心は雨模様

1年生の初々しい制服姿が学校に馴染み出した6月のある日。
有名私立校に通うグルッペンは神妙な顔で生徒会室の自分の席についていた。
その表情は暗く、周りの空気は暗雲立ち込めまさにいまグルッペンの頭上から雨でも降りそうなぐらいである。
上質な回転ソファ、グルッペンの席こと生徒会長席でカツカツと小さく貧乏ゆすりをし手を顔の前で組んで微動だにせず定期的に謎の唸り声をあげる、何時もの余裕綽々なグルッペンしか知らない人が見れば異常な状態なのだが、早二ヶ月程この生徒会室では毎日のようにこんなグルッペンが見られている。
会計長のオスマン、庶務長のゾムや書記長のエーミールは見慣れたもので軽く視線をやってはスッとそのまま視線をそらして見て見ぬふりをする。
それに見かねた副会長のトントンがいつもの如くため息をはきながらグルッペンに声をかける。

トン「グルちゃん、今日は何があかんかったん」
グ「なんで、あかんかったって決めつけんねん」
トン「いやいや、ええことなかったからそんなんなんやろ」

イライラとした様子のグルッペンに物怖じせずズカズカと質問をぶつけていくが容量いい返事はかえってこない。

オ「どうせ今回も随分上から話しかけてこわがらせたんやってー」
エ「それか前みたいに急に高価なプレゼントをして断られたか…」
ゾ「無理矢理連れてこうとして距離つめて逃げれたって可能性もあるで」

後ろからは今まで見て見ぬふりだった3人が水を得た魚の様に好き勝手言いはじめる。
いつもカリスマ性溢れるグルッペンを弄るなら今だ!と言わんばかりの猛攻撃だ。

トン「とりあえず君らちょっと黙って」

それをトントンは疲れた声色で3人に注意し、3人はつまらなそうにぶつくさと抗議の声をあげながら自分の机に向かう。
そしてグルッペンにゆっくりと向き直り

トン「で、今日はいったい何して大先生ビビらせたんや?」

現在の問題の確信向かってに鋭い言葉の投げかけた。
さすがのグルッペンも直球ど真ん中にってかほぼ正解に今まで以上に暗雲をたちこませながら口を開く。


グ「何もしてへんは、ただいつも顔が怖いと言われるから出来る限りの笑顔で挨拶したら、めっちゃビビって半泣きで逃げられた」


生徒会室が静寂に包まれ、外から聞こえる生徒の声が室内に反響する。
そして、

オ「まっマジかーーwwwwグルッペンそれは怖い怖すぎるwwww」
エ「グフッまさかwこんな」
ゾ「グルッペンの満面の笑みって考えただけで鳥肌もんやねんけど」
トン「グルさん可哀想に……大先生もさぞ怖かったやろうな…」

四人の笑い声と恐怖する声同情する声などが室内に響く。

グ「なんやねん。なにが問題やねん。こちとら愛想ようしたったやろ」
トン「グルさんグルさん。あんた元々大先生からの好感度、地に落ちてんねんで。毎日下げてるようなもんやねんで、わかってる?その相手が急に満面の笑みで挨拶してきてみ?あっこれ殺されるって俺なら思うな」
グ「…………」
オ「こわーい」

グルッペンの頭上の暗雲は留まることなく生産されていく

グ「じゃあっ…どうしたらええんやっ……」

とうとうグルッペンは顔の前で組んで微動だにしてなかった手で机を強く殴り悲痛な声を上げる。

トン「いや、やから毎日言いよるけど、もうちょいゆっくり距離感持って近づいて行けって。」
グ「大先生みたら、気づいたらいつもああなってる」
オ「あれ、ほぼほぼ無自覚やったんや」
ゾ「こわ」

顔をだらしなく机にもたれかけグルッペンが弱音をはく。
自席からその姿を眺めながらオスマンがどうしょうもないものを見る目でため息をはく

オ「こういうところを大先生見せたらイチコロなんちゃう?」
トン「そんなもんなんか?」


オ「嫌よ嫌よも好きのうちっていうしな」














おまけ
その頃大先生は……



大「どうしよどうしよ!グルちゃんが満面の笑みなんかで挨拶してきたから恐怖とトキメキで逃げてきてもたっ!!これは嫌われた絶対嫌われた!!!!」
コ「ビービーうるさいぞ鬱っ!!」
シャオ「えっ?ってかグルちゃんの満面の笑みって何それ怖い。大先生死刑宣告でもされたん?」
大「流石に出会い頭の死刑宣告はされなかったわ。でも、それよりもや逃げだして来た事が問題なんや!」
ひ「大先生大先生、逃げ出すなんて何時もの事じゃん」
コ「せやせや。お前逆に逃げなかった事あるん?」
大「…………………ほんまや、」
シャオ「大丈夫やってそれより購買行こうや」
大「これはこれで大丈夫ちゃうんちゃうか?僕…」