Nacken die Begierde

【燭台切光忠とどちらかが相手の首筋にキスをしないと出られない部屋に閉じ込められました。燭台切光忠は慌てて襖をこじ開けようとしています。(自力で出られなかった場合)45分後に、通りかかったこんのすけが外から開けてくれました。】


先日,主と僕は,訳のわからない部屋に閉じ込められた。主ったら,僕の指にきすするって言い出したんだ。格好つかないにも程があるよ。僕は長谷部くんみたいに野暮な男じゃないって事ぐらい何でわからないのかな?だから少しだけ意地悪しちゃった。一方,主は鬼のように働いてるよ。それが原因で政府から怒られたらしい。僕に対しては,いつも通りに接してくれる。流石だけど,快楽で歪む顔も見てみたいな。そんな感じで,僕達はいつも通りに本丸生活を送っていた。


先月の勤務時間が全本丸のトップ3にランクインした。政府は働き過ぎと大目玉だ。改善点をまとめろと膨大な書面の作成が義務付けられてしまったのだが,こんな事をしたら余計勤務時間が増えるだけ。つくづく頭の悪い政府である。ちなみに,ランクインを涙を流して喜んでくれたのは,長谷部とこんのすけだけ。コブラの粉末入り栄養ドリンクで乾杯した。

「あー喉渇いた。酒でも飲みながら書面作るか・・・」
「夜分遅くにごめんね。ちょっと良いかな?」

どうぞ。と入室を許すと,烏の濡れ羽色の髪と同じ色の夜着を身に纏った燭台切が現れた。勘弁してくれ,圧倒的夜感の色気が凄まじすぎる。正に“夜王”。出で立ちだけで鼻血ものである。彼は,チョコレートと黄色の液体が入ったグラスを乗せたお盆を持っていた。チョコレートなんて余計に鼻血が出そう。

「ごめん!入ったらまずかったかな・・?」
「あっ!いやいや,平気。入って!」

次郎に貰った紅い襦袢の上に羽織姿の私。流石はプロ。紳士的気遣いに1ミクロンの隙もない。燭台切は,夜のおやつを持って来てくれたらしい。何てイケメンなのだ!様々な形のトリュフは彼のお手製だ。ハート型のを1粒口に含むと中からトロリとガナッシュが出てくる。絶品という他ない。黄色の液体は,リモンチェッロというレモンのお酒のソーダ割だった。これもお手製。凄いぞプロ!私は,風呂上がりで喉が渇いていたこととテンションが上がりすぎたことが相まって,酒を一気飲みした。

「あっ!駄目だよ,度数が高いんだから!」
「へっへっへ。大丈夫,大丈夫!」

現世で買ったレシピ本を渡そうと寝室の襖を開けた。ところが,目の前にはドアが現れた。どこで○ドアか?振り返ると,燭台切が眉間に皺を寄せていた。すぐにドアから離れるように言われ,彼の後ろに隠れる。そして,ドアを開けて中へと入っていった。突き進んで行くと,前回も見た赤いドアがある。燭台切は赤いドアに手を掛け,私を一瞥した後ドアを開ける。そこは,前回とは異なって和風の部屋が広がっていた。ポツンと敷かれた布団を見て若干の違和感を感じたが。

「この襖を開けよう!」

燭台切が慌てて襖を必死にこじ開けようとする。ドアがパタンと閉まった瞬間,襖に変わったではないか。この部屋は一体どういう仕掛けになっているのだろうか。早く出なければ。

「どちらかが相手の首筋に・・キスをしないと出られない!?」

モニターを見て目をひん剥いた。これは流石にマズイ。いくら生娘をとうに卒業した私とはいえ,夜王相手に首にキスする・されるは躊躇を覚える。燭台切の意見に異議などあるはずもなく,襖をこじ開けようと試行錯誤したが駄目だった。むかついたので,襖を思いっきり蹴っ飛ばす。モニターを見ると,“NO!”と表示が出ていた。ふざけやがって。

(やば・・・酔ってきたかも・・)

先程の一気飲みの効果がここへ来て出たようだ。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し,布団の上に座る。溜息を一つ吐き,良く冷えた水を口に含んだ。少し頭が冴える。これからどうしよう。この度わかったことは,この条件を設定する者の意思で,部屋の造りまで変えてしまえるということだ。かなり恐ろしい。十分な防御策が施された本丸に早く戻らないと。燭台切の身が危ない。それにまだ仕事が残っている。長谷部の言葉を借りれば,怠慢は許されない。

「燭台切,ケリを付けよう。」

布団の隅で胡座をかく燭台切に声を掛けた。前回の反省を踏まえて言葉は選んだつもりだ。この言い方であれば,“例の理論”で攻められることはあるまい。彼を見ると,眉間に皺を寄せ不機嫌な顔をしていた。何故だ。

「君さ,どういうつもりで言ってるわけ?」
「いや,どうって・・・」
「誰が誰の首筋にきすするの?さあ,ケリを付けようよ。」
「あのですね,燭台切が・・私の首筋にキス・・してくれる方が,格好つくのかなと・・?」
「オーケー。任せてくれ」

