痴漢電車2

※当作品は飽くまでも想像上の産物です。
現実での痴漢は犯罪です。おやめください。




嫌だ。やめて。よして。なんて。
きっと言ってももう意味の無い言葉の羅列なのだろう。

痴漢にあった。いや、痴漢にあい続けていた。家から大学に辿り着くまでの20分程のも満員電車の中で、彼は毎日のように幸枝の体をまさぐった。
初めは嫌悪しか抱かなかった。けれど最終的に幸枝はそれを……受け入れてしまった。
逃げ出す、拒むという選択肢があったにも関わらず、男の指示に従い受け入れてしまったのだ。

受け入れてしまったのならば、それは本当に痴漢と呼べるのだろうか?
否、自ら選択した結果なのだからプレイの一環としか見てもらえないだろう。
例えそれが名前も知らない男が相手だったとしても。

『おはよう。ちゃんと駅に着いたかい?』

軽やかな音と共にスマホに送られてきたメッセージを読み、唇を噛んだ。
何も知らなければ和やかに感じるそのメッセージは、何を隠そうあの痴漢男から送られてきたものだ。

彼は手篭めにされた幸枝の個人情報を写メにとって入手していた。
下手に逆らえばどこから個人情報を流出されるか解らない。ネットに流されでもしたら大事になる。
それをよく理解していた男は幸枝と連絡先を交換し、今日一日指示に従うことができたら個人情報の載った写真を破棄するという約束を交わした。

痴漢をするような男だ。約束をきちんと守るとは思えない。思えないが、逆らえば何をされるかわからない。
通っている大学名から住所、はたまた顔写真まで全て彼の掌の中にあるのだから悪用されたら死活問題である。
幸枝は渋々彼の提案を呑み、大学を休んで彼の指示通りに駅に足を運んでいた。

『ミニスカート可愛いね。
いつもの電車に乗って。待ってるからね』

貴方が指示したんでしょう。という罵倒を、幸枝は何とか飲み込んだ。
そしてスマホをパーカーのポケットにしまいこみ、指示に従って定期を使って改札を通り抜ける。
いつもの通学に使っている電車は当たり前のように満員電車で、びくびくしながらいつも乗り込む車両に体をねじ込む。
息苦しいほどの乗車人数にこのまま彼から見つかりませんようにと内心祈ってしまうが、どうやら神はその願いを叶えてくれなかったらしい。
ガタンゴトンとリズミカルに揺れながら発車し逃げられなくなったところで、背後から優しく抱きしめられて幸枝は全身の産毛をぞわりと逆立てた。

「お待たせ。今日も可愛いね」

テンポを速めた鼓動は緊張ゆえか、それとも期待しているのか。そこまで考えて幸枝は緩く首を振った。
一体何を期待しているというのだと、自分自身を叱咤する。
その間にも彼の指はさわさわと全身を這い回っており、むき出しになっている太ももを絶妙なタッチで撫で始めている。

「あの、今日一日終わったら……」
「うん。あの写真はちゃんと消す、だろ?幸枝ちゃんとの約束はちゃんと守るよ」

耳元で囁かれた言葉に少しだけホッとした。とはいっても実際に写真を消してもらえるまでは気を抜けない。
今日一日の我慢だ。そう自分に言い聞かせ、幸枝は全身を這い回る彼の掌から少しでも意識を逸らそうと長くゆっくりと息を吐く。
しかしそんな幸枝の思惑などお見通しだったのだろう。内腿を一本の指が這い上がった瞬間、幸枝は僅かに声を漏らしてしまい慌てて下唇をかみ締めた。
どこもかしこも、幸枝の体の隅々まで理解している男はそんな幸枝を見て楽しそうに笑っている。

そして耳元でまた睦言でも囁くかのように甘ったるい口調で告げる。
それは幸枝がいつも降りる駅よりも更に先の駅で一度降りて、改札を通らずまた乗車駅まで戻ってくるというもの。
彼が告げた駅名はここら辺では一番大きい都市部の駅で、満員電車に詰め込まれている人たちも大体はそこで降りる。
彼の意図を理解した幸枝は頷くことで応えると、良い子だねという言葉と共にショーツのクロッチの部分をなぞられてまた肩を跳ねさせた。

