「みかづ,う゛ぇーーーーーーーーー!!!!!!」

燭台切お手製の卵焼き(甘いやつ)に舌鼓を打つ幸せな朝餉の時間を切り裂く長谷部の絶叫。次の瞬間,主!主!と叫びながら,その機動力を活かし部屋に飛び込んできた。

「主っっっっ!!!こっ,こっ,これをご覧下さい!!!」
「お早う,長谷・・・・・・」
「みかづきむねちか。うちのけがおおいゆえ,みかづきとよばれる。よろしくたのむ」




いつもの美しい微笑みから垣間見える腹黒さなどなく,目の前の“彼”は,純真無垢に微笑んでいる。あの三日月が,なぜか小さくなってしまったのだ。

「燭台切からまた三日月の茶葉が増えたと聞き,説教すべくヤツの部屋に行きました。ところが,そこにいたのはコイツで・・・」
「とりあえず,こんのすけに調査して貰うことにしたから。ヤケクソで鍛刀したからかなあ。ただでさえ,うちの三日月ってよそと違うじゃない?ヤケクソの影響かも・・・」

“ヤケクソで鍛刀した”などと大きい三日月が聞いたら確実に睨み付けてくるだろう。しかし,小さい三日月は,ニコニコしながらチョコンと座ったまま。どうやら,“見た目は子ども・中身はじじい”ではないようだ。

「長谷部。悪いんだけど,来週近侍担当だったのを繰り上げていいかな?“主お世話係”と兼任ってことで。三日月がこれじゃ,近侍は無理だからさ。」
「主命とあらば。いや,主命でなくともお傍に。俺はあなたの刀ですから。」

勝ち誇った顔をした長谷部は,胸に手を当て礼儀正しく頭を下げた。すると,小さい三日月が,いやいやと私にしがみつき,胸に顔を埋めてきた。

「ちぢんではいるが,みかづきむねちかだ。あるじは,おれがいらないのか?おれはあるじといっしょにいたい。おれをすてないでくれ,あるじぃ・・・。」
「(天使っ!!大きい三日月と全然違う!!!)
あのね,三日月が小さくなった原因がよくわからないの。何かあったら困るから,暫くは近侍から外します。でも,ずっと一緒にいるから。ね?」

目をウルウルさせる様子に頬の緩みが止まらない。あー可愛い。甘えてくる天使をぎゅっぎゅっと抱き締める。

「ならば,おれにちかいをたてろ。」

小さい三日月の唇が,私の唇にチュッと触れる。そしてまた私にしがみつき,胸にグリグリと顔を埋めながら言った。

「やくそくをたがえるなよ」

怒り狂った長谷部に引きずられ退出する小さい三日月を見て,なぜか三日月に出会ったあの夜を思い出してしまった。

05 三つ子の魂千まで@



戻る