(諦められるものか)

※5.0ネタバレあり

ロロが姿を消した。
その報告を受け、エレノアはひどく狼狽えた。

最後の大罪喰いを討伐したあと、ロロの中の光があふれた。
手があると言っていた水晶公は、エメトセルクに最終的に連れ去られてしまうし、踏んだり蹴ったりもいいところだった。

それでもロロはどうにか踏ん張り、大丈夫だよ、と笑って見せたあの時は言葉を失ってしまった。
何もできない自分が悔しくもあり、あれほど苦しい時に苦しいことを肩代わりしてくれたロロが苦しい時に、楽にする方法がないことが悲しかった。

心配で握った手が氷のように冷たかったことを覚えている。それに気づいて、ゾッとしたことも。
一緒に寝る時に温めて、体温を移そうと思っていたのに別で寝るねと言われたのが昨夜のことだ。

そうして夜明け。ロロがいなくなったことを知る。

あんな体でいったいどこへいったというのか。
慌ててみんなで手分けをして探して、けれどもエレノアの思い当たるところにはどこにもいなくて。
ロロの好きそうな景色、ここいいね、と二人で話した場所。どこにも。どこにもいない。

「どこにいるの……?」

ここだよ〜とのんびりと答える声はない。
まさか一人でテンペストにでも向かったのだろうか。
いいや手段が、などと色々考えを巡らせ、ひとまず報告をするためにみんなの元へと帰る。

帰った先で、これ以上ない地獄をエレノアは見ることになるのだ。

「………は、」

あいた口が塞がらないとはこのことだろうか。

「アリゼー!アルフィノ!逃げなさい!!」

どこか見覚えのある姿の異形が、アルフィノとアリゼーを狙っている。

「私が…私が止めます…!」
「無理だ!もう助からない!!」

リーンやサンクレッドの焦った声も聞こえる。

この場は燃え上がり悲惨と言う言葉のほかない。

「あ、あぁ、やめて、やめなさい、」

掴み上げられたアルフィノに、剣らしき何かを向ける異形。

その姿が誰かなんて、エレノアは知っている。

止めていた足をどうにか動かしかけ出す。
どうか、どうか間に合って欲しい。殺さないで欲しい。貴方はどうか、そんなことを、

英雄、アルフィノの言葉尻が聞こえたところで、どうにかエレノアは間へと叩き割り入り阻止した。

「ロロ……ッ」

変わり果ててしまってもわかるものは、わかるのだ。
目の前にいるのが自分の一等大事な人で、姿をくらました彼なのだと。

「ロロ、ロロ…!!!やめて、なにをしているの、何をしているの……!!!!」

エレノアがそう叫ぶと、目が眩んだようにやや目を細めたそれは、ゆらりと手をあげる。
戦闘態勢を取ったところで、ゆったりと頬を撫でられ唖然とした。

それは、エレノアを避けて攻撃を再開しようとした。

ひくりと、口の端をひくつかせたエレノアは自分の横を素通っていったロロを振り向き、その拳を振り上げ……、
勢いよく彼を吹き飛ばした。

「ロロ、私だけ無視するつもり?ふざけないで。……っっ貴方と戦うのは、この私よ!!!」

咆哮するかの如くエレノアは叫ぶ。
これ以上周りに被害は出せない。気を引かなくてはならない。戻ってきて欲しい。
ぐるぐると色々なことが頭を駆け巡りながら、震える拳を握る。

「っ貴方にばかり背負わせて、私は、何も、何もできてない…!!!」

ならば、ならばせめて。

「貴方が、これ以上、誰かを傷つける前に。貴方が貴方でなくなり切る前に、」

もう手遅れだと言われようとも、あの仕草は、眩しそうに目を細めるそれは、紛れもなくエレノアにとっては彼なのだ。

「私が、倒す!!ロロ・シマム!!!私を、みろ!!!!!」

ピクリと反応した彼であるそれは、ゆらりとこちらを見る。
倒すだなんて言ったけど、貴方を殺したくはないのだと、エレノアは顔をしかめた。
もはや奇跡にかけるしかない。エレノアは念じる。

光を蓄積するのに選ばれなかった光のクリスタル。今こそ、どうか、力を貸して欲しい、と。



諦められるものか
(でもどうしようもないのなら、せめて私の手で、貴方を、)

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