「ん……ぅ」

シャツの中に入り込んできた掌がやわやわと胸を揉む。彼に指示され、周囲にばれないよう鞄を抱きかかえるようにして持って、服の下で手が蠢いていることを誤魔化す。
ブラをずらし、未だ柔らかい胸の突起を指先でゆっくりと転がされる。
たったそれだけの刺激でも、周囲に人が居る中自ら承諾した状態で痴漢されているという現在の状況が幸枝の興奮をあおり、絶大な快感を齎している。
うなじに口付けられ、耳を舐められながらひたすらに胸だけを弄られる。柔らかな感触を楽しむかのように胸をもみくちゃにされる。
それだけでも吐息に艶が混ざりつつあったのに、爪先で痛くない程度に胸の突起を弾かれ、幸枝はまたびくりと震えた。

「いつもより敏感だなぁ。もしかして期待してた?」

そんなことは無いというかわりに首をふるが、どこまで通じてるかは怪しかった。
乳首の天辺を撫でられ、指でつまみあげられ、指の腹で転がされ、指先で弾かれ、ブラの中でひたすらに乳首がいじめられる。
幸枝の興奮を煽るためだけの動きに、散々男に撫で回されてきた身体はあっという間に発情した。
期待に疼く下腹部に気付き、幸枝は自分の体に絶望を覚えながらも歯を食いしばって耐える。
そしてそんな幸枝をあざ笑うかのように、蜜を滴らせ始めた下腹部へと手が伸ばされた。

「はは、濡れてるね」

楽しそうな声に耳を塞ぎたかった。
しかしそれは許されないまま、湿ったクロッチの上から何度も秘芯を擦り上げられる。
カリカリと引っかくように秘芯を刺激されれば、嫌でも腰が跳ねて感じてしまう。

「いっぺんイッておこうか?声、我慢してね」

そう言われて、慌てて手の甲を唇に押し当てた。
途端ショーツをずらし直接割れ目に触れた指先が秘芯を探り当て、指の腹で押しつぶしたかと思うと容赦なくこね回し始める。
幸枝の意思とは裏腹に身体は喜んでその刺激を受け入れ、漏れそうになる声を必死に堪えながら水音すら響かせそうな勢いで敏感な突起を弄り倒される。
昂ぶっていた身体がその責めに耐えられるはずもなく、こみ上げてくる絶頂感に抗えず幸枝は必死に声をかみ殺しながら最初の絶頂へと追いやられてしまった。

「っ……ぁ、あ……――〜〜っ!!」

びくん、と大きく体を跳ねさせて、腰から脳髄へと駆け上がる鮮烈な快感に、目じりに涙をためる。
彼の言った通りになってしまう自分の身体が恨めしかった。熱い吐息を漏らしながら、目の前の壁に額を預ける。

「あっさりイっちゃったねぇ」

愉しそうな声で、囁かれた。

「ほんと可愛いなぁ。それじゃあ、もっと乱れてみようか」

そう言って秘芯を一撫でした指先が密が溢れる蜜壷へとゆっくりと侵入を始める。
イったばかりの体ではそれすらも絶大な快楽となってしまって、瞳を潤ませてそれに耐えながらきつく鞄を抱きしめる。
そして彼の言うとおり、くちゅくちゅと音を立てながら中をかき混ぜ始めた指に、幸枝は荒れ狂うような快感を覚えさせられていた。

「ぁ……く、ぅん……っん」

「そうそう。声我慢しないと、気付かれちゃうかも」

くすくすと笑いながら言われる台詞に怯え、必死に唇をかみ締める。
しかし細い指が無遠慮に中をかき回し、尿道を押し上げるようにして幸枝のいいところを余すことなく刺激する。
蕩けたそこは蜜をしどとに溢れさせながら、指を食いしめて離さない。
鼓動がテンポを早めるのを感じ、幸枝は中のモノから意識を逸らして少しでも快感から逃れようとするが、それもうまくいかない。

圧迫感が増え、指が増やされたのがわかった。
時折うなじに口付けを落とされながら、中をかき混ぜる指に合わせて腰が揺れそうになるのを必死に堪える。
彼の言うとおり、私は間違いなく先程よりも乱れていた。

「んー、そろそろいいかな」

が、今度は絶頂を迎える前に彼の指は引き抜かれ、私は嬲り者から開放された。
期待するように蠢く蜜壷と、強請るように疼く子宮を感じて、こんなのは自分ではないとイヤイヤと子供のように首を振りたい衝動に駆られる。
しかしそんなことをする暇も無く、再度伸びてきたものにびくんと肩を跳ねさせた。

