(あの日から変わったあいつ)

ifの話



目の前にいるのは誰だ。薄い金髪に、薄い青緑色の目。しかしその片目は赤く光り、白目は黒く染まっている。

「ニィーベ、なのか…?」

そう静かに尋ねるとニヤリと目の前の男は笑う。

「あぁ」

カシャン、と普通の人にはついていないであろう不気味な手が動く。

「どうした?そんなに驚いた顔をして」

あれはなんだ。目の色が違う側の体は、人間とは呼べないような変化を起こし、ツノまで生えている。

「は、はは。そう驚いてくれるなよ?ユリアン」

これは、俺の知るあいつじゃない。

「誰だお前は」

「……」

笑っていたあいつは、そう尋ねるとスッと笑顔を消した。

そうして目を大きく見開き

「さぁ、誰なんだろうな?俺は」

静かにつぶやき、ツゥと涙を流したのだ。





あの日から変わったあいつ
(戻ってこい、ニィーベ…!)
(…俺はもう帰れない)
(どこにも。世界樹にすら、も)

(魔物と化した代償だ)


彼は理不尽な理由で殺されたあの人の死で、世界を恨みました。

topへ