年の瀬が近付くと、寒さも増してくる。
そんなことは周知の事実だが、鼻炎持ちの私の鼻はまさにクライマックス。
今年は何やら黄砂も飛んでいるというではないか。
私への嫌がらせとしか思えない。
そんな訳で、ローションティッシュが私のお友達だ。
「…オイ」
「あ゛ー…なに゛?」
「お前には恥じらいというものがないのか…」
盛大に鼻をかんでいたことを指しているのだろうか。
三郎がえらく顔をしかめている。
信じられないとでも言いたいのか、じと目で私を睨んでくる。
「だーって鼻水垂れてくるんだもん」
「女子が鼻水垂れるとか言うな!」
「じゃあなんて言えっての?」
「鼻の調子が悪いで良いだろ」
「何でも良いじゃん」
「良くない!!」
何をそんなに熱くなっているのか。
目をつり上げる三郎を放置してみかんに手を伸ばす。
あーやっぱ冬はこたつにみかんだよねぇ。
「お前は女子である自覚があるのか!?」
「三郎が女子とか(笑)」
「お前…今鼻で笑ったろ」
「気のせい気のせい」
「大体、お前の今日の服装はなんだ!」
「ジャージ」
私のなけなしの名誉の為に言っておくが、中学のジャージではない。
部屋着用に購入した白ラインの黒ジャージである。
「ジャージ…!!なまえ、私はお前の何だ」
「え、彼氏?」
「何故疑問系なんだ!?」
「何でだろうねー」
「なまえ…お前、まさか…」
三郎が俯いてわなわなと震えてる。
あ、嫌な予感しかしない。
「兵助と浮気しているのか…!!」
「どうしてそうなった」
「お前、兵助の前では鼻かむのをはばかっていただろう」
「だって恥ずかしいじゃん」
「私の前では恥ずかしくないのかぁぁあ!!」
憤りを微塵も隠さずに、顔を紅くして叫んでる。
ご近所から苦情が来ないかとヒヤヒヤものだ。
「うん、全然。三郎だし」
「………お前、本当に…」
「三郎には何見られても平気。気許してるから」
「………」
「久々知くんには変なトコ見せたくない。三郎の友達に嫌われたくないから」
「…なまえ、」
「私は三郎が良いんだけど。こんな私じゃ不満?」
「……なまえが良い」
ふてくされた顔で私の手をとるものだから、元々溢れんばかりの愛おしさが、更に増して困った。
いつもは冷たい三郎の手が、随分と熱くて心地良かったので、私まで暑くなってきました。
こたつとみかん
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H23.1.1
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