忍たま現パロ


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※忍たま現パロ注意
※忍たま三年生が高校二年生
※キャラの性格・口調等が迷子←
※夢主気弱、次屋チャラい(多分)


『(ふぉぉおおお……っ!どどどどうしよう…!!?)』

突然ですが、私は今非常に困っています。
とてもピンチです、誰か助けて下さい!!

「………………。」
『(ひぇぇぇええ…っ!!!)』

教室の出入口を、同じクラスの次屋くんが塞いでいて通れません…!
何故私は通せんぼをくらっているのでしょうか!?
私、彼に何かしてしまったのでしょうか…!?
しかし、私は彼と話しをした事は一度もありません。去年も同じクラスではありましたが、彼のような人と私が話す機会など絶対になかったです!
だって彼は、私とは正反対の性格で、とても人気がある人なのですから。
それは勿論、異性からと言う意味でです。同性の方とも仲はいいのですが、それ以上に異性の方からの人気が凄いのです。常に周りには(言い方は悪いですが)女の子を侍らかしていて、そのせいで彼女をとっかえひっかえしていると言う噂があるくらいなのです。
しかも彼に近付く女の子は皆派手で、自我の強い方ばかり。それが余計に拍車を掛け、私から見た彼(というより多分殆ど方から見ても)はとてもチャラい印象を受けています。
それとは逆に、私は至って平凡な顔だし、性格だって地味すぎて、クラスメイトに私の存在が認識されているのか危ういくらいです。
そんな全然接点のない私に、彼は一体何の用なのでしょうか…!?
次屋くんの表情が真剣(…いや真顔?)なせいで余計に怖いです!!
ほほほ本当に何なのでしょうか!?


「………………なぁ、」
『っ!!…は、ぃ……?』
「………………………、」
『………っ…!!』

だ、黙らないで下さいぃぃいっ!!
怖いんですから…!!
黙られると本当に怖いんですからね…!?
うわぁぁあん!!誰か助けて下さいぃぃい!!

「…………、」
『……っ!!?』

コツリ、と次屋くんが一歩此方へ歩き出し、私は反射的に一歩後退る。更に一歩、一歩と私に近寄る次屋くんから逃げるように後退すれば、トンと背中に何かがぶつかった。それに驚きぶつかった物を確認すれば、それが教卓である事が分かりこれ以上は下がれなかった。私は慌てて横に逃げようとするも手遅れのようで、いつの間にかかなりの至近距離に次屋くんがいてその両腕で教卓との間に閉じ込められた。
あまりの近さにヒュッと息を呑んだ私は、恐る恐る彼を見上げる。
次屋くんはじっと、ただ真っ直ぐに私を見つめていて私はどうしたらよいのか分からずに困惑した。

『…ぅ……ぁ、の……?』
「………俺さ、」
『っ……は、ぃ…。』
「苗字さんが好きなんだけど。」

『……………………は、』

私が声を絞り出し次屋くんに話し掛けると、彼からは思いもよらない言葉が返ってきた。
え?好き?誰が?誰を?

『…ぁ…の………?』
「好き。」

『…〜〜〜〜っ!!!?』

一切目を逸らす事もなくもう一度私を見つめて告げられた言葉に、私は顔を赤らめて動揺した。
え、彼が…私を好き……?
…………………え?ぇえっ!!?
…う、嘘でしょう?嘘ですよね!?
だってあまりにも、私と次屋くんの立場が違いすぎて、信じられないんですが…!!
何かの間違い……ぁ、もしかして罰ゲームとか何かですか!?
そうですよね!?じゃなきゃ到底次屋くんのようなモテ男が、私に告白なんてあり得ないですよね…!?
そうですよね、絶対そうだ!!
そうやって慌ただしく脳内で自己完結すると、私はそっと次屋くんの顔を窺った。けれど、ずっと次屋くんは表情を変えずにいて、私は直ぐにその結論が不安に揺らぐ。どうするべきかいよいよ分からなくなってきた私は、ぁ、だのぅ、だの呟いて視線をさまよわせる。
すると彼はそんな私を見て、ポツリと呟いた。

