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知りたかったんでしょ?
目の前の女は微笑み、私に拳銃を投げた。
どちらにせよ死ぬのなら、死に方を選ばせてやると言わんばかりに。
素人の私は拳銃なんて渡されても使い方すら分からない。そもそもどこを狙えば即死できるのすら分からないのに。
死にたくない。
でも、死ねば彼の気持ちがわかるのか?
バカバカしいと、思考を停めた。
死んだところで、何一つ変わらない。
だって、変わらずに明日がやってくるんだから。
︎ ✧
ここから見える星空が一番好きなんだ。
まだ誰にも教えてないから、他の人には内緒だよ。
ヒロくんはそう言ってこの場所を教えてくれた。
幼い私は嬉しくって小指を差し出して、もちろん、と返した。
ここは多くの自然に囲まれて、空がよく見える。
悩み事がある時はいつもここに来た。
空に比べればそんなことはちっぽけなことだと思えるから、この場所のことが大好きだった。
今日は別に嫌なことがあった訳じゃないけど、何となく、昔のことが懐かしくなって訪れただけだ。
何も無い。そう、今日も何も無く一日が終わる。今日は終わって明日が来る。何も変わらない。
もう帰ろう。そう思い、振り返る。
そして首を傾げた。誰かがいる。
暗闇からは判別し難いが、その人影は自分よりも一回り大きく、男性のような見える。
人影は微動だにせず、そこに立ち尽くしていた。
不審者かもしれない。無視して帰ろう。
けれど、この道は一本道だから、そのまま帰ろうとするならばその人影とすれ違う。
どうしようか。自分の安否と睡眠時間、どちらが大切かと聞かれたらどちらも大切だ。
一分ほど考えて、天秤は睡眠に傾いた。だって明日に支障が出たら困る。
さっさと帰って寝よう。そしたらそんなことさっさと忘れるし、こんなこと覚えていたって仕方ない。帰ろう。
一歩。人影は上を見ている。
二歩。そこでようやく私の存在に気づいたようだった。こちら顔を向ける。顔はよく見えない。
三歩。人影に、心臓が、無かった。
ぽっかりと空いている。
そこだけ空洞になったように、無いのだ。
思わず後退る。心臓がない?そんなはずない。なら、どうしてこの人はこちらを向いた?
心臓無しで、人間が動くはずないだろう。
ホラー映画でもないんだから、そんなのない。そもそもここは心霊スポットでもなんでもないんだから出てこられたら困る。
両手で顔を覆ってしゃがみこんだ。いやだ。こわい。夜更けにこんな場所に来るんじゃなかった。
足音はこちらに近づいてくる。
どうしたらいい。この瞬間にも足音は大きくなるばかりで、いくら思考すれど、対処方法なんて思い浮かばない。今持ってるのは携帯と財布くらいで、魔よけの塩なんて持ってるわけない。
足音が止まる。
その事実が、私の前まで来たことを示していた。
「_______#name#?」
どこか迷子のような声色をしていた。
だからかもしれない。反射で顔を上げてしまった。
やはり、心臓は無い。
幽霊かもしれない。でも呪い殺されるくらいなら顔くらい拝んで、私が死んでしまったら呪い返してやるのも悪くないかもしれない。
いや、よくもないんだけど。
意を決して顔を見る。
「…景くん?」
その顔は、幼馴染にあまりにもそっくりで、目を見開いた。