こんのすけと小さい三日月

こんのすけは,三日月ミニマム化の原因を報告すべく,本丸の廊下を歩いていた。すると,目の前に小さい三日月が現れた。

「こんのすけ,まっておったぞ。」
「三日月様・・・?ワタクシに何のご用でしょうか?」

三日月が浮かんだ瞳を細めて微笑む様は,ミニマム化しても美しい。小さい三日月は,ほれ。とあるものを差し出した。

「・・・!!!こ,これは,万屋で限定販売されている超高級油揚げではありませんか!!!どうして三日月様がお持ちなのですか!?」
「はせべに『あるじにいなりずしをつくるゆえ,かってきてくれ。』とたのんだのだ。なにもうたがわずにかってきてくれたぞ。はっはっは。」

何故ワタクシにお見せになるのです?とこんのすけが尋ねると,小さい三日月は笑みを深くした。

「おまえとのとりひきにつかおうとおもってな。」
(審神者様の金で同士に買わせた油揚げを取引に使うとは・・・。何と腹黒い!)
「あるじは,ちぢんだおれをことのほかかわいがっておる。ちぢんだおれのなかみがじじいだとわかったら,あるじはかなしむであろうなあ。」
「・・・それは,つまり,中身がそのままであることを黙っていろということですか?」
「ものわかりがはやくてたすかる。どうする?おまえのせんたくしは1つだけだとおもうぞ。」
「・・・頂戴いたします。」

あいわかった。と言う小さい三日月の笑みは,大きい三日月の笑みそのものだった。


私と長谷部

「どうしても三日月と同衾すると仰るなら,俺の本体を閨に置いて下さい。俺は,主の許可なしに閨に侍ることままなりません。せめて本体だけでも。」

眉間に皺を寄せた厳しい顔つきの長谷部が,本体を置いた。

「同衾って,大袈裟だなあ。子どもと寝るだけだよ?」
「小さかろうが三日月は三日月と申し上げたはず。つまり,小さくともヤツは男なのですよ。それにもかかわらず湯浴みを共にした上,同衾までとは。いい加減,危機感をお持ち下さい。」

圧倒的な威圧感で説教する長谷部。とりあえず逃げようとすると,後ろから抱き締められた。

「今お渡しするのは,鞘に収まった刀です。しかし,貴方の閨に侍る時の俺の刀は抜き身ですよ。」

貴方の鞘に収めるのですから。と言って,右手で臍の下を下から上へとすぅっと撫でる。

「俺も男だということをお忘れなきように。」

耳元で吐息混じりに囁きカプッと耳を噛んだ後,長谷部は部屋から出て行った。

(えっ!?長谷部まで!?あの3振りの手入れをしなきゃ・・・)


私と元に戻った三日月

「三日月!貴方のお茶狂いのせいで,大変だったんだからね!」
「はっはっは。そう言われても,縮んだ頃の記憶が曖昧でなあ。」

そう言ったのも束の間,扇で口元を隠しつつ,目をギロリとこちらに向けてきた。

「そうそう。薬研や燭台切に言い寄られ,浮かれておったのは覚えているぞ。それに,なぜか長谷部の本体が主の閨にあったな。俺が縮んでる間に間男を作るとは,主は随分と度胸がある。」
「ま,間男!?」
「俺とずっと共にいると言ったその口で,間男の口を吸うつもりか?」

感心せんなあ。と言いながら,ジリジリと三日月が近づいてくる。

「もう一度,“梅の花”を口に含んでやろうか?」

笑みを深めた三日月は,私の鎖骨に歯を立てた。

08 三つ子の魂千まで小話詰め合わせ



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