復活主→TOW3


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※殴り書きだよ(^^)
※唐突に始まるよ(^^)





『―――はぁ、はぁっ…はっ。』

息が上がる。
ここまで息を切らして走り続けたのは何時振りだろうか。ただひたすらに走り続けたおかげで、今何処にいるのか皆目検討もつかない。

――否、分かる筈もなかった。

鬱蒼と生い茂る木々、見渡す限り生え広がる緑、緑、緑。道らしき道が見当たらぬ程の、伸び伸びと生い茂った植物が生えている場所――森と言う表現が正しいこんな場所をウチは知らない。
…こんな場所、知らなくて当然なんだ。
だって気付けば、この見知らぬ場所に倒れていたのだから。

…言ってる意味が分からないだって?

ウチだって今のこの状況に混乱してんだよ。だって、ついさっきまでウチはツナ達と一緒で、何時ものように寄り道をして、下らない話で盛り上がって。そこまでは何ら変わった事なんか何一つなくて。けどいきなり妙な違和感と言うか、感覚が襲ってきたんだ。
それはツナ達も同様だったらしく、ウチらは周囲に意識を集中したんだ。

その、意識を向けた瞬間、本当にたった一瞬の出来事だった。

ウチらは、突如現れた黒い空間――穴に吸い込まれるかのように落とされたんだ。
その黒い穴はそれぞれの足元に一つずつあって、それに驚いている暇なんか一秒たりともなくて。 そして気が付けば、鬱蒼と生い茂った木々とその間から覗く青空が一番最初に目に映ったんだ。目を覚ました時なんて、今なんかよりも混乱してた。
これでも少しは落ち着いた方だ。
けど、未だに理解なんてこれっぽっちも出来やしない。突然あんな事があって、訳もわからずこんな森なんかにいるってだけでも十分理解し難い事なのに、まるで更に追い打ちでもかけるかのように、この“森”は異常だった。

『はぁっ…………っ!!』

上がる息を整える為に一旦足を止めるも、“ヤツ”の気配によってそれは叶わなかった。ウチは直ぐ様“ヤツ”から距離を取る為に休息もままならぬまま走り出す。今さっきまでいた場所には、当然と言うべきか、“ヤツ”がゆっくりと草むらから出てくるのが見えた。
ブーン、と鈍い音を響かせながら表したその姿は、一見“蜂”のようにも見える。
だが、自身が知る蜂にしては、それはあまりにも異色すぎた。

――まず、それの“大きさ”が異様だ。

人の頭程あるのではないかと思われるその大きさに、最初遭遇した時は目を見開いたものだ。 そして、蜂にしては毒々しすぎる色合いに、太く鋭い針。

――こんな生き物、地球上に存在するのか?

そんなの、答えは“否”だろう。
こんな生き物がいたら、大騒ぎ処じゃない筈だ。

――じゃあ、此処は一体何処なんだ?

混乱しきっている頭に浮かんだのは、此処が本当に“地球”であるのかと言う普通なら考え付かない、あり得ない疑問。だが、そう思わざるを得ないような状況に立っているのも“事実”で、何より紛れもない“現実”で。一度に色んな事が起こりすぎて、正直今は何も考えられない。この状態じゃ、とっさの時に素早く冷静な判断なんて取れないだろう。
現に、“今”がもう一杯一杯だった。

『っ!!…………くっそ…っ!』

最初は戸惑いながらも、出くわした蜂らしき生き物を相手にしていた。 その為、どうやら倒せない事はない程の強さらしいと知る事が出来た反面、その生き物が複数となって襲ってくるとなると、かなり危険である事が分かった。今のウチにとっては、一匹を相手にするのが限度だ。 それを身を持って実感したのは、その生き物から攻撃を喰らってしまったのがきっかけだ。
その攻撃で、恐らく毒を受けてしまったらしい。
当然ながら、こんな生き物を相手にした事はない為、解毒剤なんてものはない。 ましてや、こんな生き物が存在していない筈の場所に居たのだからある筈がないのだ。一応ウチが知っている応急処置を施してはいるのだが、それが本当に効くのかどうかも分からない。
そしてやはり応急処置であるせいか、少しばかり体調がおかしい。 恐らく抜け切れなかった毒が身体中を回り始めたのだろう。フラつく身体を叱咤しながら、とりあえずあいつらの気配を感じぬ場所まで移動する。

『っはぁ………っ、道…?』

がむしゃらに走り回っていたのが幸いしたのか、漸く道らしき場所へと抜ける事が出来た。
一旦足を止め、周囲を見渡す。
そこで今頃になって、この森に生える植物にも違和感を感じた。此処に生える植物も、あの生き物同様見た事のないようなものばかりだった。

…本当に、此処は何処なんだ?

先程から常に頭を占めている一つの疑問。何度自問自答しようが、その答えは見つからない。
…もしかしたら、ウチであるからこそその答えは分かる筈もないのかもしれない。

『………っ…!!』

突如、身体中の力が抜けるような感覚が襲ってきた。そのままウチは倒れ込むように近くに生えていた木にもたれ掛かる。やはり毒が残ってたんだな、と何処かぼんやりとしている頭でそう思いながら、ウチはふと空を仰いだ。
雲一つ見当たらない、綺麗な青空が、相変わらずそこにあった。
…此処に来てウチの知る何一つ変わらないものがあるとすれば、この空くらいだろう。

『……、………はぁっ…。』






―――ツナ達は、今“何処”に居る?

ウチと同じように、見知らぬ土地にでも居るのだろうか。
やはり一人なのだろうか。
誰かと一緒にいるんだろうか。
もしかしたら、皆バラバラになっただけでウチと同じ場所にいるのだろうか。

何より、皆、無事でいるんだろうか…。

だんだんと霞んできた視界と意識のなか、ウチはただそれだけを考えていた。
そして、完全に意識が途絶える最中、誰かの声らしきものを聞いた気がした―――。