Spending all my time


白鳥沢学園高校を卒業して2年――俺は父親が語っていた『日本一のエース』のようになるべく、日本代表としての道を順調とは言えないまでも歩み続けていた。一方幼馴染で同級生でもあった彼女・神山**は無事に志望していた大学の心理学部へと進学したものの、その1年後に大学関係の何かのイベントで出くわしたという俺の高校時代の後輩・白布曰くは、酷くやつれた顔をしていたらしい。
時々連絡を取るときは元気そうな様子を見せていたけれど、実際俺と離れて過ごすのは耐え難いほどに生き苦しかったそうで、大雑把に言えば俺に会えない時間の中で心を壊してしまったのだという。俺を追って白鳥沢に入学した者同士でもある白布とはある程度仲良くなっており、主に俺絡みの話をちょくちょくするような関係性とは聞いているけれど、彼女の普段からあまり何かを人に求めない性格からするにその白布がすぐ俺に連絡をよこさなければ今も気づいてやれなかっただろう。会ったことすらない『日本一のエース』の影だけを追って大事な恋人から目を背けてしまっていたツケが、今になって回ってきたのだろうか。

「……牛島さん!こっちです!」
「あ……わっちゃん、待ってた、」

駅前で待っていた**は昔の面影を残してはいたものの、白布の言う通り少しやつれており顔色が悪かった。とりあえず駅構内のレストランは混み合っているからと近くのオムライス専門店に入ったはいいけれど、新商品なのだというチキンカツが載ったものを頼んだ彼女はあの頃にも増して食欲がないようで、隣でしらすと大葉を使った和風のものを食べている白布よりもずっとゆっくりめに食べていた。
一緒にいるようになって10年ほど経った今でも**が俺のことを好いてくれているかは未だにわからないけれど、かつて俺の側は生き心地がいいと言っていた通り、俺の存在は彼女の中で酸素や精神安定剤も同然になっていたのかもしれない。**自身すら自覚できないほどに、『俺の側は息がしやすい』から『俺がいなければ息苦しい』状態になるまで依存していたのだろうか――そう考えると少し笑みが零れてしまうのをなんとか抑えつつ、まずは目の前の彼女が話してくれるのを、ハンバーグが中に入ったハヤシソースのオムライスを口に運びながら待つ。

「……気づいてやれなくてすまなかった。俺が苦しめていたのなら、真っ先に気づくべきだったのに」
「こっちこそごめんね、わっちゃん。私のためにわざわざ地元来させちゃって……」
「問題ない。元々オフシーズンだし、お前に会いたいと思っていたところだから」

幼馴染として、恋人として。初めから俺は**と対等に接しているつもりだけれど、彼女の言葉の端々からは俺を『付き合わせている』という認識なのが今も窺える。決して自分勝手というわけではなくむしろ自分が好きだからという理由で何かを選ぶことはほとんどない、所謂『外発的動機づけ』で動く**は俺が怪物だの化け物だのと他校の生徒から畏怖されるが如く、マネキンのようだと評されていた。俺とて何をやっていても楽しそうではないと天童から言われたことがあるけれど、彼女の揺さぶられなさはそれ以上に感じる。
そんな**は俺といること自体は心地よく思ってくれているようだけれど、好きという言葉に対してはいつも理解しきっていないような表情を浮かべていた。怖くないと医者から言われたとしてその言葉自体が麻酔としての効能をもたらすわけではないように、彼女にとっては好きだとか嫌いだとかと言葉にするよりも身体的な、本能的な感覚に訴えられる方が響くのだろう――だからなのか彼女は俺に何があっても、いくら好意をぶつけても、出会った頃からずっと変わらず俺を幼馴染として見ていたままだった。
流れで処女を散らす形になった、高校1年生の夏休みだってそうだ。今の時期に経験しているのが普通らしいと聞いた**が俺に頼んできたのをきっかけに、天童やユース時代のチームメイト経由で仕入れた知識を駆使して彼女の初体験の相手をしたのだったか。適当な相手を捕まえずに真っ先に俺に頼んだのは、あくまで周りの心象をよくするためだったと――恋人でもない人相手なら後ろ指を差されるかもしれないけれど幼馴染相手なら逆に羨ましがられるだろうからと、そんな理由を語っていたのを覚えている。彼女にとってはその程度の認識なのかもしれないけれど、どんな理由だとしても俺を受け入れてくれるのならば、彼女の側でずっと恋焦がれていた俺としてはそれでよかった。
**が俺にねだることがわがままだというのなら、好きや嫌いのわからない彼女の特別になりたいと、そんな俺の願望も幼稚なわがままになってしまうだろう。