ガクっと全身の力が抜ける。結局,“例の理論”で結論が弾き出されてしまった。燭台切は金色の瞳を細めて,私ににじり寄ってくる。そして,ひょいと膝の上の乗せられた。きらりと光る琥珀がこちらを見つめている。

「君の格好,遊女みたい。僕のこと誘ってるのかな?じゃあ,期待に応えないとね。」
「誘ってないっ!」

襦袢の上に着ていた羽織を剥ぎ取られ,襦袢の合わせをグッと広げられた。胸の谷間が丸出しだ,もう少し広げられたら胸が出てしまう。ブラという装備を付けていないのだ。

「やだっ・・勘弁して,下さいよ」
「下着,付けてないんだね。」

燭台切の指がするりと谷間を滑ると,ぞくりと肌が粟立つ。彼は唇を胸の谷間に触れさせた後,下から上へと舌を這わせた。鎖骨の間にある窪みまで舌を進めた後,鎖骨を吸い上げられる。

「く,首・・すじ,じゃないっ!」

身を捩ると,胸がはだけそうになった。慌てて合わせを引き寄せて胸を隠す。燭台切に襦袢の上から乳首をちゅっと吸われた。乳首を舌で円を描くように舐められたり少し強めに歯を立てられる。火花が散るような快感に襲われた。

「あっ!や,やだっ・・噛まない,で」
「へぇ・・君って,嫌がると腰が揺れちゃうんだ?」
「なっ!違,うっ・・」

酔っているせいで,体がいつもより敏感に反応する。今度は,胸を横から寄せるように揉まれた。襦袢と手袋越しだからぬくもりを殆ど感じないのに凄く気持ち良い。この刀,とんでもない技術をお持ちなのではなかろうか。

「大きいね。気持ち良い・・?」
「あ,やぁ,・・襦袢,ふっ,」
「・・駄目。今日は,直接触ってあげない。」

燭台切は,最初に胸の谷間や鎖骨を触れたり舐め上げた以外に直接触れてはくれない。襦袢の上から胸を少し強めに揉まれた。パチリとまた快感の火花が散る。彼が胸を揉みながら,乳首を吸ったり舐められたりするため,胸の先に濃い紅の染みが出来た。貪欲な脳がひんやりとした感覚をも快感として捉えようとする。

「綺麗だよ,本当に綺麗だ。もっと僕にくっついて?」
「・・んっ!」

腰をぐいっと引き寄せられると,私の股に固いものが当たった。ハッとして燭台切を見ると,誘うような視線を寄こして来た。そのまま下から上へと腰を動かし始めた。燭台切のそれが膣口にめり込んでいく。

「この前出した宿題の答え合わせしようか?当たったらすぐにきすしてあげる。でも時間切れになったらお仕舞い。」
「んっ!あ,ちょっと,待って・・うごか,ないでっ!きゃっ」
「ねえ,早く答えなきゃ。やめて欲しくないのかな?胸の先はぴんと立ってるし,下はひくひくしてる。」
「はや,く・・首!やっ,待って,」

時間切れ。と言いながら自身をグリグリと押しつけるため,膣口にどんどんめり込んでいく。下着からくちゅくちゅと水を含んだ音が聞こえていた。乳首を歯で噛みながら,彼のものが肉芽を擦り潰してきた。噛まれていない方の乳首は指で捏ねられる。弾けるような強い快感に疼いて仕方ない。上も下も布越しなのがもどかしくて,強請るように体がゆらゆらと動いてしまう。

「直接触れ合ってないのに,いいね。悪くない・・・」
「あっ,やっ・・気持ちいい,違っ!動くのだ,めっ」
「・・僕も気持ち良いよ。今,僕の頭の中で一杯なもの,何かわかる?」
「はあ,やだっ!わかん・・ないっ,あ!」

唇をペロリと舐めた燭台切は,今度は円を描くように腰を回してきた。肉芽も円を描くように刺激されて,もうどうにもならない。堪らずに燭台切の頭を抱えて,必死に彼のものに秘部を擦りつけた。襦袢越しに乳首をカリっと噛まれた瞬間,一人で達してしまった。たかが乳首で。乳首を噛んで女をイカせてしまうこの刀が恐ろしくて仕方ない。

「・・うそぉ,どうし,て・・・」
「ああ。乳首噛まれただけで気を遣っちゃった。直接触れてないのにね?」
「もう,やぁ・・」
「話せなくなるほど良かった?・・可愛い」

瞳をゆるりと緩めた彼は,私の首筋に唇を這わせて無数に浮かぶ汗の玉を舐め取った。金色がゆらゆらと妖しく光る。

「欲望だよ。君のこと,淫らでいやらしくてどうしようもない女に堕としてしまいたい。」


首なら欲望ーーーNacken die Begierde
Franz Grillparzer “Kus”(1819)



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