忍たま×ポケモン


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※過去拍手作品
※小ネタにある“ピカチュウが忍たまにトリップしたら”のお話
※殆ど平仮名のため読みづらい
※結構シリアス…かも



こわい、こわいこわいこわい…!!
みんな、わたしのことたたいてくる!!
みんな、バケモノだって、わたしをいじめる…!!
わたしにちかづくニンゲンはみんな、めずらしそうにわたしをみて、ムリヤリつかまえてヘンなトコにつれていく。
わたしがイヤでデンキをはなてば、バケモノとよんでボウでなぐってくる。
なんとかにげても、またべつのニンゲンからこわがられ、つかまえようとしてくる。
なんで?なんでなんで?!
なんでバケモノなんていうの??
なんで、わたしのほかにポケモンがいないの??
ここはどこなの…??
こわい…!!こわいよぉ…!!
みんな、どこにいるの??
おねがい、でてきてよ…!!
カナメさん、カナメさんどこ??
どこにいるの??
…わたしは、どこにいるの…!!?!

みんな、たすけて…!!!



「おほー…??見た事ない生き物がいる。」
『っ!!!!!』

ニンゲン…!!
せっかくモリのおくまでにげきったのに…!!!
また、どっかつれてかれるの??!
また、わたしをなぐるの!?!?
イヤだ、イヤだ!!!!!

『ピィーカァー…ッ!!!(くるなっ!!)』
「うわっ!!?」

くさむらからでてきたニンゲンのあしもとに、わたしはデンキをはなつ。

“――どんな理由であれ、人間を傷付けちゃいけないよ”って、カナメさんにいわれたから。

だから、どんなにこわくても、イヤでも、きずつけはしない。
それに、わたしがはじめからデンキをみせれば、だいたいのニンゲンはちかづいてこないもん。
なのに。

「びびったー…!何だ今の??お前がやったのか…?」
『ピィ〜〜…ッ!!!(…にげない…。)』

なんで?このニンゲンおどろくだけで、にげようとしない。
それどころか、なんかかんしんしたようにわたしをみつめてくる。

「すっげー…こんな生き物いたのか…。」
『っ!!ピィーカァ…!!!(なんで、にげない?!)』

もしかして、わたしをつかまえてまたみせものにするの!??
いや!!あんなトコ、もういきたくない…!!!

『ピィーカチュ〜〜…ッ!!!!(くるな!!くるなっ!!!!)』
「…!!…お前……。」

カラダからバチバチとデンキをはしらせニンゲンをいかくする。
するとニンゲンはめをまるくして、じっとわたしをみつめかえしてきた。
そのめは、こわがっているようなめじゃなくて、なんだかしんけんなめをしてる。

『ピィカチューーッ!!!!(はやくどっかいけっ!!!)』
「………俺は、何もしないぞ?」

ナニをおもったのか、ニンゲンはしゃがんでわたしとおなじめせんになった。
そしてさきほどからずっと、そらすことなくまっすぐにわたしとめをあわせていた。

「なぁ、お前足怪我してるぞ?痛くないのか?」
『ピィーカァー…!!!(うるさい!!どっかいってよ!!)』
「痛いんだろ?なぁ、頼む。俺に怪我の手当てをさせてくれ。」
『チャア〜〜〜〜ッ!!!(てあて…!?うそだ!!そういってわたしをつかまえるんだ!!)』
「手当てだけさせてくれたら、直ぐ俺はどっかいくから。」
『ピィカァアーッ!!!(ニンゲンなんてしんじられるかっ!!)』
「……頼む。」

どんなにわたしがいかくしても、ニンゲンはいっこうにここからいなくなろうとしない。
それどころか、そのばにすわりこんでしまった。
そんなニンゲンのようすに、わたしはすこしだけひるんでしまう。
だって、こんなばしょにまよいこんでしまってから、こんなにまっすぐわたしをみつめてくれたのはこのニンゲンがはじめてだから。
だから、すこしだけとまどってしまう。

