Dream Land

母親同士を介して知り合った幼馴染であり今は交際相手でもある『わっちゃん』こと牛島若利が、とあるリゾートホテルのペア宿泊券をもらってきたからと私に声をかけてきた。

「わっちゃん?いきなりどうしたの?」
「この券の期限が3月までなんだが、よかったら一緒に行かないだろうか?」

温かい乳幼児期の再現をテーマとしたらしいそのホテルはクラスの女の子達の間でも童心に返れると夏休みに行ったらしい子達を中心に噂になっていた場所だけれど、かくいう私は名前だけは聞いていたもののあまり興味はなく、休日にわざわざ予約してまで行くとまでは至らなかった。
曰くその宿泊券は元々彼が部活でお世話になっているらしい鷲匠監督が町内の懸賞で当てたものの、このホテルが想定している『幼少期』が私達世代のものである以上は生徒が行った方が楽しめるだろうと考えた結果、わっちゃんの手に渡ることとなったらしい。そしてレストランのメニューのハヤシライスに釣られ簡単に行くことを決めた彼は一緒に行く相手として天童くんを誘おうとしたものの、天童くんはショコラティエになるための勉強で忙しいと断られたとのことで、一応交際している私を誘うことにしたそうだ。

「いーよ、暇だし。それに、卒業したらばらばらだもんね」
「ああ。……それに、**の力になれるかもしれないだろう?」

本来異性と行くというよりは同性とパジャマパーティーでもしてわいわいやるようなところらしいけれど、かくいう私も志望していた大学には既に合格しており特に予定もなかった。それに、彼の言うとおり幼少期を再現した環境に身を置き自分の内側へと潜ることで、周りの言う『人間』に近づく手がかりを得られるかもしれない――そう踏んだ私は彼と離れ離れになる前の最後の思い出作りも兼ねて、一緒に行くことを承諾した。

***

結局、そのホテルには卒業後の春休みに卒業旅行という形で行くことになった。
両親はわっちゃんと一緒なら安心だからと簡単に行くことを許してくれたけれど、そもそもあまり旅行に興味のない私にとっては親抜きで旅行に行くことなど修学旅行以来だった。白鳥沢での寮生活と必要なものは同じかむしろ少ないくらいで、元々の性格もあり必要以上の荷物を持って行くことはなかったからか、1つのトランクで済んだのは嬉しい限りだ。

「大丈夫?天井、気をつけてね」
「ああ、バスなら遠征で慣れている。**は?」
「ん、大丈夫だよ。ありがと」

仙台駅から出ている直通バスに乗り込み、隣同士の席に座る。幸い卒業旅行シーズンで混んでいる中では気づかれなかったのか、ただの一人旅同士の相席だと思われたのか、有名人らしい彼がいるにも関わらず誰も声をかけてはこなかった。
1時間ほどバスは走り、やがて件のホテルの前で停車して。目の前には見るからに大規模な、そして洗練された洋風建築が映る。

「ここ、みたいだね?」
「建物からしてかなり大きいな。俺も、これなら頭をぶつけずに済みそうだ。……手続きするから、少し待っていてくれるか?」

全てが子供目線から見た大人のサイズに作ってあるというそこはワンフロアごとの天井も高く、空間も見渡せないほど広い。おかげで最近では童心に返りたい客だけではなく、身長が高いせいで並大抵の宿泊施設では天井に頭をぶつけてしまうような客からの人気も高いらしい。
華やかというよりもゆったりと過ごすようなホテルのためか周りを歩くのは部屋で着ているような私服姿の客ばかりで、自前なのだろう子供が着るようなコスプレ衣装を着ている人もちらほらいた。かくいう私が持ってきたのも寮の自室で着ていたようなシンプルな私服だし、彼もまた然りなのだろう。

「お待たせ。……あっちのエレベーターから行くみたいだな」
「結構上の階みたい。エレベーター、混んでないといいね」

エレベーターに乗り込み、宿泊する階のボタンを押す。少しして扉が閉まり、エレベーターがゆっくりと上昇を始めれば、その階に着くのはすぐだった。
鍵に書いてある番号と同じ部屋を探せば、ちょうど角の部屋だったためかすぐに見つかってくれて。鍵を開けて中に入ると、やはり高い天井が目に入る。

