思い出の海



溶けたかけた氷 気怠いラジオ
眠ったままのあなた 呑気ね
ひまわりみたいなパラソル 熱い砂浜はカンバス
潮風に招かれるまま ひとり
私 泳ぎたい

ああ 冷たい水は夢心地
気分は魚 シャンパンの泡みたいな呼吸して
あなた置きざりで旅立つわ
どこまでも深く どこまでも遠く

透き通った冷たさが染み渡る
瞼の奥 眩しさが揺れる
すいすい どこまでも 

ああ 冷たい水は夢心地
気分は魚 シャンパンの泡みたいな呼吸して
ただよいながら さすらいながら
どこまでも広く どこまでも遠く 

あくび交じりの 私を呼ぶ声
火照った素肌 日焼けの跡
ふいにこわくなる 駆け出したくなる 
あなたに招かれるまま 
熱い陸へ上がるの なにもかも忘れて

なにもかも忘れて


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