よしなしごと
▽2020/03/10(Tue)
大包平と鶯丸
近頃、大包平がそわそわしている。
おそらく本人に聞いたところで?を浮かべるだけだろうが、俺はいつからか知っている。
初陣、深手を負って彼女に手入れをしてもらった時から、あいつは変わった。
一日でも早く強くなろうとしているのは一体誰のためだろうな?
「おい、何を笑っている」
「・・・俺は笑っていたか?」
笑っていたぞ、と大包平は呆れたように言った。
「そうか。・・・はは、そうだったか」
「なんだ、気色悪い」
「失礼なことを言うやつだなお前は」
「おまえに言われたくないがな・・・」
その時、主が歩いていく姿が目に入った。
背筋を伸ばし、長い羽織を翻していく後ろ姿を眺めていると、大包平が呟いた。
「・・・凛とした人だ」
「ふ、まあそうだな。きっちりしていると思うぞ」
もう少し力の抜き方を覚えてもいいと思うがな、と俺が言うと、
「どういう意味だ」
と大包平は尋ねた。
「そのままの意味さ。時々、根を詰めるきらいがある。近侍共々な」
「そんなに審神者の仕事とやらは大変なのか?」
「どうだろうな。俺は近侍を拝命したことはないからよく分からないが、この大人数を取りまとめて勝利を重ねていくのは簡単なことではないのだろう」
すると、大包平は黙りこくった。
「(なにを考えているかは知らんが・・・こいつは分かりやすいからな)」
見守ってやるか。
あえてそう名付けたぬるい観察をやめるつもりはない。
category:刀剣
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