「これ、幸枝ちゃんは幾つ食べられるかな??」

愉悦に浸った声で囁かれ、柔らかく芯があるもので割れ目を何度も擦り上げる、何か異物を入れられるのだと気付く。
抵抗する間もなく潤滑油代わりに愛液をたっぷりとまぶしたそれが、ゆっくりと中に入り込んでくる。
それほど大きいものではなかったものの、一番奥まで押し込められはくはくと金魚のように口を閉開させながら幸枝は異物感に耐えた。

「ローター、美味しい?」

その言葉に中に入れられたのがローターだと解り、抜いて欲しいと頼むために振り返ろうとするがぐっと奥に押し付けられて慌てて口を塞いだ。
しかもずるんと抜かれた指はそれだけで終わらず、また同じものを中へと押し込んでくる。

「ひ……ぅ、うぅ……いやぁ……っ」
「大丈夫。清潔にしてあるし静音設計だから周囲にも気付かれにくいローターだから。
ワイヤレスだけど振動の力は結構強いし、シリコンタイプだから冷たくないでしょ?いぼいぼいっぱいで気持ちいいでしょ?」

突然の大人の玩具に拒否感を示す幸枝に、男は楽しそうに話した。今までで一番饒舌だったかもしれない。
しかもその説明で幸枝は自分の中に入っているものがどんなものか解ってしまい、嗚咽を漏らしながらもお願いだから抜いてと呟く。
しかし男は幸枝の必死な願いをあっさりと却下した。

「駄目だよ。まだ全部食べてないでしょ」

二つ目のローターを一番奥まで押し込んでから、嫌がる幸枝の中に更に三つのローターを挿入していく。
合わせて五つものローターを入れられれば流石に圧迫感があるのか、幸枝は浅い呼吸を繰り返しながらいやいやと首を振った。

「駄目だよ、約束でしょ」

流石にここまで来ると周囲の目もただの喧嘩では済まない。それを察した男は泣きそうな幸枝に言う。
幸枝はその言葉に奥歯をかみ締めると、葛藤の末に小さく頷いて涙をぬぐった。
良い子良い子と子供を慰めるように囁いた男は幸枝の体の向きを変えると、幸枝を自分の腕の中にすっぽりと収めてしまう。
筋肉質な硬い胸板額を預け、背中と頭に腕を回されて完全に幸枝は男に抱きしめられてしまった。

「後は駅まで我慢しようね」

囁かれた言葉に、駅に着くまでもう何もされないのかと密かにホッとした幸枝はこくんと頷く。
旗から見ればそれは仲直りをした仲むつまじいカップルにしか見えなかっただろう。
しかし男が幸枝に対する責めを、そこで終わらせるはずが無かった。
背中に回された掌が引いたかと思うと、男はポケットに手を突っ込んだのだ。
途端、一番奥に入り込んでいたローターが小さく振動を始める。
音こそしなかったものの突然振動を始めたローターに幸枝は目を見開き、男にしがみついて湧き上がる快感を何とか堪えた。

はぁ、と熱い吐息が漏れる。
それに気を良くしたのか、男は次々にローターのスイッチを入れ始める。
蜜壷の中で振動を始めたローターが一つ二つと増えていき、ついには全てのローターが幸枝の中で振動を始める。
幸枝は腰が砕けそうになるのを必死に堪え、歯を食いしばって嬌声をかみ殺した。
振動による快楽で蜜壷が蕩けていくような錯覚すら覚えながら、腰から全身に響く快感に頬を赤く染める。

それから目的の駅に辿り着くまでの間、時間にすれば1時間弱ほどか、幸枝はずっとローターに翻弄されていた。
蜜壷の中にみっしりと詰められているローターは時に振動を強め、奥のほうに入っている二つだけ震えた時もあった。
かとおもうと浅瀬にあるローターが振動を強め、はたまた動きを止めたかと思うとと突然全てのローターが強く震え始めたりとひたすらに幸枝を嬲り続けていた。
延々と刺激され続けていた中はどろどろに融けていて、愛液を垂れ流しショーツをぬらしてにちゅにちゅと音を立てている。
男の言葉を借りるならば、美味しそうにローターをくわえ込んで離さないといったところか。

