神様の気まぐれは突然に
いいものがあるといって手を引くリドルについて行けば、そこは沢山の装飾品。金銀のぴかぴかした、いかにも高いですといったアクセサリーではなく。鈍い銀の光と綺麗なオレンジの銅の輝き。パーティに使うには少し地味だが、普段つけるには丁度いい。そんなアクセサリー。
その中で薄いピンクと黒地のチョーカーに目を奪われる。小さな銀のチャームが素敵だった。

「これ、名前に似合うと思うんだけど」

そういうリドルくんが手にしたのは私の見ていたそれ。

「つけてみる?」

そう聞くリドルくんに私は迷わず、うんと頷き受け取ろうとする。けれどリドルくんは気付かずに私の後ろに回りこんだ。
するりとリドルくんの手が前に周り、私の首にチョーカーが飾られる。

「いいね。似合うよ」

そう言って笑うリドルくん。こうやって色んな女の子をたらし込むのだろうか。少しだけモヤモヤしたけれど、きっと気のせいだ。
鏡の前に立てば、驚くほどに無表情な自分にちょっと驚く。

「あれ、気に入らなかった?」
「ぇ、違うよー!すごく素敵」

さすがリドルくんだね!という私の言葉にリドルくんは目を細める。しかしそれも一瞬で。彼は何もなかったかの様にいつもの笑顔を見せ言う。

「そう。それじゃ帰ろうか」

リドルくんは私の手を引いて、お店を出ようとする。私の首にはまだチョーカーがついたままだ。

「え、リドルくん!チョーカー!」
「ああ、大丈夫だよ。もう払ってある」

呆然とする私に、リドルくんは楽しそうだ。

「クリスマスプレゼントだよ」


(わっつはぷん!)
(明日は大雪だなあなんて!)
katharsis