髪から滴る水の重さが、今の自分の重さのような気がした。
ひゅうと吹く風に飛ばされて、程無くして地面に落ちるような。
そのくせ、どんよりとした気持ちにさせるような。
…駄目だな、すっきりしたくて、何も考えたくなくて、ここに来たのに。
泳いでる時は良かったが、水から上がればすぐに、舞い戻ってしまう。
…そういえば、大会の時も、観に来てはいたけど、全然どこにいるか分からなかったし、声援が耳に届くこともなかった。
来てくれただけで十分…、嬉しいのは、嘘じゃなかったけど。
本当は、もっと応援してほしかった。
叫べとは言わないけど、せめて、こっちからも分かるような場所で、見ていてほしかった。
こんなようなことを、言い出したらキリがない気がして、考えるのをやめようとするけど。
…やめられたら、こんなに悩んでない。
「…何で、」
それは、
何で駄目だったのか、
…何で彼女が良かったのか。
どちらにもかかっていたように思う。
…たぶん、意固地になってただけなんだろうな。
だからきっと、続かなかったんだ。
自分があんなに想って、言い寄ってるのに、落ちないなんて。
自尊心を傷つけられたような気分だった。
どうしても振り向かせたくて、プライドも捨てて、やっと口説き落としたのに。
…付き合い始めてみれば、足りないことだらけで。
不満を挙げ出したら、止まらなくなりそうで。
それをしてしまえば、追いかけ続けたあの時間が、無意味で、空しいものになりそうで。
ただ、それを嫌がってるだけなんだと思う。
自分で言うのもなんだけど、黙ってたってある程度女の子は寄って来るし、選べる立場だし。
俺に合う子が、もっと好みな子が、他にいると思う。
…去り際の、揺れた瞳が、引っ掻き傷のように胸に刺さってる。
ただ、そんな気がした。
ただ、それだけなんだ。
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H26.6.18
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