それでも何より幸枝を追い詰めたのは、ローターの振動では絶頂を得られなかったということだった。
時折パワーを上げられるものの、絶頂を得る前に弱められてしまうのだ。
お陰で幸枝は子宮が絶頂を求めて疼くのを、頭がぐずぐずに融けてひたすらに快感を求めるのを、嫌でも感じてしまうのだ。
それどころか焦らされすぎたせいで理性すら溶けてしまいそうで、もしここで挿入を促されたならばまた受け入れてしまうだろうというほどに幸枝は追い詰められていた。

「幸枝ちゃんはほんとに可愛いねぇ」

電車が駅のホームに滑り込み速度を落としていく中、、何度目か解らない台詞を繰り返される。
電車が停車したところで腰に手を添えられ、開かれたドアに向かって流れていく人ごみに逆らうことなく二人揃って歩を進める。
震える足は今にも崩れ落ちそうで幸枝は男に縋りつくようにして何とか足を動かしていた。

「は……ぁ、う」

ベンチに誘導され、彼の手を借りて何とか腰を落ち着ける。
早く快感が欲しい。羞恥心も悔しさも最早存在せず、快感を求める本能に従い強請るように男を見る。
しかし男は愉しそうに目を細めるものの幸枝の中に陣取っている玩具の振動を上げてはくれない。

「それじゃあ、次どうするか覚えてる?」
「……戻りの、電車に乗って……乗車駅まで、帰る……」

幸枝の懇願を無視した男の問いかけに震える声で答えれば、よくできましたというように男は幸枝の頭を撫でた。
男は幸枝の願いを叶えてくれる気はないのだと本能的に察し、ふにゃりと顔を歪めて泣きそうになる幸枝の頭を男は撫で続ける。
そして幸枝の手を取ると反対側のホームへと誘導し、先ほどとは真逆に人がまばらな電車へと二人揃って足を踏み入れたのだった。

「……っ、ん……ぁ」

先ほどと違って人気の少ない車内ではあっさりと席を確保することができた。
乗り込んだ電車は窓際に一列に座席があるタイプではなく、二人分の座席が左右に並び、中央に通路があるタイプの車両だ。
幸枝は窓際に座り、男は通路側に腰掛ける。窓枠にもたれかかって長く息を吐き、絶頂を得られないもどかしさを何とか逃そうとするもののうまくいかない。
ぐずぐずに融けた蜜壷は今もなお刺激を求めて疼き続けている。恥も外聞もなくして自らを慰めたい衝動をぐっと堪え、幸枝は再度長く息を吐き出した。

そうして発車した電車の中で何とか本能に従いそうになる身体を押さえ込もうと努力していた幸枝だったが、すぐさまその努力は無駄に終わる。
タタンタタンとリズミカルに電車が揺れるたびに、身体も揺れて中を満たしているものもまた揺さぶられるのだ。
中でごつごつとぶつかり合うローターはもどかしいほど微弱な快感で幸枝の理性を削り取り、男が悪戯にローターのスイッチを入れるせいでびくんと体を跳ねさせる羽目になる。
それでもやっぱりイけないのだ。絶頂を得る前に振動は止まり、中でごつごつとローターがぶつかり合うだけのもどかしい揺れだけになってしまう。
絶頂を得るには程遠い微かな刺激では絶頂感を段々としぼんでいってしまい、結果子宮の疼きが更に激しいものになるだけだった。

「ほら、あと20分だよ。頑張って」

幸枝の脳内が快感一色に染まっていく。
もっと欲しい。イきたい。切ない。イかせて。中を。もっと。足りない。擦って。強く。疼きが。奥に。融ける。身体が。苦しい。
最早意味ある文章が考えられず、欲望がわきあがり歯止めが利かなくなりそうだった。
寸止めを繰り返されたせいで幸枝の全身は過敏になっており、彼が手を握ってきただけでも身体が跳ねてしまうほどだ。
声を抑えることもできなくなりつつある。震える睫からは今にも涙が零れ落ちそうだ。

「ほら、着いたよ。お疲れ様。よく頑張ったね」

頭を撫でられ、褒められる。緩やかに速度を落とし停車した電車の中で、幸枝は汗に濡れた額に髪を張り付かせながら顔を上げた。
まるでもう開放してあげるといわんばかりの口調に、幸枝は湧き上がる嫌な予感に立ち上がった男の服を掴んでイヤイヤと首を振る。
このまま開放する気かと、声を荒げて攻め立てないのは既にその気力が無いからだ。
しかし男は気にすることなくスマホを取り出すと、幸枝の眼前で写真を消去して見せた。
これでお前が着いてくる理由は無いだろうと、にっこりと笑う男に幸枝は絶望を覚える。
おかしな話だ。満員電車に乗り込む際には、体を嬲られることに絶望を覚えたというのに。