「わあ……」
「……思ったよりも、広いな」

このホテルにはいわゆるお子様ランチや家庭料理などなどを出してくれるレストランが併設されており、風呂も温泉の形式をとっているものの洋風という一風変わった大衆浴場なのだそうで。変わったところといえばアメニティとして子供の使うようなメイクセットがあり、新しい客が来る度に買い換えているというそれは持ち帰ることもできるらしい。
そして目の前に陣取る、いかにも童話に出てきそうな天蓋ベッドは、それこそ2メートル近いわっちゃんを含めた私達2人でも大きすぎるようにすら見えた。ベッドの側にはパステルカラーのクッションやパステルカラーの柔らかいボールが転がっていて、さすがに彼が昔描いていたバボちゃんだかいうキャラクターのぬいぐるみは置いていなかったものの、置いてあるものは自由に使っていいそうだ。いかにも子供部屋といった趣だが、日本家屋に住んでいた彼にとっては、家よりはむしろ白鳥沢の寮に近く感じるらしい。

「これは、ビーチボールだろうか……ん?何か音が聞こえるが、」
「ああ、これ。さっき言ってたアメニティのおもちゃだね」

パステルカラーのボールを手に取ると、確かに中からリンリンと音が聞こえる。どうやら中には鈴が仕込まれているらしく、軽く振るだけでも音が鳴るらしかった。
これを彼が打ったら――なんて想像してみるけれど、もし本当に周りが『大砲』と称するような強いスパイクをここで投げられたら何かに当たって壊れてしまう可能性だってあるだろう。せっかくの卒業旅行を弁償で終わらせるのは、私としても避けたいところだ。

「**は、何かしたいことはあるか?」
「んー……夕食までテレビでも見る?」

とりあえずテレビのスイッチを入れて番組表を見てみれば、今の時間帯はちょうど子供番組が再放送されている時間なのだという。一応わっちゃんにも何を見たいか尋ねてはみるけれど、彼もまた特に見たいものはなかったらしい。
2人で寝るにも広く感じる天蓋付きのベッドの上に座り込み、番組のお姉さんの真似をしたりして。そうしていれば彼もノってきたのか番組のコーナーの真似をしてパステルカラーのボールをこっちに、もちろん弱い力で投げ渡してきたりしていた。
そのうちに喉が渇いてきたところで一旦ベッドから降り、売店で既に買っていたペットボトルを備え付けの子供向けのマグカップに注いでいく。物珍しさで買ったココナッツミルクだったけれど少しだけ飲んだ時点でも口当たりが滑らかで、流石に毎日飲みたいというほどではないものの私としてはかなり飲みやすい部類だ。わっちゃんにもと2人分注いで手渡せば、彼もまた躊躇うことなく口をつけて飲み始める。

「ん、美味しい。なんか、飲みやすいね」
「ああ。……**なら、気に入るとは思っていたが」
「まーね。好き嫌いってほどの好き嫌いは、あんまりないしね」

物事にあまり執着しない私にとって『心地いい・心地悪い』は存在してもそれが『好き・嫌い』にまで発展することはなく、好物を訊かれても「『今は』○○にハマっている」と流動的な答え以外――例えばわっちゃんでいうハヤシライスのような決まった答えは、いつも持ち合わせていない。学食のたらこバター丼が新商品として出てきてからというものいつもそればかり食べるようになっていたのも、卒業してからは食べる機会がないだろうと「せっかくだから」食べたのが積み重なっただけに過ぎず、外に行ってまで食べようと思えるほどのものではない。
思えば、小さい頃から何に対してもそうだった。そんな私に構わず周りは私以外の誰かに対するのと同じように私にも何が好きだとかを訊いてきて、そのたびに答えられず申し訳なさを感じていたけれど、性格上からかあまり私にそういった干渉をしてこないわっちゃんの側にいるときだけは生き心地がよかったような、そんな気がする。

「ね……せっかくだし、寝っ転がってみる?」

再びベッドに上がり今度は寝そべってみれば、ふわふわのパステルカラーに沈みそうになる。
小さい頃は一緒に布団の中で寝る、なんてこともあったけれど、今となってはそうもいかない――わっちゃんの身長的に2人で入れる布団なんてそうないし、加えて少し前までは寮生活をしていた身だ。それに数日後にはそれぞれ別々の大学に進学し進路もばらばらになる以上、同じ部屋で寝泊まりする機会なんてますます減ってしまうだろう。
このまま2人で布団の中に入って、小さい頃のように抱き合ったりして。そうすれば何かしら思い出すことがあるだろうか、なんて。

「ね、わっちゃん。昔みたいに、一緒の布団で寝てみる?」
「寝こけるのにはまだ早いが……まあ、少しくらいならいいだろう」
「ふふ、寮だと一緒になんて寝れないもんね?」

