二言目



わたしは今だって、君のとなりにいるのに不安なまま。教室の窓の外を見ているフリして、ガラスに映る君を見ている。「ねぇ、天喰くんはわたしの、どんなとこを好きになってくれたの?」聞きたい気持ちを飲み込んで、今日も、そんなわたしでちゃんといられてるか、ぐるぐるぐるぐる、行ったり来たり。「俺は...」君の一言で、全部忘れちゃって。二言目でもっと、よくばりになる。「天喰くんが、すきだよ」聴こえない位の声で、ささやいた。君は、気付いているの?わたしは、息をひそめて答を待った...。「...どうかしたか?」誰かの幸せの上に、自分の幸せのを築く意味とか、全部わたしが決めたのに、それが正しいことなのか間違ったことなのか、わたしには決められず。どれだけ考えても、天喰くんの前だと全部、解かれてしまう。わたしの精一杯の言葉で鍵をかけたって、天喰くんの心の中まで縛れない。君の二言目が、いつも、わたしだといいのに...。


(二言目)





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