「さて、幸枝ちゃん。今の君には二つの選択肢がある。一つはこのまま僕に背を向けて帰宅すること。
中の玩具はあげるよ。あ、もちろんリモコンも一緒にね。好きにこれで遊んでくれて構わないよ」

そう言ってポケットから取り出された、掌の中に納まってしまいそうな小さなリモコンが五つ、呆然とする幸枝の服のポケットに押し込まれる。
これを使えばきっとこの疼きからも開放されるだろうと、幸枝はポケットに押し込まれたリモコンを、服の上からなぞる。

「そしてもう一つは今から僕についてくること。勿論メリットは無い。むしろまた脅されちゃうかもね?
けど自分でするだけでは決して得られないような……頭がおかしくなるくらいの"気持ちいい"を君にあげると約束するよ」

その言葉を聞いたとき、幸枝は無意識のうちにごくりと喉を鳴らして生唾を飲み込んでいた。
魅惑的すぎる言葉だった。その誘惑を受けろと促すかのように、幸枝はじゅんと子宮が疼くのを感じる。
中のものをきゅぅと締め付ければ、抗いがたい衝動に身体が突き動かされる。

……逃げられる筈が、なかった。



 ▽▲▽▲



きみに安っぽいラブホテルは似合わないよ。

晶と名乗った彼はそう言って改札を通り過ぎた後、コインロッカーから荷物を取り出して幸枝をホテルへと連れ込んだ。
それは俗に言うスイートルームという奴だったが、幸枝はその豪奢な部屋を堪能する暇も無く、ベッドの上で身悶えていた。

「んぁああっ!ぁ、ぁああっ、あ、ぁああ……っ!!」

服を脱がされることもなくショーツだけが取り払われ、愛液を滴らせる蜜壷に二本の指が突っ込まれる。
そして中のモノをかきだすように、その身を埋めていた五つのローターを次々と掘り出していったのだ。
しかし一番奥にあったローターがなかなか取り出せず、何度も何度も指先で引っかいては奥へと逆戻りをしてという行為を繰り返した。
待ち望んでいた身体はそれだけでも十分すぎるほどの快感を生み出していたが、晶はそれだけでイくことを幸枝に許さなかった。

「足を広げて、太ももを抱えるんだ。そう、可愛いよ。すっごく」

ベッドの上、腰の下に枕を置いて足を大きく広げるように指示される。
幸枝が言うことを聞くいわれは無いにもかかわらず、ぽろぽろと涙を流した幸枝は言われたとおりに太ももを抱えて足を広げた。
中のものが全て取り出されたことにより、幸枝は一抹の寂しさを覚えていた。
早く中を埋めて欲しい。隙間をなくして欲しい。中の全てを満たして欲しいと、女の本能が疼くのだろう。

晶が勃起した逸物を取り出した時間違いなく幸枝は歓喜していた。
そして蜜壷に先端を添えられ、期待に胸が高鳴るのを感じていた。

「欲しい?これで中をかき回して、奥を突いて、脳味噌までぐちゃぐちゃにしてほしい?」

晶の言葉を聞いただけで子宮が期待に疼いた。
何度も頷く幸枝に晶は笑みを浮かべると、いい子だねと褒めた晶は迷うことなくその硬くそそり立った楔を熱く熟れた中に叩き込む。
ぱちゅん!と音を立てて肌と肌がぶつかり、穿ってしまいそうな勢いで奥を突き上げられたその衝撃に、幸枝は全身を身もだえさせながら歓喜に震えた。

「――っ!!ぁ……あ、ぁあ、おぐ、ぅ、深い、ぃ」
「深いのは好きかな?流石に奥は完全に開発仕切れてないからなぁ……これからじっくりと中でイケるようにしてあげるからね。子宮を突かれる度にイっちゃうような、淫乱な体に仕立