「それで、具体的に俺は何をすればいい?何をすれば、お前の力になれる?」
「あはは……わっちゃんは、優しいね」
「お前のためだからな。俺にできる範囲でなら」
「うん……わっちゃんさえよければなんだけど、私のこと……楽にしてほしくて、」

もう息苦しいのは嫌なの、と呟いたその表情は普段表情を歪めない**にしては珍しく苦しげなもので、それはつまり彼女がどこまで追い詰められたのかが如実に現れていたとも言える。俺としては彼女の苦しむ姿などこれ以上見ていたくないのだが、しかし不器用な俺にメンタルケアは向かないというのが正直なところだった。
中学時代から何度も戦った相手である及川は味方の性格や癖を把握しチームの最大値を引き出していたし、女子に愛嬌を振り撒いていたところからするに女心というものも理解しているのだろう。できれば俺以外の誰にも、それこそ俺の斜め向かいにいる白布にさえも**を渡したくないのが本音ではあるが、それが彼女のためになるのならば突き放して第三者に任せることもやむを得ないか――とも考えたものの、それは彼女自身によってやんわりと拒まれる。

「楽に、か……だが、俺はそういったことは得意ではない。白布の方がいいんじゃないのか?」
「……ごめんね、無茶なこと言っちゃって。でもね……わっちゃんがいないと、私はもう駄目みたいなんだ」

何かに対して苦言を呈したり選り好みをしたりすることの少ない**にしては珍しく、明確に俺を選ぶような言葉。誰でもいいと、誰にされても自分にとっては何も変わらないとまで言っていたあの**が、俺だけを求めている――彼女のその一言だけで、俺の全身の血液は沸騰しそうになるほどに熱くなった。そういえば先程も、もし本当に誰にされても変わらないのなら俺がいない分の穴も埋まるだろうと何度か大学でのナンパにも応じかけたもののその度に言語化できない違和感を覚えて結局拒絶したのだと、そう言っていた気がする。
考えてみればそもそも何事にもあまり興味を示さない**は俺が出る試合も見たことがないと言っていたし、及川の顔も母校も知らないのだろう。白布に頼むならまだマシかもしれないけれど、今の状況下で面識のない相手と出会わせて余計に彼女を苦しめてしまったら本末転倒だ。

「……ああ、わかった。尽力しよう」
「わっちゃん……!」
「白布、**のためにはどうしたらいいだろうか?」

とはいえ、**を楽にしてやるために俺ができることの選択肢は限りなく少ない。彼女が俺を求めているというならそれに応えてやれるのが一番なのだろうが、俺には彼女の苦しみを取り除く方法はわからなかった。
とりあえず白布に意見を仰ごうと話を振ってはみたものの、あいつは俺のことを信じているのかいないのか、酷く微妙な顔で口を開く。

「……牛島さんご自身は、どうしたいんですか?」
「もちろん楽にしてやりたいが、俺にはそういった知識がない。お前なら医学部に進んだと聞いていたし、その方面にも詳しいだろうと思ってな」
「まあ、酒でも飲ませればいいんじゃないですかね?神山さん本人が酒を受け付けない体質だったら、また別ですけど」