『ピィ〜〜…っ!!!(…なんで…?!)』
「…俺は、此処から動かない。お前が、自分から俺に近付かない限り、一切触ったりしない。…怖がらせたくないんだ、だから、お前が決めてくれ。」
『ピィカァ…ッ!!…(…なんで、おまえ…。)』
「………………………、」
『…………ッ………………。』
「……………………。」
『………………………、……ピィ…カ……?(……なんで…?)』
「…!!!、お前…。」
『……ピィ、ピカ…。(…おまえ、ヘンなヤツ…。)』

こんなに、わたしだけをそのめにうつしてくれたニンゲンはいなかった。
みんな、すぐにめをそらして、まるでわたしのことをみなかったことのようにムシされてきた。
それか、おそろしいバケモノをみたかのように、きょうふやいかりのめでわたしをみてきた。
だけど、このニンゲンはそのどちらでもなかった。
ちゃんとわたしをにんしきして、いっぴきのいきものとして、ちゃんとむきあってくれた。

まるで、わたしのしってるばしょのニンゲンたちみたいに。

だから、すこしだけどしんじてみようとおもった。
ゆっくりとちかづいて、ニンゲンのてのこうにすりよってみる。
するとそのニンゲンは、ほうけたようにめをまるくさせていた。
くちもポカンとあけていて、すごくマヌケづらだ。
でもすぐにうれしそうにまんめんのえがおになって、やさしく、ほんとうにやさしくわたしのあたまをなでてくれた。
それが、とてもなつかしくて、うれしくて……すごく、せつなくなった。
ニンゲンはなれたてつきでわたしのあしをてあてしてくれると、またやさしくわたしのあたまをなでる。

「よし、終わったぞ!よく大人しく出来たな、偉いぞー!!」
『ピ…チャ〜〜っ!!(ばかにすんな!)』
「ははっ、元気だなお前!…さて、じゃ、俺は行くな。」
『!!』

スッとニンゲンがたちあがりそういうと、わたしにせをむけてあるきだした。
…ほんとうに、わたしをつかまえたりしなかった。
てあてがおわったから、すぐにニンゲンはわたしからはなれていってしまった。

また、ひとりになるのか。
また…にげてかくれなきゃいけないんだ…ひとりきりで。
もしかしたらもうにどと、あのニンゲンみたいなヤツにであえないかもしれない。

…もう、あのニンゲンにあえなくなるの??


…やだ、イヤだ!!!!

もうひとりはイヤだよ、またいじめられるのはやだよ…っ!!!
も…だれかといっしょにいられないのはイヤだよ!!!
また、やさしいあのてであたまをなでられたい!!!

もういっかい、ニンゲンとなかよくなりたいよっ!!!!!

そうおもったらわたしは、みえなくなったあのニンゲンをひっしにさがした。
かすかにおぼえていたあのニンゲンのニオイをたよりに、わたしはひっしにはしった。

「うおっ!?何だコイツ!?変な生き物だな!!」
「お頭、珍しい生き物ッスね…。」
「…これだけ珍しけりゃ、相当な金になるんじゃないッスか?」
「金持ちにでも売り付けりゃ、いい金を貰えそうだ…!!」
『っ!!?!? ピィ…ッ!!?(え、だれ…っ!?)』

くさむらからとびだしたさきにいたのは、ふくすうのきたないニンゲンたちだった。
わたしがとつぜんのことでひるんでいたスキに、ひとりのニンゲンにムリヤリおさえつけられた。
ビックリしてあばれてみても、ちからがつよくてぬけだせない!

「おっと、暴れんじゃねーよ!!大人しくしろ!!」
『ピィッ?!?!(いたい…っ!!)』
「おい馬鹿、あんま乱暴はすんなよ。大切な商品なんだからなぁ。」

ガハハハっとげひんなわらいごえがもりのなかにはんきょうする。
あばれたせいで、ほほをなぐられた。
やだ、イヤだ…!!はなして!!!
わたしは、あのニンゲンをさがさなくちゃいけないの!!
もうあんなトコにはいきたくない!!
なかなかぬけだせなくてついデンキをはなとうとしたけど、わたしはハッとなってやめた。
カナメさんとやくそくしたんだ、ニンゲンはきずつけちゃだめだって。
でも、どうしたらいいの…!?!?
わたし、またつれてかれるの!??
イヤだ、イヤだよ!!!!
わたしはあのニンゲンに…!!!
やっとしんじられるニンゲンにあえたの!!!!
はなして、はなしてよ!!!おねがい…!!!

