序
泣きじゃくる少女の声が、大きな本丸に響き渡る。本来の澄み切った空気はなく、淀みと血の臭いが充満している本丸では、少女の近くだけが澄んだ空気を持っていた。
少女の泣き声に一人の青年が駆け付ける。真っ白な戦装束を真っ赤に染め上げてはいるが、怪我をしている様子はない。
青年は少女を抱き上げ、ゆっくりと頭を撫でた。そっと、少女の名前を紡ぐと、少女も青年も音もなく消えた。
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