(気づいた時にはもう遅い)
4日目。帝国は増援を呼び、今日に決着をつけることを目標とした。
今日も、雨。
空が泣いているようだと思ったのは気のせいだ。
公国の生き残りと騎士団の戦いは激化した。
どこにそれだけの力を隠し持っていたのか、と言うほどには盛り返して来ていた。
「はっはっはぁっ」
(厄介だ、天候を操る力…!雷に、鋭い刃のような風、どれもこれも未知すぎる…!)
今日で一体何人死んだ、と考えながら必死に息を整える。
向こうもこれが最後だと言わんばかりの猛攻撃だ。
「とっとと降伏すれば被害も少ないものを…!!」
「いたぞー!」という声とともに雨の民達が現れる。
地の利は完全に向こうだ。
舌打ちをして剣を握る。
「甘く見ないでいただきたいですね…!」
数が来たからと言ってどうと言うことはない。
俺は剣を振るうだけ。
次々と向かってくる民達を切り捨てる。
「俺たちがなにしたって言うんだ!!!」
いつからだ。
「ただ、静かに暮らしていただけじゃない!!!」
いつからだ。
「それをお前たちは!!!家族を!!!平穏を!!」
「返せ!!!家族を!!」
この侵略が、
「返せ!姫様を!!!」
「渡さない!!!この力も、この国も!!!」
とても愚かなものではないのかと考え始めたのは。
どくどく、どくどく。変わらず心臓は飛び跳ねる。
『いつか不幸のどん底へ落ちることになる!!!』
『それまで私は、お前たちの滑稽な姿を見ていることにするわ』
『アルファルド、お前ならわかるはずだ』
昨日あれから考えた。結局何が正しくて、愚かなのか答えは出なかった。
ただ言えるのは、
"この国の民は、理不尽な理由で死んでいると言うことである"
「わかりたくない、わかりたくない」
向かってくる民を切り捨てながら、俺は呟く。
「わかったらダメだ、わかっては、いけない」
わかってしまったら、俺はーーー……
「この人殺し!!!!心を持たない殺戮人形め!!!!」
その言葉に一度ピタリと俺は停止した。
そしてすぐさま動き、血を浴びる。
目の前の人は真っ二つとなり、地にふした。
白い団服は血を吸い込み、赤へと変貌する。
一掃し終わったところで、俺はガランと剣を落とした。
あぁ、
「この国は、間違っている」
愚かなのは、俺で。
間違っているのは、帝国で。
俺は心の何処かで帝国のおかしさには気づいていた。
でも見ないふりをしていた。
帝王が全てだと言うあの国で、帝王に逆らうことは許されない。
帝王が正しい、帝王が正義だ、そう言われて来た。
わからないふりをしたんだ。
そうすれば俺は、"正しい"ままでいられる。
わかってしまったあの時、
「う…っあ…っ」
俺は一体どうすれば"正解"だったのか、騎士団を出てからもわからないままである。
『愚かな太陽の民よ』
あぁ。愚かで、罪を犯したのは、この俺だった。
気づいた時にはもう遅い
(……でも、俺は、死にたく…っない…!!)
(戦わないと、戦わないと…!!)
(でもこれは、正義じゃない…!ただの、虐殺だ…!!!)
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