03

 急所を捉えられ、抵抗する力が弱まってしまう。
 早く逃げないと。
 この男からは、尋常じゃない狂気を感じる。
 暴れる俺をよそに、男は俺の頭上で何やら忙しなく手を動かす。
「…はい、出来た」
 そう言って男は、纏め上げていた俺の手を離す。解放されたと思ったのも束の間、見ると俺の両手首はビニール紐で縛られていた。
「な、なんだよ、これ…!解けよ!」
 怯えを帯びた目で男を睨むも、男は楽しそうに嗤うだけで、より一層強く太腿で俺の股間を刺激してくる。
「触るな…!やめろ!」
 気持ち悪い。
 縛られた手で拳をつくり、男の胸を何度も叩くが、男には全くといっていいほど効いていない。
 男は暴れる俺の両腕を再び頭上の壁に縫い付ける。縛ったことで男は片手で俺の腕を押さえつけることが出来るようになり、もう片方の腕は自由に俺の身体を弄ぶ。
男は器用に片手で俺の襟元のリボンを外し、ブラウスのボタンも器用に素早く外していく。
 すぐにすべてを外し終わると、男の視線は俺の胸に釘付けになる。
「なるほどね、靴下詰めてたんだ」
 俺はレースのあしらわれた白いブラジャーを着け、その中に数足の靴下を詰めていた。
「見るなっ…!」
「男の子なのにこんなもの着けて、変態だね」
「変態はお前だっ!俺だって、好きでこんなの着けてるわけじゃねぇんだよ…!」
 ここまで本格的に女装させられるなんて、俺だって思ってなかった。
 男は靴下の詰まったブラを一揉みすると、不満そうに首を傾げ、中から靴下を取り出していく。
「おい、何してんだよ…!」
 男は靴下を全て取り除かれてガバガバになったブラを見つめ、おもむろにブラの上から俺の胸を揉みだした。
「――ッ!お前っ!」
「やっぱりこっちの方がいいよ」
 触れあう素肌がぞわぞわと粟立つ。気持ちが悪い。


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-家庭内密事-
-彼の衝動-