白布の言っていることは、わからないでもない。確かに簡単に楽にしてやれる媚薬のような薬はここにはないし、注文できるといえば酒くらいだろうか。幸い俺も**ももう成人しているから問題はないけれど、酒を飲ませたあとはどうしてやろうか――タクシーで連れ帰ってから俺の部屋に閉じ込めて、ただひたすら何も考えられなくなるまで快楽に沈めでもしてしまえばいいだろうか。
とはいえ白布が言うには脳は否定系の命令を聞かないようにできているらしいから、俺のことだけを考えさせる方向性で誘導してやることにしよう。

「ああ、そうする。……すみません、このお酒お願いします」

**がどんな酒を好むかはわからないけれど、とりあえずアルコール度数だけは高めのものを頼んだ以上酔いが回ることは保証できている。幼馴染とはいえ成人してからはこうやって対面することはあまりなかったこともあり彼女のアルコールへの耐性は把握していなかったけれどどうせ早く酔いたいのなら思い切り酔わせた方がいいだろうし、もし酒癖が悪かったとしてもここには店員がいるからどうにでもなるだろう。
そうして俺の姿を見て食欲が戻ってきたらしい**がオムライスを食べ終わるまで見守りつつ、やがて届いたグラスを彼女の前に置いてやる。

「これでよかったか?甘口で飲みやすい部類らしいが」
「……?あんまり飲まないからわかんないけど、ありがと」

目の前に置かれたグラスを恐る恐る持ち、ゆっくりと口に含んで嚥下していく**。このままどのくらいまで酔ってくれるのだろうかと思いつつその様子を観察していると、10分ほど経ってからぐらりと身体が傾きはじめる。
俺の杞憂とは裏腹に、アルコールにめっぽう弱かったらしい彼女は存外すぐに酔っ払ってくれたようだ。酒が回っているからか先程よりも血色がよくなっており、瞳はとろんとして焦点も定まっていない――普段の**もぼうっとした感じではあるけれど、今は更に拍車が掛かっているように見受けられた。

「んー……?なんか……ぽわーってする、かも……?」
「酔いが回ってるんだな……全部飲めそうか?無理しない範囲で構わん」
「だいじょーぶ……わっちゃんのお金なら、無駄にするわけにいかないもん……」

確かに今日の会計は全て俺が持つつもりでいるしそれを最初に言ったけれど、かといってそれを気に病ませたいわけではない。俺のせいでここまで苦しんでいるというのに、さらに追い詰めてしまうわけにはいかないだろう。
俺が無理しない範囲でいいと言ったのを聞いたのか聞いていないのか結局そのまま全て飲んだ**だけれど、つまりアルコールは2時間くらいは持つ計算ということになる。意識もぼんやりとしているようだし、少しくらい言葉を選んでやればさしもの俺でも思う通りに誘導できそうだ。

「大丈夫か、**。立てそうか?」
「うー……?」

俺の呼びかけにゆるりと顔を上げた**はいつにも増して微睡んでいるような眼をしており、思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。アルコールの作用も手伝ったのだろう、蕩けたような笑顔を浮かべる彼女はどこか危うげで、タクシー乗り場に連れて行くのでさえも1人では足元が覚束なさそうだ。
とりあえず会計を済ませ、それから俺よりも背の低いその身体を抱き寄せてやれば、彼女はまるで幼子のように俺の身体に身を委ねる。

「……ほら、捕まっていろ。支えてやるから、」
「ん……ありがと……」
「白布も、今日はありがとう。また連絡する」
「はい、ではまた何かあれば――」

俺の肩に掴まればなんとかバランスは保てるようだけれど、この様子では**の意識が途切れるのは時間の問題だろう。
タクシーを呼んでもらい、そのまま白布と別れて彼女を家まで送り届ける。幸い厳しい母や祖母は今がオフシーズンなのを知ってか知らずか、ご丁寧に2人で温泉旅行に行くと俺に連絡を寄越してきていた。家に着いても彼女は寝ていたので覚めないうちにと部屋に布団を敷き、何本かの水と5箱分のゴム、そして目隠しを枕元に用意していく。
これで、彼女を沈めてやる準備は整ったのだが――さて、どうやってぐずぐずにしてやろうか。

