「JOJOおはよう!」
「JOJO」
「おはようJOJO」

学校が近くなるにつれ私と承太郎の周りには女子が集まってきた。不良なのに頭が良く尚且つ美形な彼は女生徒の心を魅了してやまないのだ。何人かは私にも挨拶をしていくのでそれに答えながら、こっそりと承太郎から距離を取っていく。騒がしいのが好きじゃないのは私も承太郎も同じだが、その喧騒の中心にいる承太郎はなかなか抜け出せない。毎度のことである。ここでこの黄色い声を我慢するよりは、後々の承太郎の憎々しい逃げやがったな、をかわす方が楽なのだ。
彼がああして注目を浴びるのは妹として鼻が高いことでもあるが、同時にコンプレックスを刺激することでもある。どちらかと言えば後者の方が強い。あまり目の当たりにしたくないのだ。足早に校舎を目指す。背中に恨めしい視線が刺さるのも、もう慣れたことだ。


*

そのメッセージに気付いたのはお昼の授業が始まってすぐだった。"迎え行くから一緒帰ろうぜ、承兄はパスで"笑顔のキャラクターのスタンプと共に送られてきたそれは仗助からだった。
仗助は私や承太郎とは別の隣町にある高校に通っているため、こうした誘いがくるのは珍しい。真っ直ぐ家に帰った方が早いのにわざわざご苦労なことだ。ひとつため息をついて、教師の目を盗み、机の下で静かに返信を打つ。"いつも承太郎と一緒に帰ってるから別々は無理だよ、分かるでしょ"すると即座に既読の文字が浮かんだ。目を丸くしているうちに返信がくる。

"だよな〜"
"三人で帰ればいいでしょ"
"いつも承兄ばっかずるいだろ"
"なにが"
"俺も二人で帰りてえの"
"諦めてね"
"今日だけでいいからよ、頼む!!!!"

諦めそうにない仗助にまたひとつため息を溢して、今度は承太郎にメッセージを打つ。素直に言っても聞いてくれないだろうから"今日は友達と寄り道して帰る"と。こちらもすぐ返信がきた。"遅くなるなよ"ぶっきらぼうではあるが意外と心配性な承太郎。返信が早いのはサボっているからか、それとも私のように隠れて打っているのか。大きな背中を丸めてスマートフォンを触る姿を想像すると少し笑えた。


*


「最近元気ねえからよォ〜、励ましてやるかなって」

帰り道、仗助に連れていかれた公園には移動式のクレープ屋が停まっていた。奢ってやると言うので一番高いものを頼み(仗助はマジかよ、と頬をひくつかせた)、ベンチに腰を下ろしてかぶりつく。自販機からペットボトルのコーラを買った仗助が隣に座ったかと思えば、私を覗き込みながらそう言った。

「…元気ない?」
「徐倫とジョルノが心配してる。…俺も思ってたけどよ」

コーラを飲む仗助の喉が上下に動く。
いつも通りに振る舞っていた筈なのに、子供はどうも空気に敏感だ。「別に、普通だよ」クレープを頬張る。生クリームの甘い味が口の中に広がり、顔が緩んだ。
仗助はふぅん、と今朝の私に似た返事を寄越す。膝に頬杖をついて私を見た。「ま、なんかあったら言えよ。キョーダイだろ」キョーダイ。うん。目は合わせず頷いた。


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