銀製の匙
匙は金属でできているはずなのに、私の歯で容易く齧り取れた。ばきばき音がするだろうと思っていたのに、そんな音もしなかった。ただ殊の外柔らかな食感があって、どろり、とそのまま舌の上で溶けていくばかりだった。そこで私は、これが夢だと分かった。夢だと解ると「不思議」は無味無臭になった。私は、味も匂いもしない銀のスプーンをそのまま飲み込んだ。
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