よしなしごと
▽2020/05/16(Sat)
徒然日記ss(沖田組)
「清光はさあ」
「ん?」
「朝起きて身だしなみ整えてる時、前髪に長い髪が混ざってることない?」
あるある、と彼は頷く。
「梳かしてるとどっかから流れてくるんだよね」
「そーそー。私そのつど切ってるんだけど清光はどうしてる?」
「俺も切ってる、だって邪魔だもん」
だよねー、と私は言った。
「だけどさ、昨日までは前髪じゃなかったやつを切ってるわけじゃん?で明日はもしかしたらサイドに流れるかもしれなくて、そうするとハネたりすんのね」
「わっかる!そうなの!」
その時、湯呑み片手に安定が顔を出す。
「盛り上がってるね」
「前髪の話してた」
「前髪?主また切るの」
そのくらいが可愛いよ、と彼は口にする。
「えっ・・・」
「言っとくけどこいつ天然タラシだから」
「なんだよ、僕はほんとにそう思ってるの」
童顔のタラシってこわいわ。
「安定は後ろの髪が前髪に来ちゃうってことなさそうだね」
「?あ、結う時ってこと?ないよ」
でも朝起きたらぼわんとしてる、と安定は笑った。
「夜ちゃんと乾かしたら少しはマシになるけど、めんどくさいからあんましない」
「でもふわふわしてて似合ってるよ」
「ありがと」
ねえ俺は?と清光が口をはさむ。
「出た、誉め言葉の横取り」
「その言い方ひどくない!?」
「だってほんとのことじゃん」
「いや、だけど清光と安定は髪質ちがうからね。安定はふわふわで清光はさらさら」
綺麗よ、と言うと彼は「ほんと・・・?」と遠慮がちに聞き返した。
「俺さ、ちゃんと椿油で手入れしてんだよね」
「だからつやつやしてて綺麗なんだねえ。あ、そうだ」
立ち上がって箱の中から小瓶をふたつ取り出す。
「これあげる。こっち清、こっちは安」
なあに?と安定はそれを興味津々とばかりに眺める。
「柚子油。清光のはあんず、髪しっとりするよ」
「いいの?もらっても」
いいよ、と答えるとふたりは「ありがとう」と嬉しそうに笑う。
「やった、楽しみ」
「僕も今日使ってみようかな。あ、ねえこれって口に入れてもいいの?」
「いや・・・髪用だから」
そっか、と残念そうな安定に清光は「なんでいきなり食べようとしてんの」と呆れてみせる。
「だって柚子だからおいしいのかなって」
「まあそうだけど・・・」
「椿は食べないけど柚子は食べるじゃん」
「衛生的にどうかなとは思うけどね。おなか壊すくらいじゃない?」
「えっじゃあやだ、やめとく」
そう言ってぱか、と蓋を開けると、
「いい匂ーい。ありがとう主、大切にするね」
と笑顔を見せた。
「俺も超大事に使う、でもっと髪きれいにするから!」
たまに交換しようよ、いいじゃんそれ、そんなふうに語る彼らを見ているのは幸せだった。
category:刀剣
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