新入生歓迎会

どうしてこうなった。
星野は両手でコップを持ちちびちびとジュースを飲みながら、隣にいる彼をチラリと盗み見をした。

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今日は音楽研究会の新入生歓迎会だった。
歓迎会とは音楽研究会に所属する大勢のメンバーで飲み会だった。
もちろん星野も降谷も諸伏も歓迎される側として参加していた。
先輩達はお酒を飲み、段々と酔っ払いのテンションで絡んでくるようになった。
これも社会勉強かと星野はちびちびとジュースを飲みながら笑って過ごしてると酒に酔った男の先輩にやたら絡まれるようになった。
それに気付いた諸伏が自分のコップを持って星野の方にやってきた。
そして星野を壁側の席に移動させ、その隣の席に腰を下ろした。
違和感なくスマートにやってのけたその行動に周りは冷やかしモードになった。

「えー、なになに?諸伏くんと星野ちゃんってそういう関係?」
「あのスムーズさはやばい!できるイケメンだね!アンタも諸伏見習ったら?」
「は?俺だってこのぐらいできるっての」
「はいはい、痴話喧嘩は他所でやって」

「ええー、星野ちゃんいいなあって思ってたのに彼氏持ちかー」
「残念だったなw」
「お前には無理だろー」

先輩達は好き勝手言ってお酒を飲んでいた。
星野は苦笑しながらも、先輩達の会話を否定をしなかった。
チラリと隣の諸伏を見るとほんのり耳だけが赤かった。

「葵ちゃん、諸伏より俺とかどう?」
零「無駄ですよ。星野はヒロしか見てないですから」
葵「降谷くん!?」
景「零!?」
零「ははっ、ヒロも星野も顔赤いぞ」

途中から同じテーブルにやってきた降谷にからかわれた星野と諸伏は先ほどより顔が赤くなっていた。

「ねえねえ、諸伏くん」
景「何ですか?」
「降谷くんは彼女いるの?」
景「あー…」
零「秘密です」
「ええー!!教えてよー!」
「こんなイケメンだったらいるだろー、選び放題じゃん」
「うわ、その言い方サイテー!」
「わ、悪かったって」
「降谷って金髪の女の子とよく一緒に居るの見かけるけど?」
「あ、その金髪の子この前サングラスかけたイケメンといたわ」
「取られようにしないと!一緒にいた男の人イケメンだったからね!?」
「降谷も頑張れよ、色々と」
葵「(松田くんと奏ちゃんのことだろうなあ…)」
景「頑張れよ、零」
零「ヒロ、楽しんでるだろ」
景「さっきの仕返し」

そして色々と誤認識状態で新入生歓迎会は終了となった。
降谷と諸伏と星野は3人で一緒に帰るため帰路についた。

景「さっきのなんだよ、零」
零「まあまあ、ヒロと星野が付き合ってるって認識させておいた方がめんどくさい絡まれ方しないだろ」
景「そうだけど…もし星野に気になる人いたら誤解させることになるだろ…」
零「だとしたら星野も否定してるだろ?」
葵「うん。むしろ助かったっていうか…でも、私なんかと誤解されるの嫌だよね、ごめんね」
景「ち、ちがっ…嫌じゃない。むしろ嬉しい」
葵「えっ?」
景「えっ、あっ、なんでもない!零もニヤニヤするな!」
零「仕方ないだろ」
景「そんなんだから松田に天音を取られかけてるんだろ」
零「あれはおもしろかったな」
葵「松田くんと奏ちゃんって音楽研究会じゃないのに認識されてたね」
零「奏は目立つからな」
景「零と仲良い女子ってあんまりいないからな」
葵「そうなんだね。あ、私の家ここなの!送ってくれてありがとう」
景「1人で帰すわけないだろ」
零「彼氏だもんな?」
景「零〜!!」
葵「ふふっ、2人ともありがとう」
零「ああ、それじゃあ、おやすみ」
景「おやすみ」
葵「おやすみなさい!」

星野が部屋に入るまで見届けると、降谷と諸伏は再び帰るために歩き始めた。

続く