(雪と氷とあの日の、)


久々の公休で、明日は何しようか、だなんて。
寝る前に呑気に考えていたものだ。

目覚めてみたら、真夏の暑さは一夜にして、凍りつくような冬の息吹となっていた。

あまりにも寒くて、カーテンを開けた窓の外の景色を見た時、しばし固まったのも無理はない話だろう。

こんな世界なにも。

何も予知していなかったウラニアは、ひと瞬きし、瞬く間に頭を働かせる。

この状況は明らかにおかしい。異常気象の度を超えている。つまりは。
自分たち、PCIBの管轄事象なのではないのか、と。

クローゼットの奥にしまい込んでいた冬物のコートとマフラーを引っ張り出し、予備としておいていた通信機を耳につける。
携帯とデザリングしたところで、通信が飛んできた。

「はい。こちらファウスト」

予想通り、通信は本部からのものだった。

「はい、はい。…外の状態は確認いたしました。
この状態だと交通機関は…本部に着くにはしばらく時間が、…は、付近のAgentとHoundの補助、」

本部から飛ぶ指示を聞きながら頭に叩き込んでいく。
要は、スリーマンセルを組み、オペレートすべし、と。

「はい、えぇ。予知にはなく。…はい、…はい」

通信は繋ぎっぱなしでテキパキと外に出るための準備を行う。趣味で開発しかけていたものも、何かの助けになるかもしれないし腰のカバンに押し込める。

「それでワタシは、あぁ、近くにはマーティンとキングズリーの臨時バディが?
了解です。直ちに合流いたします」

一番近かったバディはどうやら、知り合いであるアベルが組んでいたものらしかった。
知り合いであればなお連携が取りやすい。

「かしこまりました。ではまた報告いたします」

通信を切りながら、家の扉を開けた。
吹き荒ぶ風は冷ややかで、昨日までの生温さはどこにもない。

白銀の世界に、ウラニアは目を細めた。

「…タレイア」

呟いたのは、この白銀の世界と同じように、寒い冬の頃に亡くなった友の名だった。

『、アベルさん?ワタシ。ウラニア・ファウストよ。今どこ?合流の指示が出たからいくわ。こっちはー…』

少しかぶりを振ると、ウラニアは切り替え、合流すべき相手とコンタクトをはかった。






雪と氷とあの日の、
(どうか、)


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