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テスト期間が始まり部活停止令が出され、烏野高校入って期末考査一色となった。停止令と言ってもそこまでの強制力はなく、普通に練習している部活もある。
再来週頭から二日間に渡り、5教科プラス技術教科の試験が始まる。

ほぼ活動を停止した頭を振りながら、やっとの思いで顔を上げる。
先日からの追い込みで、だいぶ眠い。
そんな未覚醒の頭になんとか鞭をうち、ふと隣を見れば川西は案の定爆睡していた。
馬鹿めと川西の顔に手を伸ばそうとした時、「町田」と呼ばれて手を止めた。

前の席に視線を移すと、にこやかな笑顔を浮かべた菅原が座っていた。

「菅原、何?」
「今週の土曜暇?」
「土曜?あー、うん」
「勉強教えてくんねーかな。いやーどうも理系が苦手でさー」
「いいけど」
「じゃ、土曜の練習の後頼むわ!」
「うん、分かった。」

「詳しい時間とかは後で連絡するなー。」とにこやかに去っていった菅原。
そのあと数時間して、清水から土曜日宜しくねと連絡が来た。
何のことか分からず話を聞くと、どうやら菅原がみんなに声をかけ、結局バレー部三年全員で押しかけるらしい。そんなこと聞いてない。


週末。
テキトーなジャージを着て、自転車で学校に行く。
ずっと静かな廊下を抜け、ガラガラ接触の良くないクリーム色のドアを開けると、図書室の端っこに陣取る黒い集団が目に入った。
あそこか。

「清水、遅くなった」
「町田。ううん、まだ時間じゃなかったし、休みなのにごめんね」
「いいよ、大丈夫。」
「おー、町田!悪いな、休みなのに」
「いいよ、別に私も勉強するつもりだったし。」

バレー部いつものメンツが集まり、教科書を開きすでに勉強会は始まっていたようだ。
清水の隣に腰を下ろすと、持ってきたワークとノートを机の上に置いた。

「町田」
「ん?」
「ここなんだけどさ」

そう言って東峰が出したのは小テスト。そう言えば、最近やった気がするし、直近のやつだからテストに出る確率も高い。

「あー、これはね」そう話し出すと、東峰の隣にいた菅原も手を止めて乗り出してきた。

「これは、教科書の35ページの公式を使って解けるよ。」

ーこれをこうして、ここに足して…

「へー、町田って数学ほんとに得意なんだな」

隣で聞いていたのか、感心したように言う澤村に、「だな」と東峰が頷く。

「先生に聞くより分かりやすい…」
「確かに。」

何この人たち。私をどうしたいわけ!?そんなに褒めても何も出ないぞ。
そう思って、褒められて気分を害する人なんていないだろう。ちょっとだけ嬉しかった。

「いやー、助かったよ。俺数学マジでやばくてさー。」

えへへっと笑う菅原のこの笑顔に、今度こそ騙されないぞと誓ったのは言うまでもない。