ててあげよう」
「ふあう!?ぁ、ぁあっあ、あぁっ、あ゛ーっ!!ぁ、んぁあああぁっ!!」

挿入されただけでびくびくと軽い痙攣を起こしていた体をまさぐり、服をめくり上げて強引にブラの位置をずらす。
そしてやや乱暴に胸をもみしだきながら、散々焦らされて過敏になっている中を無遠慮にかき回し律動を開始する。
待ち望んでいた以上の快楽に幸枝の意思とは裏腹に身体は縦横無尽に蠢き、ぐるんと裏返った視界はちかちかと火花が散っている。
パシャパシャと音を立てて晶が身悶える幸枝の姿を写真に収めていたが、幸枝の理性は既に焼ききれておりそれに気付くことは無い。
ただひたすらに体を揺さぶられる悦びに喉を鳴らし、もっと欲しいと強請るように合わせて腰を振りながら泣き叫ぶ獣へと成り下がっている。

「いぐっ、いぐぅうっ、あ、ぁあっあっ、〜〜っ!ん、ぁ゛っ、きゃあああぁああっ!!」

そうして与えられる荒れ狂う津波のような快感に耐え切れる筈もなく、幸枝は絶叫と共にようやく待ち望んでいた絶頂を得た。
全身を支配する甘い痺れは幸枝が今まで味わってきたどの快楽よりも甘く激しく鮮烈だった。
晶は幸枝の絶頂によりきつく締め付けられ搾り取るようにして蠢いた膣壁に小さくうめき声を上げながらも耐えると、一度絶頂してきつくなった中を無理矢理割り開くように

して再度抽送を開始した。

堪らないのは幸枝の方だ。
一度イって満足感を得たというのに、敏感になった身体を更に無理矢理抉られ奥を突き上げられるのだから。
汗ばんだ肌にぴったりと張り付く衣服に不快感を覚えながら、それでも幸枝は喘ぎ、ひたすらに揺さぶられる。
抵抗するだけの気力は当になくなっており、同時に激しすぎる快感の荒波から逃げ出す術を知らないが故だった。

「あぁああっ!あっあ、ぁあっ!イった!イった、からぁあっ!!ぁっあぁああっあ、んぁっ、あ、あぁっ!」

イったから。の後に続く言葉は果たして許してくれ。なのか休ませてくれなのか。
頓着することなくストッパーをなくした晶は欲望に任せて幸枝の中をかき混ぜ、突き上げ、そして擦りあげて蹂躙していく。
敏感な身体はそれでも男の精を強請るかのように晶のものをくわえ込んで離そうとしない。
幸枝が許容量を超えた快感に逃げ出したくても、子宮口と晶の楔の先端がキスするたびに力を奪われていってしまう。

「あぁ、そろそろ出るっ、一番奥に、出すからな……っ!」
「ぁっぁあっあ、らめっあぁっ、あぁあっ、あかひゃん、できちゃ、ぁあっ、ああぁっ、んっんぁうっぁ、あっ、ぁあ……やああぁあっ!!」

嫌がる幸枝にお構いなしに、膝裏に手を入れて無理矢理押さえつけ、腰をぴったりとくっつけて一番奥で吐精する晶。
幸枝は幸枝で自分の蜜つぼの中で晶のものが弾け、熱いものが勢いよくびゅうびゅうと吐き出され奥を叩く感覚にぶるりと震えるしかできなかった。
濃度も濃く量も多いそれを子宮が喜んで飲み干し、更にもっと搾り取ろうとするかのように膣壁が蠢くのを自覚してしまう幸枝。
とっくに子宮は降りきっていたのだろう。ごくごくと精子を飲み干しながら、幸枝は涙を流してそれを全て受け止めた。

「はは……凄い出たな。全部飲んでくれて嬉しいよ」

その言葉と共に幸枝の肌の上から子宮がある位置をぐっと押さえられる。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す中、ずるりと晶のものを引き抜かれればとろりと中に出された精液が漏れ出していた。

「これからは全部幸枝チャンの中に出すから」
「ぁ……やら、ぁん……」
「駄目だよ。もう逃がさない。着いてきたのは幸枝ちゃんの方だってこと、忘れないでよ」

全身をびくびくと痙攣させながらベッドの上で荒い呼吸を繰り返す幸枝に現実を叩きつけながら、晶はコインロッカーから取り出し持ち込んだバッグを手近に引き寄せる。
そしてチャックを開けてひっくり返せば、古今東西の大人の玩具がばらばらとベッドの上に広がっていく。
その中から電気マッサージ器……俗に言う電マという奴を取ると、ベッドサイドにあったコンセントに挿し、迷うことなく幸枝の秘芯にそれを押し付ける。

