サークル決め

決めることは何も授業だけではない。
サークルも決めることのうちの1つだった。
しかしもう星野はどこに入るかは決めていた。

奏「へー、じゃあ葵ちゃんは音楽研究会に入るんだ!」
『うん、ピアノ続けたくって』
奏「ピアノかー、もう私は指が動かないな」
『奏ちゃんもピアノやってたの?』
奏「うん、でも歌う方が好きだったから」
『え!じゃあ奏ちゃんも音楽研究会入ろうよ!』
奏「誘ってくれてありがとう!でも他のサークルも回ってみてから決めるよ」

奏は先程いろいろな人に押し付けられたサークル勧誘のチラシをテーブルに広げた。

『うわ!なにそのチラシの量』
奏「あはは、ここに来るまでに押し付けられちゃって」
『へえー、いろんなサークルがあるんだね…。どれか気になってるサークルでもあるの?』
奏「うーん、料理研究会とか?花嫁修業!なんちゃってー」
『え!?花嫁修業!?も、もしかして誰か気になってる人いるの?』
奏「あれ?言ってなかったっけ?私、彼氏いるよ」
『えええ!!?』

星野は思わず大きな声で驚いてしまった。

『お相手は!?いつから!?』
奏「2つ上の先輩、半年ほど前から?」
『えええ!どうやって知り合ったの!?』
奏「オープンキャンパスで再会したの!まあ、他校なんだけど」

天音の言葉に星野は驚きを隠せないでいた。

『(松田くんと仲良さげだったからてっきり…)』
奏「葵ちゃん?どうしたの?」
『ううん!…料理研究会行ってみるの?』
奏「うん!週1しか活動してないから楽そうだし!サークル活動するだけで食費浮く!」
『え、そこ!?』
奏「そこ!」
零「何話してるんだ?」
『あ、景光くん、降谷くん』
奏「サークルどこにしよーかなって!2人はもう決めた?なんとなく想像ついてるけど」
景「音楽研究会にしようと思ってるよ、な?零」
零「ああ」
『私も音楽研究会にするよ!』
景「お、じゃあ一緒だな!よろしく、星野」

諸伏はニッと笑って、座ってる星野の頭をぽんぽんと撫でた。
そんな諸伏の行動に思わず顔を赤くする星野。
天音は真っ赤になってる星野にだけ聞こえるように小さな声で言った。

奏「よかったね、葵ちゃん。好きな人に撫でてもらって」
『ち、違うから!』
奏「照れちゃってかーわいい」

天音は星野にニシシと悪戯っ子のように笑った。

景「とりあえず今からサークル行くか?」
『あ、そうだね』
奏「いってらっしゃーい!私片付け残ってるから帰るよ」
零「じゃあ、俺はこいつ送ってから行くから先に行ってていいぞ」
奏「は?いらないんだけ…やっぱ送って!じゃあね、葵ちゃん!景光!」
『ええっ!?』
景「星野、行こう」
『う、うん』

天音は諸伏と星野とわかれると降谷の方を向いてニッと笑った。

奏「れーくんも気付いてたんだ?」
零「あの2人わかりやすいから気付くだろ」
奏「たしかに!あ、家には送らなくていいから。じゃあね〜」
零「あ、おい。話を…聞くやつじゃないか」

降谷は一枚の写真を見て険しい表情のままため息をついた。


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景「星野はピアノやってたんだ」
『うん!景光くんのはベースいつからやってるの?』
景「高校の時からかな。ちなみに零はギターだぞ」
『へえ!一緒に演奏したら楽しそうだね!』
景「その時は星野も一緒に演奏しないか?」
『え、いいの?』
景「もちろん」

諸伏と星野は話しながらサークル活動場所に向かっていた。
場所はすぐにわかった。
楽しそうな笑い声、話し声、楽器の音が聞こえてきたからだ。

「あ、もしかして君たちサークル入部希望者?」
景「は、はい!」
『よろしくお願いします!』
「こっちおいで!」

2人はサークルの中心部に招き入れられ、サークルの概要を一通り聞いた。
練習場所、時間は自由。
定例ミーティングとして週1、お昼休みにこのサークル活動場所に集合。
時々演奏発表会が行われるそうだ。
ちなみに1人の活動よりバンドとしての活動者の方が多かった。

説明を聞いた後、諸伏も星野もそれぞれ先輩たちに囲まれていると降谷がやってきて、さらに人に囲まれてしまった。

「今度歓迎会やるから予定開けておいて」と告げられ、3人は2週間後に歓迎会に参加することになった。

翌日、6人が集まった際に話を聞くと、結局天音と萩原と松田はサークルには入らないようだった。

続く