(その少年?、凶暴につき)
書きたいところだけ髪の色を変え、三つ編みからお団子へと変える。まだかの王を追っていた旅路をしていた頃の服を引っ張り出し寒さに備えた。
「大丈夫かい?エレノア。単身で潜り込むなんて…」
心配そうにアルフィノがエレノアを見た。
今回エレノアが受けた任務は、とある地域にて不穏な動きあり。蛮神問題に関わっている可能性が高いので調査せよ。と言うものだ。
そもそもその地域は警戒力が強いらしく、大人数での聞き込みなど情報収集は難しくなっていた。そこにちょうど雑事のできる少年を募集しているということで、少年にどうにか見えないこともない、かつ単身でもそれなりに強いエレノアが出ることとなった。
「…大丈夫。問題ないよ。うまくやる。…ほら、ララフェル族は小さいし…ね?油断してくれるよ」
最後にキュッと帽子をかぶりブーツを履いて立ち上がった。
「よし。…行ってきます」
最低限の荷物だけを持ち、エレノアは現地へと向かった
----(中略)----
「お前、この前から色んな奴に話を聞いて回ってるらしいな。怪しいな?」
背後から声をかけられエレノアはピタリと止まった。怪しむような言葉を投げかけられ、少しエレノアは顔をしかめる。
一呼吸置いて、にこりと笑い振り返った。
「…えぇ!そうですよっ俺、皆さんのこと色々知りたくって!かっこいいしっ仕事できるしっ!」
「おぉ?そーかそーか?…なんて、言うと思ったか?さて、あんたがたまーーにあってた外部のお仲間さん?今頃どーしてるだろうなぁ」
「!?」
男の言葉にエレノアは笑顔を崩し、目を見開く。
「坊主は色々警戒してたがなぁ…残念だったな?こっちも間者をあてさせてもらった。オラ!坊主を捕まえろ!」
男が部下に指示をし、部下は返事をすると大人しくしろ、と言いつつエレノアに近づく。エレノアの腕に部下の手がかかったところで、
エレノアを捕まえろと命令された部下は空を舞った。
「…フー…申し訳ないけど、仲間を返してもらえる?」
「あぁ?そりゃできねー話だ。おい!てめーら全員でてこい!このすかした野郎を捕まえろ!」
「……そう」
何してんだ起きろ!と部下に怒鳴る男にエレノアはため息をついた。
そうしてうようよと湧いて出たたくさんの部下たちにもため息をつく。
「…いいの。怪我をするけれど」
一人、二人、エレノアに詰め寄る。
「…いいのね」
エレノアに触れる前にその者たちは空を舞う。
その光景に驚いてついには剣や杖を携え相手はエレノア目掛けて攻撃を始めた。
「悪いけど、これくらいじゃ捕まらない」
体をひねり、勢いよく相手を蹴り飛ばしその後ろの者たちをも吹き飛ばす。
風圧により帽子がエレノアの頭から落ちて、彼女の顔がよく見えるようになった。
「お、女だと!?えぇい、好きにさせるな!とらえろ!!!」
向かってくる者たちに次々拳をたたき込み床へと崩れ落ちさせる。
そうしてぐるりと気絶した人がエレノアを避けるように輪を作った中心で、静かに頭の男を見据え告げる。
「…私は、」
静かな殺気にジリッと男が一歩下がった。
「エレノア・アルバニア」
そうして腰を落としエレノアは構える。
「仲間を、返して?」
その少年?、凶暴につき
(エレノア・アルバニア!?お前、まさか!!!)
(…少し眠っててもらえるかな)
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