腹の中のレクイエム

ぎゃりぎゃりとおおよそ何か食べているとは思えない咀嚼音が室内に響く。ばき、ガキン、と鋭く鳴り響く金属が折れて擦れる音。彼女の口の中に次々収まっていくニッケル鍍金や、ゴールドプレートを眺めながら、彼らが本来奏でるはずだった音に思いを馳せた。
きっと正しい処へ行けば、とても美しく華やかな音を放ったに違いないのだ。それがこうして、酔狂な女の腹に流し込まれているのだと思うといたたまれなかった。
「大喇叭は美味しい?」
私の問い掛けに、彼女は喇叭を飲み込んで短く晴れやかに返事をする。
「えぇ、とっても!」