愛愛傘


「雨降るなんて言ってなかっただろ...」

天気予報に嘘をつかれた。
聞き込みも終わり署に戻ろうとした矢先、大粒の雨。

「走ったら濡れる...このままサボるのもありだ...」

この雨なら多少堂島さんも許してくれる...はず。

「あだち...さん?」
「わ、名前ちゃんどうしたの?」

目の前に現れたのは学校帰りであろう名前ちゃんだった。

「どうしたのって...ここ通学路ですし...どうしたのはこっちのセリフですよ。またサボりですか?」
「僕=サボりっていうのやめてくれる?この雨で署まで帰るの無理でしょ。あー、頭の弱い名前ちゃんには難しかったかな?」
「...腹立つ」

少し膨れ気味になった名前ちゃんもかわいい!
なんて口が裂けても言えないけど。

「警察署に戻らなくて大丈夫なんですか?」
「僕がすぐ戻ると思う?」
「...いえ。...あ、じゃあジュネス行きましょう!」
「僕に仕事サボれって言ってない??」
「やる気ないくせに!」

正直これには返す言葉もない。
署に戻るか、ジュネスへ行くか。もちろんジュネスに行くけど、僕の視界で早く行きましょう!!と駄々をこねる名前ちゃんをもう少し見ていたい気持ちもあった。

「荷物持ちよろしくお願いします」
「人のことサボらせといて荷物持ちに使うなんて、よっぽど名前ちゃんは偉いんだねえ」
「キャベツプレゼントしますから!」

ね!と必死に頼み込んでくる彼女の姿に何かが崩れ落ちかけた。
彼女の傘に入りジュネスへと歩きだす。


あーあ、このまま時間が止まればいいのに。



(片思い??なあだち)