(君を休ませる方法)

カツカツと机を叩く指の音が強くなる。
コルは、明らかにイラついていた。
目の前にいるのは、友人であるシャロレー・マイヤーズだ。
コルは、兼ねてよりのこの男の暴走機関車振りを少しでも見直すよう、話をしていた。

アルナスルの時と違い、同族嫌悪によるむかつきは全くなかった。
たまに上がる心配の声、それを大丈夫と一掃する男を見かねて、そう、最初は。
最初は諭すように静かに話していたのだ。

けれどもシャロレーはというと暖簾に腕押し、ヌカに釘、豆腐にかすがい泥に炙、沼に杭……あぁつまり!
全く響いた様子はない!

最初は静かだったコルも徐々にあまりの響かなさに苛立ちを募らせ、徐々に声も、言葉選びも強くなる。
それにつられるよにシャロレーもまた、その言葉端を荒げた。

第三者から見れば、大丈夫と言っている本人の意思を無視して、コルが心配をし…それを受け入れてもらえなくて逆ギレている。
大丈夫と言っているのだから、大丈夫でいいのではないか?と思われることだろう。

けれどコルは、そう言う問題じゃないと言いたい。
“この本人が大丈夫ではないことを認識できない”可能性が大いにあるのが問題なのだ。

最初に出た暴走機関車。
まさにそれは、乱暴に言ってしまえば日々のシャロレーを表すにふさわしい言葉だ。
大丈夫、まだ走れると、気づいていないふりをしているのか、本当に気づいていないのか。“ヒーロー”としてどこまでも走っていってしまいそうなのがこの男だ。
たとえ、自身のどこかにガタが来ていようと。

「なんで正しいことして、そんで喜ばれてるのに止められなきゃなんねぇの!?」
「……っ」

埒があかない。
そしてコルに限界が来た。案外この男は、短気なのかもしれない。

「あーあーわかりました!
わかりましたよ!どうせヒーロー様に助けられるしかない有象無象が余計なことを言ってすみませんでした!」
「は!?そうは言ってないだろ!?」
「そう言うことっすよね?どうせアンタにとってオレは、助けるためだけの存在だ。それがアンタを心配していようと、気にかけていようと、聞く耳を持つ必要はねぇんですよね。
だってアンタは助けたいだけだ!」

ついに火がついた様子に、周りはざわざわとするが、コルは気にする様子はない。
顔に皺がより、口調はいつもの砕けたものではなく、よく人を煙に巻くものだ。

「わかりました、ヒーロー様。有象無象が本当に失礼したっす。
もうしらねぇ」

ガタリと立ち上がったコルは背後にかかるシャロレーの言葉は無視を決め込み、その場を後にしたのだった。

コルはただ、一友人としてその身を大切にしてほしかっただけだった。



君を休ませる方法
(駅員は運行予定きっちり守らせろってんだ…!)

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