いつだって目覚めは最悪だ。体には倦怠感がべっとり張り付いていて、ここから上体を起こして朝の支度をして家を出るだなんてことは、考えただけでも一つ二つ溜息を吐いてしまう。
あまりに疲れが残るので、そのうちに、はて私は本当に眠っていたのかしら、などという嫌な疑問が浮かんでくる。それをあれやこれやとこねくり回す間にも、どっと疲れてしまうのだ。「そんな果てのないことを考えるから疲れるのだ」と私の疑問を知る数少ない人々は口を揃えるが、たとえそれが正しいのだとしても——いや本当に正しいのに違いなかった——、私は不思議と考えることを辞められなかった。
故に今日も気怠い体に鞭打ってトーストが焼けるのを待つ間中、今日はきちんと眠れただろうか、普段と比べて疲労感はどうだろうと取り留めもなく思考し続けていた。やがて、チンと小気味のいい音が鳴ってパンが焼き終わったのを知らせてくれる。そういえば先ほどから香ばしいにおいがしていたなと今更気付いて、ふと息を吐いた。
この椅子から立ち上がって、パンを取りに行かねばならないのが堪らなく億劫に思われたのだ。取りに行った上で、私はバターを塗らなければならない。それも少々面倒であった。
私がやれどうしたものか、とにかく歩いて行って、トーストがまだ美味く食べられるうちに食べてしまわねばと唸っているところへ一人の女が起きてきて挨拶もそこそこにトースターから取り出してバターを塗るところまで全部し終えてしまった。
「また面倒がったんでしょう、貴方の悪い癖よ」と言いながら彼女は笑って皿を差し出す。
「うん、ごめん」
私の声に「どうってことないわ」とまた笑って、彼女もパンを取り出した。