこの夢が醒めるまでは彼女の身体を貪り続けたかった。

「っあ……あ♡やぁっ……♡はっ……♡はっ、ぁ……ぁあッ……♡♡♡」
「っ……は、ぁ……」

やがて、次第に乱れ始める呼吸と嬌声。そしてそれに比例するように締め付けもキツくなり、まるで俺の精を欲しがるかのように奥へと誘い込もうとしてくる。俺を受け止めている**のナカもずっと熱を増していっているような気がして、それが余計に俺を高みへと登らせた。
彼女の腰を掴み最奥を突くように何度も何度も腰を打ち付ける度、ぐちゅぐちゅと水音が響き渡る。

「っ……**……は、ぁッ……!」
「やっ♡あッ、ああっ……♡んぁッ♡」

絶頂したのか身体を跳ねさせる**が愛おしくてたまらなくなって、彼女に覆い被さるように身体を近づけそのまま口づける。同時に俺側も限界を迎えたようで、気がついたら彼女のナカに白濁液を注ぎ込んでしまっていた。
しかし、これは夢なのだから、彼女を孕ませることなどないのだろうと――そう思ったところで、ぱちん、とシャボン玉が弾けるように夢から醒めた。

「……」

いつもと同じ寮の自室、ベッドに潜り込んでいる俺の身体。もちろんそこに**の姿はなく、あるのはベッドから退かしたボールやら机の勉強道具やらだった。
彼女の出る夢ならいくらでも見ていたかったし、いくらでも彼女を思うがままにしていたかった――そんな俺としては、最初から夢だと自覚していたとはいえ、もうしばらく醒めてほしくなかったものだ。

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