***

とりあえず意識が戻ったらしい**を布団の上に座らせ、レストランで白布と別れたこと、ここが俺の家だということを伝える。まだアルコールが完全に抜けきっているわけではないらしく、俺が支えていなければ今にも後ろに倒れてしまいそうだった。
幸い布団の上だからか倒れたとて痛がることはないだろうけれど、この状態で寝転ばせるのは些か不安だ。それに目隠しをするのなら押し倒してしまう前の方がいいだろうと、確認する。

「……**。何も見えないように、目隠しするか?」

人が受ける情報の8割は視覚だと言われているから、その視覚を封じることでより快楽に没入させることは出来るだろう。俺にできる限りのことはしてやりたいし、それで**が楽になるのならやらない手はない。
俺の姿が見えないことで逆に不安になる可能性もあるだろうから一応は彼女の同意を取り付けておかなければならないが、視界を塞いでのプレイは今までにも何度かしてきたのだし問題はないだろうと信じたい。

「それとも、俺の姿が見えないと不安か?」
「ん……わっちゃんがいるの、わかるなら、」
「そうか、なら大丈夫そうだな?」

同意も得たことだし早速視界を奪ってしまおうと、まずは**の前にしゃがみ込む。目隠しを目に当ててサイズ感を確認したところ幸いぴったりと合っていたので、抱きつくようにして手を頭の後ろに回し固定すれば、彼女は一瞬戸惑ったものの俺の声が聞こえると同時に安心した様子を見せた。
人によっては驚いたり不安がったりしてもおかしくない状況だろうけれど、俺が目の前にいるとわかっているからか彼女は何も抵抗しないし、嫌そうなそぶりも見せてはいない。

「痛くないか?やはり外した方がいいか?」
「……?だいじょーぶ。わっちゃんしかいない、なら……」

どうやら、俺がいることさえわかれば何も問題はないらしい。
俺が側にいるのなら視覚があろうとなかろうと**にとっては些末なことのようだし、それならばこのまま進めてしまおうと、まずは身体の上からするするとゆっくり触れていく。
視覚が封じられているからか触られているという感覚は鋭敏になっているらしく、身体の形を確かめるようにじっくり撫で回していると彼女は僅かに身体を揺らすけれど、どうやら嫌ではなさそうだ。

「?わっちゃん、さっきからずーっとさわって……」
「そうだな。触ってる」

**がいつもいい反応を返していたところを掠めつつ、時間をかけて全身を撫で回す。苦しまないでいられる時間は、長ければ長いほうがいいに決まっている――ならば彼女の望むまま、いくらでも俺の手でどろどろに蕩けさせてやろう。
もうキスをしてしまおうかとも思ったけれど、その前に耳を責めて反応を見るのもいいかもしれない。耳の輪郭をなぞるように舌を這わせると、彼女はぞくぞくと身体を震わせる。

「……っ、うー……?♡ひっ、ぅ……!?♡」
「どうした?」
「ん……なんか、へんなかんじ……♡」

うつらうつら、こくりこくり。微睡むように俺の愛撫を受け止める彼女は既に相当出来上がっているらしく、少しずつだが感度が高まっているように見える。実際、耳から首筋をゆっくりと唇でなぞってやれば、**は控えめながら身体を揺らし声を甘くしていった。
そろそろ、口付けをしてもいい頃合いだろう。彼女の顔を持ち上げ、唇が触れ合いそうなくらいに顔を近付け――やがて、その唇に触れるだけのキスを落とす。