わっちゃんが了承したのを確認し、ベッドの掛け布団を持ってまずは自分が潜り込む。それから彼に手招きすれば、彼も同じように潜り込んできた。
2人分の体積と体重を中に孕んだベッドは、少し経てばすぐに体温が移り始めたのかほんのりと温まる。暖房も冷房もつけていないけれど、このままこうしていればそのうちちょうどいい温度になるだろう。彼の言う通り、このまま寝こけてしまってもおかしくないかもしれない。

「やっぱ、わっちゃんと一緒だと温かいね」
「そうだな。それに、このベッドは柔らかくて気持ちいい」
「ねー。……わっちゃん、ぎゅー……」

大柄なわっちゃんにしがみつくように抱きつけば、やはりその腕にすっぽりと収まってしまう。そのまま彼の心臓の音まで聞こえてくるものだから、まるで母親の胎内に潜り込んでいるのかと一瞬錯覚しそうになるほどだ。
うつらうつら、ゆらりゆらり。彼の心臓の音を子守唄にしながら、意識が徐々に微睡んでいく。距離が近すぎると言われることもあるけれどその言葉の意味するところはよくわからないし、第一私達は幼馴染なのだ。

「……**」
「んー……?どうしたの、わっちゃん……?」
「無防備すぎだ、そんなにくっついて。付き合っているとはいえ、限度というものが……」
「もう……わっちゃんってば、いつからそんなこと気にするようになっちゃったの?」

確かに、周りの人々は私がわっちゃんといることに関して、なぜか必要以上に気にしてくるような気がする。
元々彼が『ユース選手』だの『全国高校3大エース』だのと呼ばれていることに関してもあまり気にしていなかった私は、ただ幼馴染といるだけのことを関係ないはずの他人がどうして気にしてくるのだろうとずっと不思議がっていた。だから彼のことを男として見ているのかと言われても、彼に正式に交際を申し込まれても、私にとっては変わらず彼は彼であり幼馴染のままだったのだ。
けれど、どうやらわっちゃんは、大多数の人間にとってはそうではないらしい。現に、わっちゃんはこうして捕食するような、ぎらついた目を私に向けているのだ。

「ちっちゃい頃なんて、こうやって当たり前にべったりくっついてたでしょ?何を今更……」
「まったく、お前は……」
「ね、わっちゃん。――遊ぼ?」

小さい頃遊びに誘っていたのと同じように手を広げてみたけれど、それは今のわっちゃんにとっては煽る材料にしかならないらしかった。先程まで上に掛かっていた布団は半分ほど剥がされ、その勢いで足元の方へと追いやられてしまう。
幼い頃よりも身体自体の面積が広がったことで密着しやすくなったのか、あるいはむしろしにくくなったのか。それは定かではないけれど、触れる機会自体は増えてきたのは確かだ。

「ああ。……遊ぼうか」
「ぁ、わっちゃ……んむっ……」

応えるように、触れるだけの口付けをして。あくまで戯れ合うという体裁は崩さないながらも、その実初めてのときのような初々しさなどなく、触り合いっこなんて子供じみた言葉が似合うようなものでもなかった。
お互い初めてではないのだから、当然その先のことだって知っている。こと行為の意味まではわからないけれど、それだって追々わかっていくことだろう。
今までだって、そうしてきた。拒むことも、大袈裟に演技をすることもない。与えられるがまま快楽を受け入れていれば、それでいい。

「ふ、ぅっ……♡は、ぁっ……わっちゃ……♡」

そのまま、わっちゃんはその舌をもって私の唇を押し開いていく。ぬるりとした感触にびくりとしながらも私は拒むことはなく、普段通りそっと口を開き受け入れた。
歯列から上顎、そして舌の裏側まで余すところなく舐り尽くされて。ぐちゅぐちゅと水音が脳髄まで響くような、呼吸さえままならなくなるような感覚に陥りながら、私はただただキスの快楽と、先程飲んだココナッツミルクの味に身を委ねていった。
奥底に眠っているであろう欲望を探り当て、引きずり出す。こうしているときはいつも私を人間にしていく儀式のようにも思えるけれど、今のそれは彼の言葉通り、わっちゃん側もどこか楽しんでいるようにも見える。

「ん、んっ……♡ふぁ……ッ……は……♡」
「っ……は、ぁ……**……」
「ひぅッ、ん……♡ふ、ぁ……わっちゃ……♡」

そしてそのまま、慣れた手つきで私の服を脱がしにかかってきた。普段は制服姿で致すことも多い私達だけれど、今日はお互い珍しくラフな格好をしているものだから彼にとっては脱がしやすいのだろう。
子供の遊びは加減を知らない。とはいえわっちゃんの場合は元々相手の皮肉を真に受けるような冗談が通じない性格だから、私が嫌だと言えば生真面目にも止めてくれているけれど――裏を返せば、私が彼を止めない限りは彼もまた止まってはくれないということだ。
わっちゃんといると生き心地はいいけれど、それが恋愛感情かどうかまではわからない。
この行為が特別好きだ、というわけでもない。
けれど、この時間が心地よいことだけは、確かだった。

