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え、主様ですか?
えっと、とても優しい方です!いつも笑顔で、その……す、数日前に主様のお気に入りの湯呑を落としちゃった時も、怒らず優しく声をかけてくださいました。僕の手をとって怪我はないか聞いてくれて、大変なことをしてしまったと泣きそうな僕の頭を撫でてくれて。僕、お母さんって知りませんけど、僕にもしお母さんがいたら、きっとあんな風なんだろうなって思います。


主に対する印象?どうしたんだい急に。
でもまあ……パッと思いつくものとしては、素直な子ってところかな。ほら、僕ってよく厨にいるだろう?そういう時、主がちょこちょこやってきて、味見と称してつまみ食いすることがあるんだ。それで幸せそうな顔して美味しいって言ってくれるから僕もついあげちゃうんだけど、主って実はすごい料理上手なんだよ。僕や歌仙くんは古参の部類だからそれ以降に来た子達はあまり知らないだろうけど、僕達の料理の根底にあるのは、主の手料理なんだ。正直、主と比べたら僕達の料理の腕前なんてまだまだでさ。僕の料理を美味しいって言ってくれて嬉しいけど、きっと主が作った方が美味しいよねって。社交辞令とまでは言わないけど、主って優しいから僕達に気を遣ってくれてるのかなってちょっとだけ思ってたんだよ。で、この前ついそのことを言っちゃったんだけど、そしたら主なんて言ったと思う?みんなが頑張って育てた食材で、みんなを喜ばせようと光忠や歌仙が作った料理なんだから、私が作ったやつより美味しいに決まってるって。私が光忠達に教えた料理は、自分が食べるためだけに作ってきたものなんだから、誰かのために作る料理に敵うわけないよってさ。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいなのに、主は何でもない顔で言ってたんだよ。そういうのって、普通言えないよね。
最近主が少し太った気がしたのはつまみ食いのせいか、だって?……それ絶対主の前で言わないでね、もう厨に来てくれなくなりそうだから。


主をどう思っているか?……随分唐突だな。
まあいい。……主は、芯が強く聡明なお方だ。己の価値観のみに生きず、常に周囲に目を向け、広い視野を持って物事をとらえておられる。俺達の考え方や行動を否定したり頭ごなしに叱ることもなく、忙しい日々の中にあっても、常に俺達のことを気にかけてくださるだろう。どんなに小さな変化も見落とさず、まるでそれぞれが主にとっての唯一の刀剣であるかのように愛情を注ぐというのは、決して簡単なことではないはずだ。しかし主はそれをやってのけてしまう。その積み重ねで俺達と主の間には強固な信頼関係が築かれ、例え問題が発生したとしても、主の決断に迷いなく従うことができる。主が言うのだから間違いない、それが最善だと信じることができるんだ。実際、主はどんな時も迅速かつ的確な判断を下されるからな。にもかかわらず主は控えめで、己への評価にあぐらをかくことを知らない謙虚なお方だろう。政府からの評価も自分の功績ではなく俺達がいてこそだとか、俺達のおかげだとか、そういうことをおっしゃるだろう。そんなお方に忠誠を誓わずにいられるか?いられる奴がいたらそれは刀ではない、物を切ることができるただの金属の棒だ。最近玉鋼が少ないと主が言っておられたから、資材の足しにでもしてやろう。……話が脱線してしまったな。つまり主はこれ以上ないほどに優秀で、審神者としても人間としてもいかに素晴らしいお方かというのは筆舌に尽くしがたいが、強いて要望、というか願望だな。そういった類のものがあるとすれば、もう少し俺に世話をさせて頂きたいと思っている。主は俺のことを思って日に1度は主命を下さるが、この本丸には数多の刀剣がいる上、世話好きな奴も多いだろう。主命を頂いておきながら物足りないなどと言っては罰が当たるが……いや、そのもどかしささえも明日への糧にできるんだ、主は俺のことをよく理解しておられる。昨日だって――……おい待て、まだ話が途中だ。……なに、話が長いだと?俺に主の素晴らしさを語らせるのに、1日で足りるとでも思っていたのか。…………しかしまあ、この後は俺も予定が入っているから、名残惜しいが結論だけ述べよう。

こんな素晴らしい主の元に顕現できた俺は、本当に幸せ者だ。




主に対する印象?
そんなもの、雅という他にないだろう。立てば芍薬座れば牡丹……とは言うが、彼女は外見だけでなく立ち居振る舞いも美しい。内面だってそうさ。主には茶道や華道の心得があるが、あれは審神者になってから培われたものだと知っていたかい?美しいものを僕達と共有したいからと言っていたが、そうやって努力する彼女の姿勢や精神性が、僕は何よりも美しいものだと思うよ。




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