「ん、ぅ……♡」
「……ん、ふ……」

最初は触れるだけ。次は啄むように、そして角度を変えてまた口付けて。何度も繰り返しているうちに次第に**の唇が僅かに開くようになるのを見計らい、やがて隙間からぬるりと舌を滑り込ませる。
舌と舌をねっとりと絡ませていけば彼女は少しだけ苦しそうな声を漏らすものの、抵抗するそぶりは一切見せない。それ自体は普段も同じだけれど、今日はいつにも増して従順なのは彼女自ら俺に頼んできたからだろうか。耳を塞いでやろうとも思ったけれど、俺の声まで遮断されたら本当にパニックにでもなってしまうだろう。

「ふぁ……っ、ぁ……ぅ……?♡」
「……ふ……っ」

歯列をなぞり上顎を刺激してやると、**は身体を揺らしながら息を乱す。キスひとつでここまでの反応が返ってくることはほとんどないから、彼女の感度は普段よりも相当高まっているらしい。
このまま窒息させて殺してしまったら楽になるどころではないだろうと唇を離した頃には身体の力が抜けてしまったらしく、くたりとへたり込んでいた。座る体勢を保つことすらもおぼつかなそうな様子に、そろそろ布団の上に転がしてもいい頃合いだと判断する。

「……**。座ってるのも、つらそうだが……」
「んー……ちから、はいらな……っ♡」
「だろうな。すぐに寝かせてやりたいんだが、その前に水を飲んだほうがいいだろう。……もう少し、頑張れそうか?」
「みず?……ありがと……♡」

とはいえ今の**は暑そうにしており、このままならいずれ脱水症状を起こしてしまうだろうとすら思えるほどだ。
布団の上に転がす前にと枕元のペットボトルを開け、口部を咥えさせる。そのまま手で支えてやれば、彼女は俺の手に支えられたままゆっくりゆっくりと水を嚥下していった。少しずつ喉が動いているところを見ると、どうやらしっかり飲めているらしい。

「ぁ、ぅ……♡わっ、ちゃん……♡」
「飲み終えたみたいだな。……そろそろ、脱がしても大丈夫そうだな?」
「うん……♡はやく、らくになりたい……♡」

緩慢な動きで頷くのを確認し、俺はゆっくりと**の服に手をかける。それからシャツの中に手を回しブラジャーのホックを外せば、衣服に覆われていた白い乳房が外気に晒された。
身体を支えつつゆっくりと布団の上に下ろした頃には、彼女はベッドの上に横たわる患者のように弱々しい姿になってしまっていた。遅くなって申し訳ないとは思ったけれど、ブラジャーに関しては先に脱がせていなければ余計時間がかかっていただろう。
依然俺に全てを委ねるように脱力している**は普段から俺の前では無防備ではあるけれど、今はアルコールが回っていることもあって普段以上に無防備に思えた。

「ぁ、ぅ……♡わっ、ちゃ……ぁう……っ♡」
「気持ちいいか?」
「んっ、ぅ……♡きも、ち……っ♡きもちーよぉ……♡」
「なら、ちゃんと触ってやらないといけないな」

ブラジャーを取り払った頃からぷっくりと主張していた胸の先端を爪先で弾いて、摘んで、引っ掻いて。もう一方には唇を寄せてぢゅっと吸い上げて――両の突起を重点的に責めてやるたびに、**はびくびくと身体を揺らす。
何度も重ねた行為だ、どこをどう触れば彼女が喜ぶのかなど当然のように把握している。そして彼女の言葉が正しければ、彼女も俺にしか開発されていないのだろう。
だからこそ、俺が**を満たしてやらなければ。
俺だけは、この現実で微睡むように揺蕩い続ける彼女の酸素になってやらなければ。
快楽を与えて、埋め尽くして、ぐずぐずにして。もう痛みも苦しみも何も感じないように、ひたすらに甘やかしてやろう。

「ぁっ、あ……♡わっちゃ、わっひゃん……♡」
「ああ、ちゃんとここにいてやるからな。俺の声だけを聞いていれば、大丈夫だから」
「ぅ……っ♡わっちゃんの、わっちゃんのこえ、だけ……♡」

