きょろ、と辺りを見渡す。何も……ない。よし。家の前が道路だから、田舎道と言っても、一応安全確認してから第一歩を踏み出さなくちゃならない。
楽しみだなぁ。
まぁ、かなりキョドりながら、バスの予約券を行った日を思い出すと、地面に埋まっちゃいたいんだけど。
駅に売っているものだと思って意気込んで入ったら窓口が違うと笑われ、うろうろして、やっと受付を見つけたのだ。
自由だ、自由だー。
たん、と強く飛び上がると、なんだか嬉しくって明日まで飛べそうな気がした。
弾む足取りで意気揚々とバス停に向かって、それからそこで待っていたときだった。
なにやら騒がしい。
騒がしいってのは、目の前のバスの雰囲気が異様で、列に並ぶ数人が、それを見てざわついてるということだ。
「……なに?」
ひょこ、と首を傾げつつ列にくわわり、視線の先を覗くと。
バスの中に、ひとり、変なのが居た。
なにやら、刃物を、じゃない。
おもちゃの水鉄砲みたいなのを持った――なんていうか、まんまるの奇妙な生き物……そう意思を持つ、タコみたいな。
それがバスを占拠してて、乗っているみんなが、戸惑いを隠せないでいる感じ。
えええ。
私が目を疑っているときだった。
何やら、目の前を私と同じ歳くらいの、長い銀髪の子どもが通過して列に入って行く。
うわあ、美少女だなぁ。目がぱっちりしてて、ピンク色。
まつげが長い。口が小さい。いいなー。
後ろからはパトカーの音。
なにこれなにこれ。
撮影かな。
っていうか、予約したバスの時間があるから、駅を目指すためにも(駅から家が離れてる)、これに乗りたいのにっ。
軽い動作で飛び上がった彼女?(性別不明)は、なぜかマイクを手にしていて、そしてバスの真上に立っていた。
それから。
「お眠りなさい」
彼女の声に合わせて周りが、ばたばたと眠っていく。数人の警察官さんまで。
私?
私はなぜか、起きていたの。
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