だれか、たすけて!!!!



「――心配で戻って来てみりゃ、早速捕まってるとか…。」

――――ずっと、とどかなかったねがいが、いまやっととどいた。
うえからこえがきこえたかとおもえば、わたしのカラダがふわりとういた。
そして、やさしいてがわたしをつつみこむ。
わたしがひっしになってさがしていたニオイに、おもわずホッとする。
そしてすこしはなれたばしょにおろされて、あのニンゲンはポンとあたまをなでてきた。

「待ってろ、直ぐ終わらせっからな。」

ニカッと、あのえがおをわたしにみせてから、ニンゲンはきたないニンゲンたちのもとへはしっていった。
わたしがほうけているあいだにすべておわったらしくて、いつのまにかめのまえにあの、まぶしいえがおをうかべたニンゲンがたっていた。

「大丈夫だったか?ごめんな、直ぐに駆け付けてやれなくて。」

おびえさせないようにするためか、ニンゲンはしゃがんでわたしにはなしかける。
わたしがいまだにホケッとしていると、ニンゲンがわたしのほほのけがにきづいて、そっとやさしくそのほほをなでる。

「この怪我……本当ごめんな。こんな痛い思いさせて…怖かったろ?もう、大丈夫だからな。」
『……………〜〜〜っ、ピィ〜カァ〜…ッ!!!!』
「ぅわあっと!!!?」

――また、ちゃんとあえた。
このやさしいニンゲンに。
よかった、よかった…!!!

『ピィ〜カァ〜…ピィ〜〜…!!!(こわかった…!! またあえた…!!)』
「…どうした?そんなに怖かったのか……よしよし。」
『ピィ〜〜…!!(う〜…よかったぁ!!)』
「……なぁ、俺さ、ハチって言うんだ。」
『ピィ〜……??(…ハチ…?)』
「お前さえ良ければだけど…一緒に来るか?」
『ピィカ…?(ほんとう…!?)』
「そうすりゃ、もうあんな怖い目に合わないし、一匹でいるよりも楽しいぞ?」
『…ピ!!ピィカチュ!!(いきたい!!いっしょがいい!!)』
「お?OK…だよな?よし、じゃ決まりだな!!」
『チャア!!!(やった!!うれしい!!)』
「おほー、そんな喜んでくれんのか!!ははっ!!えーっと…お前、名前あんのか?」
『ピィ?チャアー。(フルフル)』
「んー、じゃあ………、安直だけど“ピカ”って呼んでいいか?」
『ピィーカ!!(なんでもいいよ!!)』
「よし、んじゃピカ!!俺と一緒に行こうぜ!!よろしくな!!」
『ピッピカチュー!!!(うん!!よろしく!!ハチ!!)』


えへへ、うれしい、すごくうれしい!!
これからハチといっしょなんだ!!
もうさびしくない!

なんでここにいるのかわかんないし、かえりかたもわかんないけど、もうだいじょうぶ!!
ハチがいるから!!
でもいつか、ぜったいにみんなのトコにかえるからね!!
そしたら、カナメさんやみんなにもハチしょうかいする!!
すっごくやさしくて、つよくてかっこよくて、おひさまみたいにわらうすてきなニンゲンだって!!

だから、みんな、まっててね!!



end.


※ちょっと補足
夢主(ピカチュウ)の言ってる“カナメさん”と言う人は、自分を育ててくれているポケモンブリーダー。
夢主の言う“みんな”は、共にカナメさんに育てられているポケモン仲間のことです。
……分かりにくくてスミマセン!!