蕩けかけた頭に染み込ませていくように、ゆっくりと暗示をかけていく。不器用ながらも俺なりに優しい声をと、小さい頃に俺に語りかけてくれた父親の声色を意識して囁きかけてやれば、幸い効き目があったのか**はこくりと首を縦に動かして応えてくれた。
ゆらりゆらり、ふわりふわり。微睡んだままの彼女をもっと蕩けさせようと、吸っていない方の先端をぴんと指で弾く。

「ふぁ……っ♡わっちゃん、それ……っ♡」
「ああ。**はこうすると、いつも気持ちよさそうにしてくれる」
「ぅ、ぁ……っ♡ん、きもちい……っ♡きもちーの……♡」

こくこくと何度も首を上下に振るその姿はひどく扇情的で、その姿を見ただけでもこちらまで達してしまいそうになるほどだ。けれど今この行為をしているのはあくまで**のためであって、決して俺の欲をぶつけるためではない――そう自分を戒めつつ、このまま一度絶頂させ楽にさせてやるために、追い打ちをかけるように吸い付いてやる。
ばたばたと無意識なのか快楽を逃がすように足を動かす彼女を押さえつけながら、絶頂の後押しをするように少しだけ強めに歯を立てて甘噛みして。そのまま舌の腹でべろりと舐めてやれば、やがて彼女は身体をびくびくと痙攣させ一際高い嬌声とともに絶頂を迎えた。

「ふぁ、あ……っ♡ぁ、ぁう……〜〜〜〜っ♡」
「ん、上手にイけたな。いい子だ」
「ぁ……?わたし、もういっちゃったの……?♡」
「ああ。……でも、もっと……もっと、気持ちよくなろうな」

甘イキの余韻に浸っている**を横目にゆっくりと背中の下に手を入れ、少し腰を上げさせる。そのままおむつでも取り替えるような体勢を取らせショーツの上からなぞったそこは既に湿っており、下着だけを抜き取れば晒け出された秘部は案の定既に蜜を溢れさせていた。
ここまでされてもなお恥ずかしがることなどなく、逆にアダルトビデオのようにわざとらしく見せびらかすこともない。どれだけぐちゃぐちゃにされても嫌だとかだめだとかと拒むようなことは決して言わず、ただ、俺が与えるものをありのまま、されるがままに受け入れる――普段こそそんな、ひたすらに従順な彼女だけれど、今日はどこか物足りなさそうにしている様子が見受けられる。
こうして快楽を欲することができているのなら、**の言う『人間』にもだいぶ近づいただろう。どちらにしろ今日はとことんまで快楽漬けにしてやるつもりだし、彼女が望むならば望むまま、いくらでも満たしてやろう。

「わっ、ちゃ……ぁ……っ♡」
「いくらでも触ってやる。今まで触ってやれなかった分、今日はたくさん気持ちよくしてやるからな」

堕とす話術を持ち合わせない俺にできることといえば、意識が飛ぶまで犯すことくらいだろうか。流石に指だけで意識を飛ばすことはないだろうけれど、幸い俺にはスタミナだけはあるし、彼女が満足するまで付き合うことなど造作もない。
剥き出しの下半身に手を這わせ、ゆっくりと指先をナカに侵入させる。そのまま空いた手で陰核にも触れてやれば、内壁はそれだけで俺の指を飲み込み溶かさんとばかりに蠢き始めた。

「ぁ……っ、ふ……♡わっちゃんの、ぁっ、あ……っ♡」
「もう、どろどろだな……指、増やして平気か?」
「ん……♡もっと、ほしーの……♡」

欲することを覚えた**はやがて指を2本に増やされても痛がる様子もなく、それどころかさらに奥に欲しがり始める。普段の遠慮がちでともすると無欲そうなところは残ってはいるものの、それでも約2年間触れてやれなかった分の渇きはさすがに耐えきれなかったのだろう、貪欲に俺の与える快楽を求めてくるばかりだ。
指の腹でざらりとした天井を擦り、同時に陰核を掠めるように弾いてやれば、 膣壁はさらに締まりを増す。びくびくと跳ねる身体と比例するようにその内部はどろどろに熱く蕩け、 俺の指までふやけてしまいそうなほどだ。

