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弱くてニューゲームなんて聞いてない!
『よくぞ我を倒した!褒美をやろう!』

早乙女 五十鈴
ラスボスが、なーに言ってるんだか…。
攻略サイトで、もうこの先のイベがエンディングしかないの知ってるんだけど
リンゴは『***の指輪』を手に入れた。

早乙女 五十鈴
は?バグってる?それとも仕様?

リンゴ
城が崩れる…!皆、避難だ!

早乙女 五十鈴
………はぁ。
終わっちゃった。
もう、少しやり込み要素欲しかったなぁ………

早乙女 五十鈴
あれ?なんだろこれ?ニューゲーム?
これデータ引き継ぎ出来るの?ふーん?
何気なく押したニューゲームの選択肢。
それが、発端なのか…このゲームを最初にやりはじめてしまったこと自体が間違いだったのか…もう分からない。
ただ、気が付いたら…

リンゴ
体が縮んでいた!?
なんてもんじゃないぞ!これは!?
私、早乙女五十鈴は大学2年生で、少しゲーマーなだけの普通の人間だ。どうして、ゲームの世界に取り込まれているんだ。
私のアバターは男だったのに、女になっているし、しかも始まりの町で放置ってどういうこと?

リンゴ
持ち物とお金…は、引き継ぎなし?
初期装備を確認すると、呪われた指輪があった。
レベル1の私は、冒険者ギルドで登録をする。
私を含めて4人のパーティーを組んで出掛けた推奨レベル3の森で、私は早急にレベルアップしようと剣を振るうもののレベルが一向に上がらない。
困惑する最中、レベル30の熊モンスターが現れた。
こんな所にいるはずがない大型モンスターに、逃走の指示を出すものの初心者の話に耳を貸すものはおらず、私以外のパーティーは見事に全滅…。
必死に逃げた私はというと、今まで見たことのない黒猫のモンスターを前に立ち止まってしまい、後ろからの熊モンスターに挟み撃ちに合う。
もはやここまでかと諦めた刹那、黒猫が私の横をすり抜けて熊モンスターに飛び掛かった。
驚いて目を向けると、熊モンスターはドロップアイテムを置いて霧散していく姿を目にする。
そうして、黒猫がゆっくりとこちらに目を向ける…助けられたのではない。
単純に、猫がネズミを追い詰めるように玩ばれたのだ。
そう理解したのに、足が凍り付いたように動かない。
『シュバルツ…よくやった』
黒猫は踵を返して、悠然とドロップアイテムを拾う黒いマントに身を包んだ男の影に消えた。
男の顔に見覚えがあった私は、顔を強張らせた。

リンゴ
魔王…!?

マシロ
俺は、黒魔道士のマシロだ…今はな?
そう言いながらマシロと名乗る男は、私の前まで歩いてくると顔を近付けてきた。

マシロ
リンゴくん
いや、リンゴちゃん

リンゴ
魔王…今度こそ貴様を必ず倒す

マシロ
勿論だ
だが、俺は倒されないように全力を尽くそう

マシロ
さて、レベル1固定の呪い解けるかな?

リンゴ
いっそ、一思いに殺せばいいだろうに

マシロ
それは、婚約指輪なのだから守るのは当たり前だろう

リンゴ
はぁ?!
こうして、レベル1固定された最低最悪条件の私と黒魔道士マシロのパーティーが編成されるに到った。