(海を愛した男、海へと還る)

ifの話



体が冷たい海水の中に沈んでいく。
あいつは、どうしただろうか。
契約、してたなら、地肉を分け与えておけばよかったか。
そうすれば、あの傷も。

生きていてくれ。俺が死んでもお前は自由になるだけだ。
みかんはもうやれないが、生きてくれてればそれでいい。
師団長たちも、無事だろうか。無事ならいいが。

ぬかった。でもいい。敵は倒した。
俺は沈むだけ。あのごちゃごちゃ物の多い空間で、いつものように眉間にしわを寄せて帰ってこいよといった男の顔が浮かぶ。

すまないな。
約束、守れそうもない。

意識が朦朧とする。寒い。

光さす方へと手を伸ばした。

親愛なる親友よ。
海へ沈むこと、許してくれ。

沈む体に対してはなれていくゴーグルをなんとかして掴もうとした。

(ユリアン、今までありがとう)

そのゴーグルに手が届くことはなかった。



海を愛した男、海へと還る
(忘れないで。俺のこと)

topへ