「硝子ー、衣織見なかったー?」
「あぁ、アイツなら今頃仙台だよ」
「は?」
「言ってただろ?有休だって」
「は、あれマジだったの?
ったく、なんなんだよアイツ。」

あーぁとため息をついて、気が抜けたのかソファに腰を下ろした悟は、腕を組んだまま何か考えているのかそのまま動かなくなった。

「ちょっと試してみたんだよね、衣織のこと」
「は?」
「ほら、交流会の呪霊が侵入した時があったでしょう。その時に帳を上げてみろって言ったんだよ。」
「あぁ、君が攫ってった時だろ」
「そしたらさ、20分くらいで解いちゃったんだよねー。」
「昔からそうだっただろ、アイツは。
隠すのも防ぐのも解くのも、結界に関してアイツよりセンスのあるやつは見たことがないだろ。」
「そうなんだよねー」

卒業当日。アイツの結界を悟でさえも破れなかった。
逃げ切り、最後の最後に勝った。悟から聞く様子じゃ、今でも衣織のセンスは健在で、呪術界から離れた後も、それなりに訓練は積んでいたのだろう。

「まさか、呪術師に復帰させる気か?」
「さぁ、どうだろうね。でも、衣織のあのチカラを少しでも使えるやつが出たら、それはそれでいいと思わない?」
「それはそうだが…本人が了承するか。
逃げられたら、君は見つけられるのか?」
「さぁーねー。」

どうかなぁ。なんて、相変わらず飄々としている悟は、口元を緩めながらどこか楽しそうに話す。

何か策があるのか、確証があるのか。

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