(くりかえし)

「…奏。結婚して」
「……え?今なんて?南さん」

下の名前で呼ぶことに、男が随分と慣れた頃だろうか。出会った当初よりも長くなった髪を、きっちりとまとめた彼女…日向夏南が、有栖川奏に小さな箱を前に差し出している。

「だから、結婚しよう」

プロポーズを、(いや、そもそも女性側からあまりプロポーズをすることはないが)しているというのにしかめっ面なのは、照れを隠しているのだということをこの数年で十分理解した。
そうして、有栖川がそんな彼女にとった行動は……

「……す、みません。聞かなかったことにしてもいいですか」

…それは、何時ぞやとまるまる同じ答えであった。

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