「ひゃ、ぁっ、あ……っ♡ぁ、んぅ……また、ゆびふえたぁ……♡」
「気持ちいいならいい。いくらでも、好きなだけイっていいからな」
「ぁっ、あ……っ♡ぁ、あ、ぁあ……〜〜〜〜っ♡」

陰核を押しつぶすようにぐりぐりと刺激しながら、先程増やしたばかりの3本の指でナカをかき混ぜて。快楽を与えれば与えるだけ、**のそこからは蜜が溢れ出てくる。
指で広げながら口をつけぢゅるぢゅると吸い上げてやれば、彼女は白い喉を見せびらかすように仰け反らせ、がくがくと腰を浮かせた。

「ぁ、あっ♡わっ、ちゃ……っ♡ひぅっ、う……っ♡」
「ん、ちゅ……っ、ふ……」
「ぁっ、ぁあっ♡あっ!あぁっ……〜〜〜っ♡」

そのまま何度目かの絶頂を迎えたのか、**はがくんと大きく身体を震わせて、全身をひくつかせる。もうすっかり蕩けてしまった身体は、弛緩しきったようにだらりと布団の上に伸びていた。
さすがに少し休ませてやるべきではないかと手を止め、ゆっくりと指を引き抜く。けれどそれは悪手だったのだろう、彼女は少ししてこの行為を始める前のような、苦しげな声を上げるようになった。

「ぁ……?…………っ、なんで……?」
「**?……どうした?俺が苦しめた?」
「なんで……?なんで、やめちゃうの……?らくにしてくれるって……きもちよくしてくれるって、いったのに……!」

ぷつん、と何かが切れてしまったような音。先程まで快楽を与えられ蕩けていたはずの**はそれを断たれたことで俺の不器用な暗示が解けかかったのだろう、ついには泣き始めてしまった。俺がいない間に何があったのかは白布から聞いたところまでしかわからないものの、どうやら俺が快楽を与えるのを止めたことで再び息苦しくなってしまったらしい。
確かにこうやって快楽漬けにし始めたのは他でもない俺であり、それも他でもなく彼女自身を楽にするために始めたことではある。とはいえさすがにこれ以上絶頂させ続けていればいずれ彼女の身体までもが壊れてしまうだろうし、やめないにしろ少し中断してもいい頃合いだろう。けれど、その判断こそが、結果的には浅慮だったのかもしれない。

「とは言っても、これ以上したらお前が壊れてしまうかもしれないと思ってしまってな。だから止めたんだが……」
「わっちゃんは、いつも……うそいわないから……っ、ひぐっ……だから、しんじてたのに……!」
「そう言われてもな……」
「っ、うっ……わっちゃんの、うそつき……!」

目隠しをしている状態でもわかるほどに、堰を切ったように溢れる涙。薬が切れて痛みに泣き出す幼子のようにしゃくり上げるその姿は普段からは想像もできないほどに弱々しく我が儘で、ある意味では一番**の言う『人間』らしいとさえ思えた。
とことん甘やかしてやるつもりでペットボトルやら5箱分のゴムやらを用意しておきながら、覚悟がなかったのは俺の方だ。もう道を間違えるなと及川に忠告した春高予選中の俺が、聞いて呆れてしまうだろう。
もっと、もっと。幼馴染として、恋人として、**が望むものは全て与えてやらなくては。
彼女の心が、身体が悦ぶことは――全部、この手で。