「は……わ、っちゃ……あっ……♡」
「ん……**、」
「ぁっ……♡わっちゃ、もっと……っ……♡」
触り合いっこを続けるうちに服は半脱ぎの状態になっていて、下着も既に剥ぎ取られていた。そのまま片方の先端をまるで赤ちゃんが母親の乳を吸うかの如く甘噛みされ、吸い上げられて。そんなに吸われても妊娠していない以上は母乳など出てくるわけがないのに、その無為な行為にすら身体は正直に快楽を拾ってしまっていた。
もう片方の胸はどこかで売っていたいたずら系おもちゃの部品のように引っ張られ、摘まれ、捏ね繰り回され、抓られて。こちらもまるで触られるのを待っていたかのようにぷっくりと膨れ上がり、徐々に身体全体が快楽に苛まれていく。

「ひぅ、ぁっ♡んゃっ……♡ぁっ……♡」
「**。遊ぼうって言ったのは、お前だろう?」
「んっ……♡そーだよ……?♡たくさん、遊ぼうね……♡」
「ああ。最後まで、しっかり付き合ってもらわないとな」

やがて散々弄ばれていた胸の突起が解放されたかと思えば、わっちゃんはそのまま私の脚を大きく広げてくる。
花の蕾が綻ぶように自然に開く脚の間をまじまじと見られても今更恥ずかしいなどという感覚はあまりなく、むしろ彼の目にどう映っているのかが気になってくる程だった。
見たければ見ればいいし、見たくもないのなら見なければいい。幼馴染である私達の間に、そんな遠慮は要らないのだから。

「……もう、こんなに濡らしてたのか」
「そう……?♡わ、ぁっ……ひぁ……♡」
「ん、ふ……っ……」
「あっ……♡わっちゃ、ぁッ……♡」

下着で覆われていないそこに、ちゅ、ちゅとわざと音を立てて吸い上げられる度に腰が震えてしまう。まるで母親の乳に吸いつく赤ん坊のようだなどと考える余裕もなく、ただただ与えられる快楽を普段通り受け止めるばかりだった。
ひたすら弄ばれるまま、喘がされる。この行為に、嘘も遠慮も要らない。

「ぁ、わっちゃ……♡?これ見てて、楽しい……♡?」
「ああ。**が俺に快楽を与えられて悶える様子は、見ていて飽きないからな」
「そーなの……?♡ふふ、変なの……あっ、ひぅっ……♡ぅ、あっ……♡」

溢れ出る蜜を舐め取られながら、指先で優しく陰核をくにくにと押し潰されて。時折不意打ちのように甘噛みされては身体が跳ね、足先がひくりと震えるのが自分でもわかった。
私を捉えるわっちゃんのその目に情欲が宿っていることは、薄々わかっている。欲に溺れきった眼差しは決して授業中には見ないもので、もちろん欲を知る前のあの頃にも向けてこなかったであろうものだ。私に対してだけ向けているのか、はたまた他の誰かにも向けているのかは彼にしかわからないけれど、少なくとも今は私だけに向けられていることは確かだろう。

「ん、ふ……♡ぁ……♡」
「**。指、挿れてもいいか?」
「ひぅっ……♡ん、いーよ……っ……♡」

ぬぷ、という音を立てて、 彼の指がナカを開拓するようにして侵入してくる。内臓を擦られるような異物感に反射的に息が詰まったものの、それもほんの一瞬のことだった。身体の内側を暴かれる快楽を、私は既に知ってしまっている。
私よりも長く骨ばった指はやがて慣らすように浅いところをかき回していき、すっかり出来上がったナカを更にとろとろに溶かしていった。やがて増やされた2本の指でばらばらとナカを弄ばれれば、その度に下腹部から響く卑猥な水音が鼓膜を侵していく。

「あっ……♡ぁっ、わっちゃ……っ……♡」
「**、気持ちいいか?」
「んっ♡ぁッ……うん、きもち、いぃ……っ……♡ぁっ♡」

どろどろに溶けた思考回路では、まともに言葉を紡ぐことすらままならない。ぐちゅぐちゅとわざとらしく音を立てながら抽挿を繰り返されれば、次第につま先がピンと伸び、襲い来る快楽の波に抗うことも出来ずに爪先がピンッと伸びる。
そうして間もなく訪れた絶頂に身体をびくつかせながら、私はただひたすら与えられる快楽に浸っていた。

