授業選び

休日はあっという間に過ぎ去り、月曜日となった。
今週の1週間は仮授業の日。
1度授業を受講してみて、今後受けていく教科を決めるための1週間だ。
要は授業のお試し期間だった。
星野は1限から授業がある講義室にいた。
入学式の日に連絡先を交換した皆と1限目から出ようって話になったので、講義室に来たにも関わらず、まだ約束したはずの皆は来ていなかった。
始業20分前のことである。

『早く来すぎちゃったかな』
景「おはよう、星野。早いんだな」
『ひ、景光くんおはよう!あれ?降谷くんと奏ちゃんは一緒じゃないんだね』
景「零は飲みもの買ってから来るよ。天音は既読にならない」
『もしかして寝てるのかな』
景「そうかもな」
零「おはよう、星野」
萩「おはよー!葵ちゃん、諸伏!」
『あ、2人は一緒だったんだ』
零「さっき売店で会った」

降谷、諸伏、星野の順に座り、
萩原は星野の前の席に座った。
それが始業15分前のことである。
同じアパート組は始業5分前に姿を現した。

奏「セーフ!」
松「なんとか間に合ったな」
『あれ?一緒にきた』
景「いつの間にか仲良くなってる」
萩「松田、奏ちゃん、こっち!」
零「あと5分で始まるぞ」
奏「みんなおはよー!」
『おはよう、奏ちゃん、松田くん』
松「はよ」

萩原の隣に松田が座り、その隣に天音が座った。
そして1限目の授業が始まった。

一般教養学の大学の授業は想像してたものより退屈だった。
専門学に関してはそこそこ楽しめていた。
お昼休みに6人は学食が食べれるスペースに行き、テーブルの一角を占領していた。

奏「皆席取っとくから学食選んできていいよ」
『え、でもそんな悪いよ』
奏「私お弁当だから大丈夫だよ、遠慮せずに選んできて!」
『そっか、わかった!ありがとう』
零「人増えてきたな」
萩「早く行こう!」

5人は荷物を置いて貴重品だけ持って学食を選びに行った。
この時点で学食スペースにはすでに3/4ほど人で埋まっていた。
星野はお盆片手に食事提供スペースにいたが人混みで揉みくちゃにされていた。
この学校は女性より男性の方が多いため、思うようには動けず、星野は人の波に流されそうになっていた。
その時の、お盆を持っている手とは逆の腕を捕まれ、引き寄せられた。
そこに居たのは心配そうな表情をした諸伏だった。

景「大丈夫だった?」
『ありがとう、すごく助かった!』
景「ならよかった。どれにするか決めた?一緒に取りに行こう」
『ありがとう!青椒肉絲定食にしようかなって思ってるの』
景「俺もそれにしようかな」
『いいの?』
景「ああ、星野と一緒のヤツ食べたいと思ってたから」
『そ、そっか』
景「もっとこっちに寄らないとまた流されるぞ」

諸伏はそう言うと星野の肩に手を置き、自分の元へと引き寄せた。
星野は急な諸伏の行動に心拍数が跳ね上がった。
思わず頬が火照り、テーブルに戻るまで諸伏を直視することは出来なかった。

6人全員がテーブルに集まった時、
顔の赤い星野を見て、天音はニヤニヤ笑っていた。

零「奏、にやけてて気持ち悪い」
奏「え、れーくん酷い!!これだから女の子にモテ…るわ、くそう」
萩「奏ちゃんって口悪いよね」
景「前からだから直らないと思う」
奏「え、なんなの皆!そろそろ泣くよ?」
松「そう言ってる割にまだニヤついてんじゃねーか」
奏「いやだってさ!葵ちゃんがかわいくって」
『ええ!?私!?』
奏「葵ちゃん、今度一緒に遊びに行こ?」
『うん!いいよ!』
奏「やった!恋バナしよーね!」
『え!?は、話す内容ないよ!?』
奏「大丈夫、大丈夫」

星野は天音に暫くニヤニヤされっぱなしだった。
そしてお昼も終わり午後からはそれぞれ興味のある授業に参加した6人だった。


続く