(浮かんだ笑みは、未来への歓喜か)
「ねえお前。最近何してるの」久々に帰った家で、必要なものだけ取りまた出ようとすると、それを見つけた姉が声をかけてきた。
「元々そんな家にいなかったけど、最近なおさらじゃん」
「…少し、ギュンターとすることがあって」
「え!まだファルケンブルク君と交流あんの!?真逆そうなのに!我が弟ながらファルケンブルク君はどこが気に入ったんだろう…」
「はあ…」
毎度同じ言葉を誰かしらに言われるな、と思いながら、目線は靴に落としたまま、靴紐を結ぶ。
「父さんもさ〜最近少し寂しそうなんだよ〜もう少し帰ってきてあげなよ〜」
「そう。面倒なので…」
「お前は本当にいつもそれ」
玄市くんも嫌っているわけじゃないしさ〜とかなんとか言っている気がするが、どうでもいいのだ。すべて。
ギュンターの計画ほど、興味を惹かれる事項は変わらずない。
父がどう思っていようと、次期当主からの好感度がどうであろうと、どうでもいい。
「姉さん」
「んあ」
自分は自分のすべきことをするだけ。たとえ、自分たちが起こそうとしている事象が、家族を巻き込もうとしても。
「ワタシの話は、変わらず面白い?」
小説家としてデビューさせたのはそもそもこの姉だ。書き続けることを進めたのもこの姉。
考えてみれば、ただ、姉は。もっと外界に興味を持ってほしかったのかもしれない。
ネタ探しという名目であれど、もっと何かに興味を持ってほしかったのかもしれない。
「ん?相変わらずボクは好き」
「…そう」
だから、ちゃんとその結果を見せるから。安心して。姉さん。
「じゃあ、きっと。もっと面白いものが見れるよ」
「すごい自信だなぁ。ま、楽しみにしてるよ」
きっとそれは、姉さんを絶望の虜にしてくれる。
浮かんだ笑みは、未来への歓喜か
(は?笑った?え?明日は雨?)
topへ