「ぁっ……ぁ……♡わっちゃ……♡」
「ああ。……もう、限界か?」
「ぅん……♡も……っ……♡」

一通り身体が跳ねたのを確認されてから、ナカに埋められていた指がそっと引き抜かれていく。外気に触れぬるつくそこはひくひくと快楽の余韻に浸り、未だに物欲しげに蜜を垂れ流しては空虚感に身体を震わせていた。
そうしてしばらく弄ばれた後でようやく指が抜き去られたかと思えば、わっちゃんはゆっくりと私の脚を開かせ、その間に身体を割り込ませてくる。

「**。……そろそろ、いいか」
「ん、いーよ……♡」

既に蕩けきっていた頭でもその意味はわかり、私はこくりと頷く。
カチャカチャとベルトを外す音、続いてファスナーの下りる音。ゴムの袋を破る音。そして、念入りに解された私の蜜口にあてがわれる熱――この先に続く快楽も、私は知ってしまっている。

「っ……ぁ……♡わ、ちゃ……っ……♡」
「**……っ……平気か……?」
「ひぁっ……!?♡ぁっ、あっ……♡あ゛〜〜〜〜〜ッッ♡♡♡」

戯れのように、先端を擦り付けて。そのままぐっと腰を推し進められれば、痛みこそないものの身体の内側から侵食されるような感覚に息が詰まった。
浅い呼吸を繰り返しながら、圧迫感の消えない下腹部にそっと手を添える。私のナカで脈動する熱い杭の存在を確かめるようにお腹の辺りを撫でれば、最奥まで収めようと動き始めるものだから堪らない。

「ひぅっ……♡ぁ、や……♡わっちゃ……♡」
「は……っ、**……」
「んっ……♡は、ぁっ……ッ……あ゛っ!?♡や、そこ……♡」

やがて律動が開始されれば、探るように奥の方をゆっくりと刺激されて。こつんこつんと先端が最奥の壁をノックするたび、私の意思と無関係に身体が悦びで跳ねていくのがわかる。
いつものように激しさこそないものの、着実に快楽を蓄積させていくような。そんな抽挿を繰り返されれば、私はもう喘ぐことしかできなくて。

「ひぅっ……♡ぁ、やっ……♡わっちゃ、そこばっか……ぁんっ♡やだぁ……っ……♡」
「ん……ここか?」
「あ゛ッ!?♡♡ぅぁっ……♡あ゛っ♡あ〜〜ッ♡♡♡やらぁあっ♡♡♡」
「はは……っ……可愛いな……」

そうしてすっかり陥落して嬌声を上げていると一際深く強く抉られて、堪らず背を反らしながら絶頂を迎えてしまう。もう何度目かわからない絶頂に身体の力はとっくに抜けていて、彼のものを奥まで咥え込んだままただ喘ぐことしか出来ない。
けれど彼もまた限界を迎えてしまったようで、やがてゴム越しに熱い液体が吐き出された。

「っ……ぁ……ッ……♡」
「は……、」

蓋を失くした私の蜜口はヒクつき、惜しむようにとぷりと蜜を溢れさせた。それに比例するように私の身体からもすっかり力は抜けていき、ベッドの上に身体を横たわらせることしかできなくなってしまって。
そんな私を見かねたのか、わっちゃんは絶頂後の私の頭をそっと撫でてくれる。優しい手つきが心地よくて、思わず目を細めれば、彼もまたふっと笑みを浮かべてくれて。

「**。このあとは、どうする?」
「んー……?」
「少し早いが、浴場に行って身体を洗った方がいいか?」

結局今日もわっちゃんに気持ちよくしてもらっただけという形になってしまったのを後悔するのも束の間、私の身体は微睡みのような倦怠感に呑まれて。
遊び疲れて眠っていた子供時代の心地そのものとはいかないまでも、この疲れ具合は限りなくそれに近かった。

「んー……今はわっちゃんと寝てたい、かなー……」

もう少し休んだら、わっちゃんの言う通り風呂に入るつもりだ。それか、目覚めた時間によっては先に夕食を摂ることになるだろうか――彼はまたおそらくハヤシライスを食べるのだろうし、私もまた変わらず目を引いた限定品を食べているのだろう。
この旅行で、私はどれだけのものを得られるのだろうか――なんて考えつつ、私は意識を手放した。

>> list <<