「なまえさんですかぁ?面白い人ですよ〜」



相変わらず蒼い顔をした後輩が言う台詞は、僕の中のイメージとは繋がらない。

コイツ自身が変わってるから、もしかしたら、感じ方が違うだけかもしれない。

かくいう僕も、よく『ズレてる』って言われるけど。



「…どんな風に?」

「んー…言い方とか、発想、ですかねぇ。あっ、あと、なまえさんは優しいんですよ〜」

「…具体的に、」

「人体の不思議展、一緒に行ってくれたんです。すっごく行きたかったのに、誰も付き合ってくれなくて〜」

「あぁ、僕も断ったヤツか。…偶々みょうじも行きたかったんじゃないか?」

「全然興味ないって言ってました〜」



…イマイチよく分からない。

三郎次を悩ませていたみょうじなまえについて、ほとんどと言って良い程情報がなかったから、少し調べてみることにしたんだけど…、

聞く相手、間違えたかもしれない。



「その後、パンケーキ食べに行きました〜」

「…伏木蔵、お前、みょうじと付き合ってるのか…?」

「そんなわけないじゃないですか〜。なまえさんが好きなのは、池田先輩だけですからぁ」



少し、面食らってしまう。

そんなに分かりやすく、愛情表現していたんだろうか。

意外だ。

…と言っても、何となくのイメージしか持ってなかったけど。



「…みょうじと、どんな話するんだ?」

「んー…色々しますよ〜。季節のこととか、金魚のこととか、お菓子のこととか?」



…やっぱりよく分からない。
季節とお菓子はともかく、金魚の話って何だ。
祭りじゃなくて?

…夏祭りとかって、二人で行ったんだろうか。



「…そういえば、伏木蔵、何でみょうじと仲良いんだ?委員会が同じだった訳でもないだろ?」

「なまえさん、いつも僕を助けてくれるんです。トイペの山を引っくり返した時とかぁ、野良犬に追いかけられた時とか、」

「…通りすがり?」

「そうです〜。なんかほっとけない、って言ってました〜」



…何となく、分かる気がするけど。

面倒見は悪くない、ってことかな?


こうして少しずつ、情報を拾っていったとしても。
漠然としすぎていて、途方もないな…



「左近せんぱい、」

「…ん?」

「なまえさんはね、怖がりなだけなんですよ」



本当は、わかってるんです。


そう言って笑って見せる後輩が、どこか誇らしげで。

珍しいな、と思う他に、何か引っ掛かったけど、それが何なのかは、よく分からなかった。





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H26.6.22
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