「……わかった。**の望み通りにするから、もう泣くな」
「っ、ほんと……?ほんと、に?」
「ああ、本当だ。……本当に、やめないからな」

服を脱がせる前のように優しく声をかけながら、ハンカチで**の涙を拭ってやる。気遣うことで悪い方向に向かうのならば、今日は何を言っても止めないことにしよう。
いそいそと下着を下ろし、熱を持ったそれを露出させ、箱から取り出したゴムを手早く装着する。やがて蕩けきった入口に先端を押し付け、そのまま一思いに最奥まで貫けば、彼女は待ち望んでいた刺激に歓喜の声を上げた。

「ぁ……っ!あ゛ぁぁっ♡あ、ぁあ……〜〜〜〜っ♡♡♡」
「っ、ぐ……きつくないか、**……?」
「ぁ、あ♡きもち、きもちーの……っ♡おく、ごりごりって、ぁっ、あ゛♡」

腰を押し付け子宮口を刺激するたび、**はびくびくと身体を痙攣させて悦ぶ。慣らしたおかげかゴム越しにもわかるほどに熱く蕩けきった膣内は快楽を貪るように絡みついてくるばかりで、俺の形にでもなっているのだろうかと錯覚まで覚えるほどだ。
もう理性の箍が外れてしまったのだろう、蕩けきった顔でただただ快楽に身を任せ、口からは意味のない嬌声ばかりが漏れ出している。こうなってしまっては、もうお互いに歯止めなど利くはずもなかった。
それもそのはず、今まで彼女に触ることができず満ち足りていなかったのは、俺も然りだったのだ。
普段の俺なら、彼女を伺いながらゆっくり進めていたところだろう。けれどそんな余裕など今はもう俺にはなく、ひたすら剥き出しの感情を彼女にぶつけるだけだ。

「ぁ、あ゛♡ぁっ、あ……〜〜〜〜っ♡♡♡」
「……ほら、**。キス、しようか」
「ぁ……んっ……♡うぅ……ふ、んむ……っ♡」
「ん……っく、ふ……」

**の上に覆い被さり、先程からずっと半開きになっていた小さな口を俺の唇で塞ぐ。左手で彼女の顎を支え、寝かせる前にしていたように隙間から舌を差し入れてやれば、その口内もまた熱く蕩けそうなほどに心地いい。
上も下もどちらもどろどろに混ざり合い、境目さえわからなくなっていくような感覚。呼吸ごと貪り喰らうように深く深く口づけながら、すっかり下りてきた子宮をぐりぐりと先端で抉ってやれば、**は足先までぴんと伸ばしつつ何度目かもわからない絶頂を迎えた。

「んぅ……っ♡んっ、んむ、ぅ……〜〜〜〜っ!!♡♡♡」
「ちゅ、ん……ふ……っは、」
「あ゛っ♡ぉっ、おぐっ……ふかいの、くる、きちゃ、ぁ……っ!♡ひぅっ、あ゛ぁぁ〜〜〜〜っ!!♡♡♡」
「ぐ……っ、」

唇を離してからも絶え間なく抽送を続ければ締め付けは増すばかりで、やがて俺まで絶頂を迎えそうになってしまうほどだ。にも関わらず**はそんな俺の状態など知らぬ存ぜぬとばかりに、ただだらしなく舌を突き出し絶頂に溺れきった表情を浮かべていた。
とはいえ、これはまだ序の口。やがて俺が絶頂を迎えても、欲を注がれ役目を終えたゴムを処理するために引き抜いても、それは決して終わりの合図ではない。

「は、ぁ……っ♡ぁっ、ん……わっちゃ……♡」
「ん……**、」
「ぁ……♡わっ、ちゃ……?♡」
「……まだ、いけるな?」

確認とばかりに**の右手を握れば、彼女はそっと俺の左手を握り返してくる。わっちゃん、と俺を呼ぶ甘ったるい声が、まだ俺の耳に残っていた。
もう何もかも、時間すらも忘れて。もう二度と彼女が苦しまないように、この麻酔のような快楽が解けてしまわないように繋ぎ止めて。やがてどちらかが気絶するまで、この手を離さないままでいる。

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