結び
ここに在りし創世神話
神々の座が空席となった暗黒の森林に、美しい星が生まれた。
原初の虚無に二つの”死期”が現れる。
地表全てを焼き尽くす星の怒り
何者をも凍えさせる星の眠り
生命の萌芽と共に、交互に訪れる見えざる手の殺戮。
それは神々の国産み、神産みのための交合であった。
孕んでは産み殺し、
子をも喰らいて尚 神々の交わりは止まらなかった。
幾度目かの子殺しを終えて、
女神の股から溢れた血が大地に染みわたり
血に抱擁された男神の子種が土に根を張り
神の子殺しを逃れた原罪の子らが地上に蔓延った。
大地の獣も、空の獣も、
物言わぬ植物や未だ名もない神々でさえ、
女神らのみなし子であった。
神々はこれを良しとして、
死期の合間に特別の赦しを子らに与えた。
星の怒りと眠りの合間に、
嫋やかな慈しみと厳粛な結実の季節を──…。
そうして世界には二つの死期と二つの賜期が生まれた。
子殺しの合間の、特赦において繁栄を許された罪の子らは
畏敬を込めてこの二柱の荒ぶる神々を
「黔皎一如」と呼んだという。
黔皎一如 今交わりて一つの如し
無情なこの世界のたった一つのほんとう。
陰と陽、幸と不幸、
ひと時も離れたくないから この世界はずっと黄昏のまま。
小さな死の暗闇も、明けるだけしかない朝も、
もうこの世界には必要がなかった。
作:つきのわさん
心よりの感謝 すてきな結びと美しい後の物語を本当にありがとうございます
慎んでここに残させていただきます