「……可愛い。」
『…〜〜〜〜〜っ!!?』

不意打ちの言葉に、元々赤かった私の顔が益々熱くなっていくのが分かった。彼にとっては普段から何気無く使われる言葉だとしても、私にとっては普段から無縁な言葉だ。だからたったその一言で容易に心臓が高鳴ってしまう私は、絶対に悪くない。
……悪くない、と思いたい…!
私は恥ずかしさのあまり、とうとう耐えきれなくなって彼の胸を押し退けようとした。けれど流石運動部に所属しているだけあってか、全くピクリとも動かずに思わず泣きそうになってしまった。それでも必死にこの状況から脱け出そうと奮闘していれば、それは呆気なく阻止された。

「…あー……やべーな。」
『っ!!!?!?』
「マジで可愛いんだけど。」

ギュウッと、唐突に抱き締められ、しかも耳元でそう呟いた彼に私は驚きのあまり固まってしまった。身動きが出来ない私をいい事に、次屋くんはギューッと強く(それでも私を気遣ってか痛くない程度に)抱き締めて、一向に放そうとしなかった。私は漸く動けるようになると力の限り抵抗を示したが、彼にとっては全く意味を成していないようだった。

『っ…!!…ぁ、のっ!!は、はなし…て…くださ……っ!!』
「………、」
『ぅあ…っ、ぅう…っ!!はなし、て……っ!!』
「……やだって言ったら?」
『ひぁっ!?み、みみもとで、しゃべんな、ぃで…っくださ…っ!!』
「……………………ヤバい。」
『〜っ!!?』

益々抱き締める力が強くなり、抵抗する事も出来なくなった。
もう頭ん中が真っ白になり気を失いそうになった時、私達以外誰も居なかった教室に誰かがやってきた。

「お、居た居た!!三之助ぇ……って…。」
「どうした左門、三之助は居た…か………ぁ…、」

ガラリと開かれた扉の向こうに居たのは、同じクラスの神崎くんと富松くんの二人だった。二人は中に居た私達を見るや固まっていたかと思うと、次屋くんの声によって直ぐに我に返った。

「左門、作兵衛、悪ィけど先に帰っててくんね。」
「お、何だ告ったのか?」
「そ、今良いとこだから邪魔しないでくんね。」
『〜〜っ!?ぜ、んぜん、いくない…です…っ!!は、はなして…っ!!』
「っておい!!泣いてんじゃねーか!?何処が良いとこだ!?」
『た、たすけてっ…くださいぃ…っ!!』

思いがけない二人の登場に私は助けを求めると、富松くんが慌てた様子で私から次屋くんを引き剥がしてくれた。私は助けてくれた富松くんにお礼を言うと、直ぐ様次屋くんから距離をとった。

「あははっ、三之助嫌われてるじゃないか!!」
「笑い事じゃねーだろ。」
「自業自得だ、馬鹿野郎!!」

私が次屋くんから距離をとった事で彼は神崎くんに笑われ、富松くんには怒られていた。その間も特にこれと言った表情の変化はなくて、次屋くんは淡々と今の状況を受け入れていた。
その後直ぐに神崎くん達は次屋くんを連れて出て行こうとしたが、最後に出て行こうとしていた次屋くんが立ち止まり私の方へと振り向いた。そのまま再び私に近付いてきた彼に身構えるように体を強張らせていれば、彼は私の目の前で立ち止まった。
そして、自然な動作で私の左頬にチュッと口付けを落としてきた。

『―――っ!!?ぇ、な…っ!!?』
「俺、本気だから。苗字さんが俺を苦手なの知ってっけど、絶対に振り向かせてみせる。諦め悪ィんだよね、俺。」
『っ………、』



「―――覚悟しといて。」



耳元でそう囁かれた私は、彼が居なくなってから暫くしてもその場を動く事が出来なかった。


end.

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何だコレ誰だオメェ。
唐突に思い付いたネタなんですけど、短編でも良かったような…。
でも、中編として書くのもいいかもしれない。
しかし何故、次屋夢を思い付いたのか自分にも分からない。