04

「おわっ!」
「ご、ごめん!
だ、大丈夫?怪我とかしてない?」

「へーき、ヘーきって…東峰。」
「町田」

体育館の曲がり角、思いっきりぶつかりそうになった相手。ぶつかっていないはずなのに、なぜか怯えたような笑みを浮かべた大男。ヒゲだし、髪長いし。見た目いかつい同級生。

スガさんと同じ部活で、去年同じ委員会になって話すようになったんだけ、相変わらずビクビクされているような気がするのはなぜだろう。

いきなり出てこられて、ビビるのこっちなんですけど。

「こんなところで何してんの?」
「あ、いや…うん…。
町田は何してたの?」
「私は、職員室に用事があって。」
「そうなんだ。」

そう言うと東峰は、際ほどからどこか落ち着きがなく、チラチラと体育館の様子を伺っているようにも見受ける。

その体育館の重い扉の向こう側からは、スパイク音やバスケ部の声が声が聞こえてくる。

ナイッサー。
ナイスキー。

「体育館入らないの?」
「え!?あ!いや…違っ」
「…何が違うの?」
「え!…いや、…違くは、ない。」

私が何も言わないうちに、勝手に自己完結した東峰は、苦しそうな表情を浮かべながら右掌の見つめた。

何やら、葛藤があるらしい。
どうせ、彼のことだ。ウジウジネガティヴに物事を考えているのだろう。

「悩め、少年よ」
「え?」
「そんで、後悔がない選択をしなよ?
変なプライドなんて捨てちまえ。」
「町田…」
「じゃ、行くわ。
じゃね、気をつけて帰んなよ。」
「あ、町田も!」

体育入り口の東峰を残したまま、生徒会室に戻ろうと歩き出した。そして、体育館の渡り廊下を渡りきるかという時に、「旭さん!」なんて、とても元気な声が聞こえてきた。

そして、バタバタと走る足音。
そのまま、うまい具合にことが運べばいいなぁ、なんと思いながら廊下の角を曲がった。

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