果て



「上鳴くんは、世界の果てってどんな風になっていると思う?」世界の果て?あー、それってあれだろ?世界の果てなんだから、こう、なんか、ロマンを抱いた人が夢を追い求めてこの世の全てを置いて来たって言葉を信じて目指す...。「いや、てか地球って丸いんだから、世界の果てとか存在しなくね?」最初は、くくくっ。と笑い声を抑えていた彼女は、次第に我慢できずに大きくなっていく。「あっはっはっは...!流石だよ、上鳴くん。君は本当に、いい人なんだね」「いい人?」地球が丸くて、世界に果てがないことと、俺がいい人であることに関連性なんてあるのか?「この質問に、地球は丸いから果てなど存在しない。って答える人はみんな優しくていい人なんだよ。私調べだけど」「じゃあ、お前はなんて答えるんだよ。世界の果て」「そうだね」彼女は空を見上げて目を閉じる。秋が近づいてきた空は、雲ひとつなく綺麗な青色に染まっている。「世界の果ては、落ちたらもう戻ってこられない断崖絶壁」「......。そう答える奴は、どんな人?」

「ろくでなし」





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