「だからこれからいーっぱい、気持ちよくなろう」
「んきゃああぁああっ!あっ!やぁああっ!やっいやあぁあっぁ、あっぁあ、イくっやらっ、イっちゃうっ!やああぁあああっ!!」

カチリ。
言葉と共に小さな音共に入れられたスイッチ。ローターとは比べ物にならない強い振動が幸枝の秘芯を襲った。
押しつぶしてしまいそうな勢いでぎゅうぎゅうと押し付けられた電マは容赦なくその振動を秘芯へと叩き込み、赤くぷっくりとした秘芯から強烈過ぎる快感が幸枝の体を襲う。
僅かな時間で絶頂に達した身体はびくん!と大きく腰を跳ねさせて絶頂を知らせると、晶は電マのスイッチを切ってそこらへんに放り投げる。
そしてイったばかりの幸枝の両足首を掴んで大きく広げると、未だなえていなかった自らの逸物をばちゅん!と音を立てて叩き込んだ。
かえるのように無様に足を広げられた状態で叩き込まれ、浅いところを強く引っかきながら子宮を押し上げられる形になって、幸枝ははくはくと口を閉開させ、呼吸を忘れてしまい

そうなほどの快感に喉から声を絞り出す。

「あ゛、ぁあ゛……待っれ、むり、むり、ぃ……やしゅま、せ、んぁあ゛ああぁっ!!」
「だぁめ。俺、まだそんなに出してないし。ちゃんと受け止めて」

逃げ出そうとする幸枝の足を掴んで抵抗を封じた後、パンパンと肌と肌がぶつかる音が室内に響き始める。
同時にじゅぶっぐじゅっと結合部からは粘着質な水音が響き渡り、パリッとノリが効いていたベッドのシーツをべだべだに汚していく。
不自然な痙攣を繰り返す幸枝の乳首にじゅるじゅると音を立てながら吸い付き、晶は熟れてやわらかくなった内壁を楽しみつつ、快感に降りてきた子宮口を突きほぐしていく


くぱくぱと口を開けかけている子宮口は開発さえされればどこにも勝る性感帯となることを晶は知っている。
幸枝が今以上に快感に泣き叫び許しを請う姿を夢想しながら、晶は昂ぶる熱を吐き出そうと腰の動きを早めていく。

「う゛あっ、ぁ、ぁあっ!あ、ぁああっ!あっぐりゅっ、まらっまらぁああっ!!」
「あぁ、俺も出すよ。中に、また……っ!」
「もうやらっ!やっいやぁあっ、あっぁああっ!んぁあぁっあっ、ぁああっ、あ゛ーっ、ぁあ゛ーーっ!きゃうぅっ!!」

子犬のような悲鳴を上げ、幸枝は再度絶頂した。
晶は幸枝の上にのしかかり、子宮を押しつぶさんばかりに結合部を密着させた状態でびゅうびゅうと欲望を吐き出す。
その先端をしっかりとくわえ込んだ子宮口が一滴も残すまいと叩きつけられた欲望を飲み込んでいく。
それらをしっかりと感じ取りながら幸枝は中に吐き出されている熱を余すことなく受け止めた。

そうしてまたずるりと抜かれれば、ぽっかりと穴が開いた蜜壷に今度は男性器を模した玩具が勢いよく叩き込まれる。
もう無理、休ませてという幸枝の主張は完全に封殺され、いぼがたっぷりとついた玩具が容赦なく中を擦りまた幸枝を快感の海に突き落としていく。
かきだされた精液と愛液の混ざった液体が、シーツだけでなく二人の肌も汚していった。

「いやぁあっ!あぁっあっんぁああっ!!むりぃっやっぁああぁあっ!」
「俺を見ただけで股を濡らして、触れられただけで全身過敏にして、入れられただけで絶頂に達するような、そんな体にしてあげような」

泣き叫び身悶える幸枝を見下ろし、そう言って晶は笑う。
きっといつか、幸枝は晶の宣言したとおりの体にさせられてしまうだろう。
一人の男を見ただけで発情するような、恥も外聞も無い女にさせられてしまうのだろう。

だがそれも仕方がない。


これもまた、幸枝が選んだ選択なのだから。


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