私は今、予想だにしなかった事態と直面している。

今の私は、プリクラのサギ写機能など要らない程に大きな目をしているだろう。
あ、でも白目の面積ばっかり増える訳だから、可愛くはないよね。ちくしょう。

プリクラと言えば、こないだ伊作と仙ちゃんと撮ったら美人二人に挟まれた自分が惨めになって凹んだって話を留さんにしたら心底哀れんだ表情で『…ドンマイ』と言われて余計惨めになったのを思い出して悲しくなった。

目と言えば一個下の久々知くんは目デカイし睫毛バシバシで羨ましい。もう一個下の平くんと綾部くんもデカ目にロング睫毛でお人形さんみたいだ。私にも少し分けてくれまいか。

睫毛と言えばこないだふざけて伊作の睫毛にビューラーかけてマスカラ(ボリューム&カール)塗ったら本気で可愛くなってどうしようかと思った。正直負けた。シパシパするとか言って目擦るもんだから睫毛が目に入って激痛にもんどりうってるところへあろうことか七松が乱入して来たことで私が本能のままに逃げたから七松が長次を呼んでくるまで痛い思いをし続けた伊作はやっぱり不運だと思う。後日、逃げたことを責めてきた伊作に、私は七松と半径3メートル以上接近してはいけない病だということを小一時間程力説したら『分かった、分かったから…!』と今にも泣き出しそうな顔で言われた。分かって貰えて嬉しい。

不運と言えばこないだ伊作が…


「オイ」

「………あい」

「…何か言えよ」

「…なんか」

「小学生か」


至極どうでも良いことばかり頭の中に並べたくっていたのには訳がある。
現実逃避だ。
簡単に言えばパニック状態な訳ですだってもう意味分からんよ。


「…気にいらんか」

「…気にいるかいらんか以前に、なんで…?」

「………理由は、必要か…?」

「…必要でしょ、そりゃあ」


何だか私が彼を責めているように見えるかもしれないけどそうじゃないんだよ。
驚いてるの。
脈絡がなさすぎて。
だって、目の前に、


真っ赤な薔薇の花束があるんだから。


しかも、それを私に差し出しているのが、

潮江文次郎、その人だなんて。


「…そうか…」

「…そうよ」

「…その、何だ」

「うん」

「…その、これから、俺に…


毎日みそ汁を作ってくれないか?」



………(゜Д゜)ぽかーん
今の私はまさにそんな感じ。
それはそうだろう。
これはないだろう。


「…ねぇ、それ、プロポーズ…?」

「…っは、いや、その、…」


誤解を招きかねないので確認の為に言っておこう。
私と文次郎は恋人同士ではない。
ただの友達だ。
それも、友達の友達、ぐらいの。


「…みょうじ」

「……へい」

「…普通に返事出来んのか」

「…つい」

「…まぁ良い。…その…、なんだ。そういう訳で…」


どういう訳だ…!?
待て待て待て一人で先走るな!
置いてけぼりかゴラァ!



「結婚を前提に付き合ってくれ」



さっきまでの泳ぎまくった目はどこへやら。
まっすぐな、射抜くような強い眼差しと言葉に気圧されて、うっかりときめいてしまった私に喝を入れてやりたい。

更には、うっかり頷いて花束まで受け取ってしまった私をしばき倒したい。

嬉しそうに、はにかんだように笑う文次郎が可愛く見えて、きゅんとしてしまった今となっては、すべて叶わぬ願いとなって朽ち果てそうだ。




ラブストーリーは突然、かつ劇的に




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H23.7.1

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