(彼女の返答?)
「えっ伊能さん櫛あげたんです?」
リリーから帰った次の日に、リリーでの話をねだった守孝が話を聞いて驚きの声を上げる
「なんだ」
「…いえ、まぁ、伊能さんのことだから特に深い意味はないんだろうな〜とは思いますけど…シャーロットさんは女性だから知ってるかも…?んん…何にせよ告白といい大胆ですよねぇ」
炊きたての白米を茶碗につぐ守孝はうんうんとなぜか頷くばかりで、はっきりしない内容に伊能は顔をしかめた。
「やですよ。そんな怖い顔しないでくださいよ〜あれですあれ、紅を贈ったら口付けたい、服を贈ったら脱がしたいとかあるでしょう?」
「あぁ…」
「櫛はですね〜死ぬまで添い遂げようという意味がありまして」
その守孝の説明を聞いた伊能はビシッと固まる。
「なん…く…くっそ重いというやつじゃないかそれ……」
「えぇだから、付き合いたてでやるなぁというか、愛が深いなぁというか大胆だなぁというか」
ケラケラと笑いながら味噌汁もつぎ、伊能の前へと守孝は並べる。
対して伊能は、いつもなら並べられると合掌し、箸を手に取り食べ始めるのだが、その手は顔を覆っており深い息を吐いていた。
「いやほんと、深い意味は、ないんだ」
「こういう系は疎そうですしね?」
「ドンびかれてたらどうしよう…」
あぁ〜とグダる伊能を前に、守孝はかつて女性に対しここまで弱気、というかぐるぐる悩む領主を見たことがあっただろうか、いやない。とクスクス笑う。
そもそもこの領主であり兄であり父であるこの男が女性と付き合うというのを見るのが初めてなため、シャーロットという恋人が絡む大抵のことは新鮮に見える。
「ドンびくなら告白の言葉で引いてますって」
「お前それ、ふぉろー?になってない」
「おや新しい英語ですか」
「あぁ」
いいから早く朝ご飯食べてくださいよ、と守孝が急かすと伊能はのそりと手を合わせ、いただきますと呟く。
「いやでも…」
もご…と白米を口に入れた伊能はそのまま飲み込むまで黙り、そんな様を守孝は見守る。
「でも?」
「…死ぬまで添い遂げるのは、悪くない。できれば、したい」
飲み込みきり、伊能がそう口を開くとブハー!!と守孝が吹き出し伊能は何事だと目を見開く
「いやぁ、ふふ。劇惚れで。まぁまぁ、大丈夫ですよって」
さぁ、朝ご飯続けて続けて。という守孝になんだこいつ……と思いながらも、伊能は箸を進めたのであった
彼女の返答?
(伊能さーーんシャーロットさんからお届け物〜です!)
(ん、なんかくるって言ってたか…?)
(誕生日じゃないです?仕事で来れないって言ってたから)
(あぁ…気を遣わせたな…。…時計?)
(…ね!大丈夫って言ったでしょ!)
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時計を送る意味は、同じ時を歩もう
守孝は伊能が船で帰ってる間速達伝法で時計を持ってるかと聞かれていたという設定
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